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SUICIDE40〜殺戮の舞曲(ボレロ)〜

後書きに謝罪文有り(涙





人は創る力を持っている。

人は壊す力を持っている。

そして『破壊と創造は表裏一体』と人はうたう。


人は創って壊している?

人は壊して創っている?

それとも……壊しているだけ?







―――――――――――――――
















――サァ、早ク――



仰向けにブッ倒れてる俺を、直接頭の中から急かしてくる少年ガキの声。

俺が狂気に勝つ方法を教えてくれるみてぇだが、その条件が『白刃で頭串刺し』っていう、自殺でもそんな方法取らねぇって言いたいヤツだ。

普通だったらシカトするような条件だが、今の俺の状況は左半身が破壊され、とてもじゃないが狂気に勝てる状況じゃない……




けど……それがどうした?




「分かった分かった……俺の生き方は俺が決める」



……俺は決めたじゃねぇか。皆を守るって。

死んで幽霊にでもなって、皆を見守ればいいやなんて思ったこともあったけど、やっぱそんなの俺には合わねぇ。

俺はどんなに運命にブッ飛ばされようが、どんなに宿命にハッ倒されようが、汚水啜って泥まみれになってでも立ち上がってやろうじゃねぇか。




俺はその決意と誇りと意地を胸に右半身の力だけで立ち上がり、右手の刀を握り直す。

俺の意志に答えるように、カチャリと鳴る白刃。




「俺には守りたい場所がある。守りたい人がいる。守りたい世界がある。だから――だから!! 死んでも勝たなきゃならねぇんだッ!!」



たけり立つ猛獣の如く魂を揺さ振るようにえた俺は、一片の迷い無く右手に持った白刃を右のこめかみからブッ刺す。




――グシャリ




美しく

…生々しい

……肉が

………潰れる

…………音が

……………頭の

………………中から

…………………聞こえ

……………………視界は

………………………暗転した


















―――――――――――――――
















――……ココハ、ドコ?――


ここは、親父の使った術の中。



――……キミハ、ダレ?――


今、頭を串刺しにしたアホな男だ。



――……ナニ、シテルノ?――


俺は……狂気を倒そうとした。



――……ナンデ?――


俺の目を見えるようにするため?

……いや、そんな目ン玉一個のために命をかける意味が分からねぇ。

お袋を倒すため?

……いや、狂気を倒したからって、劇的に強くなるわけじゃねぇだろ。

親父に言われたから?

……いや、んなの論外。


俺が狂気を倒す理由はそんな細かかったり、夢みたいだったり、アホらしくはねぇ。




俺が戦う理由……それは俺が俺であるため。


傲慢で貪欲な人間らしく、生存願望を自己中心に叶える。

純粋で単純な生物らしく、生存本能のままに喰い尽くす。



俺は……













―――――――――――――――













微睡まどろみに飲み込まれかけた意識が、一気に覚醒する。

そして、その意識が俺に叫べと騒ぎだした。

例え絶望に飲み込まれそうになったとしても、余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)に気高く猛々しく『自分』を叫べと。

それに答えるように、俺はふてぶてしく薄笑にやける。

頭に刀が突き刺さって、半身が吹き飛んでる、生きてるのも怪しい人間だと分かっていながらも、俺は笑い……そして叫ぶ。







「俺は――生きるッ!! 例え辛くても苦しくても悲しくても、自分が見えなくなって深く深く絶望しても、俺は生きるッ!!」




俺は、俺自身に向かって叫ぶ。

まるで、自分の存在を確かめるように。



――……サァ、見セテヨ。君ノ世界ヲ――



少年の声が染み入るように頭の中から聞こえ、頭に刺さった白刃から優しく暖かな力が来るのが分かる。

その力は『万物創生』。




「――ウォラァァァァアアアアッッッ!!」




俺は全力で創る……


俺の運命を凪ぎ払う最強の心を。

俺の宿命をブッ壊す最速の技を。

俺の世界を守り切る最硬の体を。



俺の全力に答えるように、白刃が神々しい程の輝きを放ち、その輝きは天を貫く一本の光柱となる。

その光は優しく暖かに俺の体を照らし、傷を負った体を『創り』直す。

治癒というより修復に近い形で体の傷がなくなり、破壊された左手や左脇腹も細かい部品から外装まで、ハイペースで創られていく。

痛みはない。むしろ、その柔らかな光を浴びていると、心が安らぎ心地好かった。




≫≫そして、彼は伝説となる。


それは、世界最強の主婦のように何かを極めることなどしない。

天界から舞い降りた聖騎士のように、正義を貫くなどはしない。

冥界を一人で統一した魔王のように、頂点に君臨などはしない。


ただ、『産まれた』意味を人より少し学んだだけ。

ただ、『生きる』強さを人より少し持てただけ。

ただ、『死ぬ』宿命を人より少し受け入れただけ。



けれど……いや、故に彼は伝説になる。



人間らしく人間の枠を超える人間。

人間超越ビーオーバー・ヒューマン

後にそう呼ばれることになる彼は今、伝説としての覚醒を開始した。≫≫




「ウォラッ!!」



俺は創生されたばかりの左手を握り締め……足場である鉄柱を殴る。


ただの拳――しかし、それは最硬の体から放たれる最速の技。


狂気が『鎖鋸チェーンソー』によって根元を『破壊』する前に、その拳を受けた鉄柱には無数のひびが走る。

その罅が鉄柱全体に広まった瞬間、鉄柱は一気に崩壊を始める。

落下していく鉄柱の破片は、容赦無く地面にいる狂気に襲い掛かる。

しかし、狂気は手にしている鎖鋸を振り回し、襲い掛かるすべての破片を破壊していく。

俺は自らの足場が無くなる寸前、、狂気に向かって跳び、落下しながら狂気の脳天めがけて左踵落しを放つ。

しかし、俺の一蹴は鎖鋸の側面ガイドバーで受け止められ、流れるように凪ぎ払われ横に吹き飛ばされた。

俺は空中で体を捻り、体操選手並みの着地をする。



《キャヒゥーー!! ナンカ頭ニ突キ刺サッテンダケドォ!? 傷モナンカ治ッテルシ……スゲーオモシロッ!!》



俺の頭に刺さった白刃を指差して、大口開けて笑う狂気。

確かに、落ち武者でもこんな奇妙な姿はしてないだろう。



「笑ってられるのも今の内だ……」

《ソレハドッチノ台詞カナ?》



突然笑うのを止めた狂気は、ドロドロと渦巻く禍々しい殺気を纏い始める。

このやろッ、短期戦に持ち込む気だ!!



《解放ォ!! 堕落狂危ファランダ・フォラズ!!》



狂気の体が突然現れた黒い狂炎に包まれる。

その狂気の炎は、まるで風にはためく漆黒のローブのように不気味に揺らめく。

その手に持つ物が鎖鋸でなく大鎌だったら、その姿は……正に死神ヘル



《……サァ、ココデ選手交代と行コウジャナイカ、相棒。善人面ハモウ飽キ飽キダ。俺ニ生キテル証拠ヲ感ジサセテクレヨ!! 骨ヲ砕イテ肉ヲ抉ッテ血ヲカキ回ス感覚デサァ!!》



空間全体におぞましい程の重圧プレッシャーが襲い掛かる。

普通だったら簡単に人の心を折り、殺してしまう狂気の波動。



――ホラ、早ク倒シテ……――



相変わらず俺を急かしてくる、脳裏に響く声。

……てか、勝てる方法を教えてくれんじゃなかったのか?

体は治ったのは助かったけど、それだけで倒せる狂気あいてじゃねぇぞ。



――君ガ勝ツ方法ハ、君ガ『創ル』ンダヨ――



…………………………あ、成る程。

そう来たか。



《ヘイ!! バトンタッチノ時間ダッ!!》



俺が納得してる間に、狂気が纏った黒炎のローブは、鴉の翼のように羽撃はばたく。

そして、すべてを破壊する鎖鋸を唸らせながら低空高速飛行で俺との距離を急激に縮める。

その様子を見ながら、俺は勝つ方法を創る。

そう、『考える』んじゃない。俺が『創る』勝利の方程式。



「……テメェに渡すバトンなんて、はなっからねぇんだよッ!!」



俺は両手の拳を握り締め……狂気に向かって迷い無く走り出す。

……俺の勝利の方程式なんて、小学生で習う計算より簡単だ。

拳=勝利


プラスもマイナスもねぇ。ただの横棒二本イコール

俺は……この手でしか守れねぇし、この手でしか戦えねぇ。



「ハァアアアアアアアッ!!」

《グヒャッハァァアアア!!》



すぐに縮まる俺と狂気の距離。

狂気が放つ殺意、堕落狂危ファランダ・フォラズの狂炎、破滅乃絶望ディス・ル・ラクシスの威圧感。

そのすべてが研ぎ澄まされた無数の刃物のように、俺の精神に容赦無く突き刺さる。


しかし、最強の心は折れることを許されない。


ひるまない、脅えない、迷わない。

俺はただひたすら前進する。



《死ニニキヤガッタカァ!?》



狂気は鎖鋸で地面を抉りながら飛行し……俺に向かって突き上げる。

鎖鋸から放たれる破壊の黒波は、狂炎を纏ってその威力を上げ、俺へと迫り来る。

その波を俺は避けない。

確実に直撃コース。

それでも、俺は避けない。



「グガッ……」



正面からの衝撃に一瞬体が止まりそうになる……が、俺は進むことを止めない。

右手の感覚が無い……そう思って横目で右を見ると、右肩から先がなかった。

切り口からドバドバと鉄臭い赤が流れ出る。

輝災禍鈴ブリーキンダ・ベルで痛みはない……だからこそ走れる。



右腕が無いなら……創るまでだ。



俺は骨を創り、血管を創り、筋肉を創り、皮膚を創り、右手を創生する。創生途中で、狂気が放った第二波が俺を襲い、今度は下半身を両断される。

内蔵がグチャグチャ破壊され、鮮血が口へと上って溢れ出るのを無視して、すぐさま下半身を創生し、そして全力で前へと走る。


そして……狂気は俺の間合いに入った。



「これでも食らえェェェッ!!」



俺は右拳を全力で突き出す。

しかし、その右拳は狂気の左手に捕まれ、グチャリと不気味な音をたながら、恐ろしいほどの怪力で握り潰される。

次は左手刀を横凪ぎに放つ。

その手刀は、狂気に届く寸前に肩ごと鎖鋸の餌食となり、跡形もなく破壊される。

蹴りを入れようとした両足は、既に狂炎に飲み込まれ、立ってるのが奇跡的な状況になっていた。



《キヒヒッ……オ疲レ様デシタァ》



鼻先まで迫った狂気の顔が笑った瞬間……ドスッという、小気味のいい音が俺自身から聞こえた。


同時に、血と肉片の深紅の濁流が喉を流れ、口からドボドボ流れ出る。

俺がゆっくりと下を向くと、俺の胸には一本の腕が『生えて』いた。

その腕は俺の左肺を肋骨ごと貫通してようだった。



《デモ、残・念♪》



狂気は右手に持っていた鎖鋸を手放し、その手で俺の胸を貫いたらしい。

狂気の楽し気な声が、鈍り始めた俺の鼓膜に響く。

視界もぼやけてきて……意識も靄が掛かってきた。



俺は勝つ。

俺は……かつ

おれ、は……かつ?













こんにちわぁ

最近学校のレポートの期限と執筆の目標更新日に追われっぱなしの夷神酒です。



はてさて……今回はちょっとバッドエンドの練習してみました。

これプラス狂気の精神状態やさらなる血肉の描写を加えて書く予定です。

グロッちぃ描写も、まだまだ未熟ですけど、頑張って書かせて頂きます!!



あと…………スイマセンでした!!

今回で狂気の正体を明かすはずだったのに、肉付けしすぎて最後まで書き切れず、次回持ち越しになってしまいました。

あと二日あれば書き切れますが、更新のリズム(最低二週間に一回更新)を崩すと、怠惰な神酒はダメになってしまうので、寛大な心でお許しください。

あーぁ、コメディなのに、ここニ、三話笑う場所が無いよ……(しくしく




あ、あと、各フラグメントで『〇〇、〇〇で〇〇が〇〇なシチュエーションだと面白いんじゃない?』ってアイディアがあれば教えてください。

参考になる意見があれば、考える時間が短縮されて、早く投稿することが出来ます。

また、上手くいけばあなたのアイディアを丸々使うかも……(作者失格



頼りない神酒ですが、更新だけは絶対しますので、よろしくお願いします。

では、また……




あぁ!? 前回の更新でPVアクセスが10万Hitに達しました!!

個人サイトを持たず、ランキングタグも付けずによくここまで来れたと思います。

この作品を一度でも見てくださった皆様、そして更新の度に見てくださった皆様、ホンッ〜トォにありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします!!




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