短編6 どこにでも行くよ
かなり上級のBL的表現があるので、嫌いな人は飛ばしてください。
ぼくは、自分で言うのもなんだけど本当に可愛いと思う。特に目が綺麗だねって良くいわれる。
19だけど、外から見てるだけだと、中学生にだって見えるんだ。
身長160あるか無いかで、丁度良い感じだしね。
昔から両性にもてたよ。でも同性の男の子の方が好きだったけどね。
そのせいで、ほとんど家出同然で、飛び出してきちゃった。
一人暮しだから、稼がないといけないんだけど、高卒だと高収入の仕事なんてほとんどないよね。
だから自分を配達しちゃうお仕事をしているんだ。
人気なのは筋肉質の人なんだけど、ちゃんとお店を選べば、ぼくみたいなのも人気になれるんだ。
お店に出前の注文をしてくれたら、どこにでも行くよ。当然交通費とかは別に貰うけどね。
読者モデルとかもやった事あるけど、あれはそんなに報酬高くないし、連続性もないもの。
危険じゃないかって?危険だよ。だから体の筋肉を綺麗にする目的も兼ねて護身術とかちゃんと習ってる。
これでも結構強いよ、ぼく。
という事で、今日も某ホテルでお仕事です。
でもね、今日のお客様、常連でとっても良いお客様なんだけど、ちょっと惚けがきてるんだよね。
時々お金足りないの。でもかなり多い時もあるから、結構良いんだけど。
「ちょっと、また足りないよ。」
なでなでしながら文句言うよ。こういうのは甘くしちゃ絶対だめだからね。
一部はお店に入れないといけないし、定期的な病気の検査費用だってばかにならないんだから。
「わかった、わかった。すまんが、今日はこれで勘弁してくれんかね。」
なんか鞄ごそごそしてる。え?もしかして、物で払う気なのかな……。
まあ貴金属だったら、最近は換金は結構どこでもできるから便利だよね。
って、ナイフだよ。え、え?恐っ!なにその黒々としたナイフ。
「これをあげるよ。俺はもう使う気は無いからね。」
ナイフを鞘に入れて、渡してきちゃったよ。
つい受けとっちゃったけど、ナイフって売れるのかな。
それに使うって何さ。もしかしてやっちゃの?ねぇ?
そういえば、このお客さま体に結構傷があるんだよね。ペロペロすると喜んでくれたけど、やばい傷だったのかな。
まあ、ぼくの常連には小指ない人とか、入れ墨ずっばーの人とかもいるから気にしないけどね。
「ああ、使い方を説明しないとな。最近物忘れが激しくてね。」
とりあえず刺激しないで、話し聞いておこうっと。
「服を着て荷物を持ったら、そのナイフで指を軽く切って、血を流すんだ。そうすると使えるよ。」
へー。ってすぐやれって事だよね……
あとは料金貰うだけだったから、ぼくはもう服きちゃっているしね。
とりあえず、荷物を持ってと。
ナイフを抜いてっと、小指の先にしよう。自分の体に傷つけるとか嫌だけど、あんまり逆らわない方がよさげな目をしているし。
ちょこっとね。ってナイフが光ってる!光ってるよ。何これ。
「じゃあ、よい旅を。楽しかったよ、少年。」
なんかお客様倒れたみたいだけど、大丈夫か?ってぼくが大丈夫じゃなさそうだぞ。
眩しすぎて、目が見えないもん。
つい目を閉じたけど、開いたら、さっきの部屋と違う部屋だよ。随分狭いね。
わ、目の前のドアが開いたよ。
「タチバナ様、お待ちしていました!」
タチバナってだれよ?あ、もしかして、さっきのお客さんかな?
それにしても入ってきた人イケメンだな。チョウかっこ良いよ。それに大きそう。
さっきのお客さんだとあんまり満足できなかったんだよね。荷物にはいろいろ道具があるし、ちょっと楽しんじゃっても良いよね?
(完:続きはありません)
主人公はそれほどバカではありませんが、かなり楽天的というか場当たり的です。
続くと、少し暗い話しで、かつ微妙にエロくなってしまいそう。
ノクターンとかの方が良いのかな。