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短編3 魔力が無い最強者

ガシャンと後ろで鉄柵が降りる音がした。


先程まで俺は体育館倉庫を掃除していたはずだがここは何処だろうか。


「第7対戦目です。さあお互い準備を。」


上の方からアナウンスが聞こえて来た。周囲を見ると、観客が沢山いる様だったが、光の加減なのか何なのか、なぜか観客の顔は見えなかった。

感覚的には、小さな野球場といった感じだ。


それにしても準備って何をすれば良いんだ?

持ち物と言っても、床掃除中だったから服は学校指定のジャージで、手にはモップしかない。


そのまま周囲を見ていると、前から呼ばれた。


「おい、弱そうだな。人型といえども容赦はしないから覚悟しろ。」


なにを覚悟すれば良いかわからないが、そいつは確かに女。俺より背が低いから、おそらく女の子、だった。

胸が余りにボリーミーでどれだけの夢が詰まっているのか是非揉んで確かめたい。

顔が学校で見た事がないほど綺麗に整っているが、髪が水色をしており、随分派手に染めているのだな、と思った。


「では試合開始です。」


アナウンスがされると、女の子が何かブツブツ言い始めた。

かなり嫌な予感がしたので、ジリジリと後ろに下がったが、後ろは鉄柵で行き止まりであることをおもいだした。


女の子が手をこちらに向けると、巨大な火球が飛んできた。

俺は咄嗟に目を閉じて、モップの柄で顔を覆った。


ボスッと音がして、火球がモップにぶつかった様だか、全く熱くない。

そのままでいると、何発か飛んできたが、俺には手にハエが止まっている程度にしか感じなかった。


そろそろと目を開けると、女の子が顔を青くしながら、さらに大きな火球をこちらに飛ばしてきた。


火球があたる前にモップで払うと、火球はかき消えてしまった。


女の子はヒエッと悲鳴を上げると、凄まじい業火のような火球を生成しはじめた。

巨大なため、生成に時間がかかるようだった。


俺はいい加減むかついていた。

火球はなぜかたまたま効いていないが、本来なら最初の一撃で死んでいてもおかしくはなかったのだ。


俺はモップを握り直すと、女の子の元まで全力で走った。大した距離ではなかったのですぐに女の子の前についてしまった。


女の子はヒフェみたいな悲鳴をあげたが火球の生成は続いており大したものだった。


近くで見ると余りに可愛らしい顔なので、俺は手加減するつもりで、モップの柄の先の金具で、そっと柔らかく女の子の脇腹を突いた。


大きく女の子は吹き飛んで、石の壁にぶつかると地面に顔から落ちてしまった。

火球の生成は当然のように止まった。


予想外の結果に俺は驚いた。そこまでするつもりは全くなかったのだ。力など全然いれていなかったのだ。


「1、2、3……」


どうやらカウントをとっているようだ。


「10。勝者、人型黒髪の魔物!」


観客席からはワーワーと歓声が聞こえた。

俺は魔物じゃねーし、ここは何処だよ、それより女の子は無事かよ、などと混乱の中、とにかく生きている、と実感したのだった。


XXXX


その後、数人に取り囲まれて、控室のような所にひきずられていった。


最初に女の子は無事か確認したら生きているそうで、安心した。

後で会わせてもらう約束が出来た。


そこで色々説明を受けたが、どうやら異世界転移と言うやつらしかった。

オイオイとは思ったが、女の子は魔法を使っていたようだし、俺に説明したのは二足歩行のトカゲ野郎だったので、諦めて納得した。

ここは賭け闘技場で、今回はランダムに魔物を呼び対戦するイベントで、俺が呼ばれたらしかった。


俺は魔物じゃねーと主張したが、人型の魔物は珍しいがいないわけでもないし、人に混じって生きていたなら自覚が薄いのだろうと、トカゲ野郎に同情的な視線でみられてしまった。


あれ、俺って魔物だったの?と思ってしまうほどたったが、そんなわけはない。両親もジジババも立派に普通の人間である。


元の所に戻れるか聞いたが、ランダムに呼ぶしか出来ないので無理だと言われた。


まあ、そんな気はしてましたよ。テンプレ、テンプレ!


ふざけんなよと思ったが、今回勝ったのでファイトマネーが貰えるそうだ。1500万ルネーらしい。

役所勤めの3〜4年分の給与ぐらいだと説明されたが、良くわからないので、暫定で1ルネー1円ぐらいだと思っておく事にした。後で確かめる必要があるだろう。

大穴だったのでそれなりに高いらしい。


あの強さなら闘技場で雇う、と誘われたが少し考えさせて貰う事にした。

この世界の事を何も知らないまま決めるのもどうかと思うし、本当に自分が強いから勝ったのかよくわからなかったからだ。


モップのおかげと言う可能性を考えて、しっかりと握りしめていたりする。

まあ他に頼りになる物もなく、今ならこのモップに愛を告白出来そうだった。


とりあえず身分証を一万ルネーで作成してくれると言う。身分証は銀行?のカード兼用らしいので作成をお願いした。

トカゲ野郎は了承して、身分証を取りに部屋を出ていった。その間そこを動くなと言われたが、動くつもりはない。


身分の保証はこの闘技場オーナーがするらしい。

何気に外堀が埋められている様に感じたが、身分がないとこの世界では生きられないらしいので、こればかりはどうしょうもなく、諦めた。


トカゲ野郎が戻って来ると指輪を渡された。なんだ?愛の告白か?女の子にされたことさえないのに!とか混乱していたらこれが身分証らしかった。


少し大きいがどの指にはめても自動的に大きさが合うという便利道具らしい。

銀行?でのお金の出し入れはこの指輪を道具に当てる事でできるそうだ。


俺は少し悩んだが結局左手の親指に指輪をはめた。

左手なのは効き手でないから邪魔になりずらそうだからで、親指なのは一番切られずらそうだからだ。


この世界は剣と魔法の世界なのでいつ指ぐらい切られるか、分かったものではなかった。



指輪をはめると暫くして音声が指輪からした。


「装着者の魔力量が規定以下のため音声にて登録します。質問に回答願います。」


トカゲ野郎に確認すると本来は装着者の魔力を利用して自動で情報を登録するらしかったが、俺は魔力が少なすぎて、音声登録に切り替わったらしかった。


この様になるのは獣人族などでは良くあるが、人型では珍しいらしく、少し驚かれたが、魔物ならあり得ると納得された。

だから魔物じゃねーと不満だったが、獣人が居るらしいので期待しながら、俺は素直に指輪の質問に答えた。


「以下で間違えありませんね?」

なんか壁に文字が映ったぞ。空中に映ったりするじゃないんだ。


名前:ヴィクトル

年齢:16歳

性別:男

国籍:ラルス王国

身分:準平民(保証人:王立闘技場オーナー)

種族:人族?

職業:無職

所持金:0

レベル:読み取り不能

ステータス:読み取り不能


日本語だな。どうやらトカゲ野郎には読め無いらしくて首を傾げてやがる。


まあちゃんと確認するか。


名前?名前は本名じゃねーよ。なんで異世界に来てまで本名名乗らないとけないの?高校生にもなって中二病ですがなにか?

俺は何も悪くねーぞ。

年齢と性別は正直に答えてやったぜ。


国籍は勝手に登録された。どうやら、ここはラルス王国っていうらしい。


身分の準平民ってのは、移民は3ヶ月間はこれになるらしい。つまり俺は移民扱いって事だ。いろいろと制限や義務があるらしいが、基本は普通の平民と同じ扱いだそうだ。

保証人が人名でないんだけど、嫌な予感がするのでスルーする事にした。


種族は指輪に何度も拒否されたぞ。魔力が規定以下の人間なんていねーそうだ。無理やり認めさせてやった時は勝ったとおもったね。


職業が無職なのが微妙に辛い。学生と答えたら、学校名が聞かれ、学校名を答えたら該当なしで、無職にされてしまったのだ。


ステータス類は俺にはさっぱりだったので全て読み取り不能になってしまった。

どうやらこの世界はレベル制らしいが、レベル不明はかなり不便だな。仕方ないけど。


まあ、俺が答えた通りになってるな。


「それでいいぞ。」

「認証されました。口座が自動開設されました。

読み取り不能となった項目は役所に届け出てください。原因調査の後、補完されます。

以上で完了となります。お疲れ様でした。」


これで完了らしい。

トカゲ野郎がそれを確認して頷いていた。


「おい。名前を教えろ。」


やっぱり読めないのか。


「ヴィクトル。」

「ヴィクトルか、余りない名前だな。やはり魔物だからか。

ファイトマネーを口座に振り込むから、ついてこい。」


だから俺は魔物じゃねー。まあ付いていくけどな。


こうして俺の冒険は始まったのだった。


(完:続きはありません)

魔力が無い系は一種のテンプレかと思われます。

主人公の本名は「勝通(かつみち)」君です。なんでヴィクトルなのかは、察してください。

続いた場合、対戦相手の女の子が最初のヒロインになるはずです。

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