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SUICIDE34〜俺と親父と、なぜかお袋〜

後書きにある提案が書かれていますので、この小説に影響を与えてくださる気がある方は、ぜひともお読みください。








父親は背中を向けていても、必ず我が子に大切なものを与えている。









―――――――――――――――












「プッハー!! やっぱり酒は美味い!! もう一杯!!」



目の前で殺人酒をガブ飲みしているのは、六年……いや、七年前に死んだ須千家大慈オヤジ



……さぁ、親父との再会で一番最初にすべきことは?


A、殴る

B、ぐーぱんち

C、拳を振る

D、鉄拳制裁



……分かったか?

これはサービス問題だぞ。

この数秒で考えがまとまったとは思わないが、正解発表する。


正解は……
















………全部フルボッコ



「チョッ、真慈! 落ち着け! その振り上げた手を降ろ……ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」







※※※※※※※※※※※※※※※




―しばらくお待ちください♪―




※※※※※※※※※※※※※※※







「ふぅ〜、スッキリした♪」



親父をフルボッコし終わった俺は、キッチンに戻り料理の下ごしらえを開始する。



「ちょッ……ゲボフッ! な、何事もなかったように……料理してんじゃねぇ……ゴブッ……」



幽霊じゃなければミンチになってたろう親父は、ぐったりと空中に浮かんでいた。


……まぁ、手先から肩&足先から股の関節を外す荒技を使ったからな。

実体じゃないから自然に治ると思うけど、それなりに時間はかかるだろう。



「てか、なんで正体明かしてすぐに、息子にフルボッコされなきゃなんねぇんだ?」

「俺のことをおちょくった報いだ」

「いや! 俺がいつお前をおちょくった!?」



手足の関節が外れて、タコのような動きしか出来ない親父は、自分のした愚行を忘れているようだ。

……どう思い出させてやろうか?



「なるべくなら言葉で教えてくれ。そろそろ振り上げた拳がトラウマになりそうだ」

「俺の思考を読んだ罰に、親父をこの包丁で三枚下ろしの刑に♪」



俺は嫌がらせとして酢豚に入れるパイナップルを切ってる包丁を、真っすぐ親父に向ける。



「ふっ、霊体の俺が刃物なんて食らうわけねぇだろ! 切れるもんなら切ってみろ!」

「あぁ、ヤッてやるよ」

「む、無駄な事だと言ってるだろ!」

「関係ないな。気分でヤれればかまわない」



容赦なく近づく俺に、親父は脂汗をかきながらバタバタ浮いていた。



「……やっぱやめない? 血は出ないけど、実はちょっと痛いんだ」

「問答無用!!」

「ミギャーーーーーーーーーーーー!!」







※※※※※※※※※※※※※※※




―また、しばらくお待ちください♪―




※※※※※※※※※※※※※※※







「はぁ〜、スッキリした♪」

「…………」



親父はボロ布のようになって、今度は地面に仰向けにブッ倒れてた。

衛生上の事を考えて、俺は親父を切りつけた包丁を流し台に移し、違う包丁を手に取った。



「で、なんのようだクソ親父」

「…………」

「まるで屍のようだ、な」



俺は反応しない親父を放置して、下ごしらえを再開する。

すると、目の端でモゾモゾと動く物体A……



「……あぁ、なんで俺は息子にDV被害を受けなきゃならんのだ」

「俺のことをおちょくった報いだ」

「まったく同じ回答は止めろ! 同じ繰り返しで次こそは死ぬッ!」



物体A……親父はまるで軟体動物のように動き、カウンター席にグッタリと座った。

俺としても、これ以上不毛なことは面倒だ。



「……黒ヘルとして俺に近づいて、平然と下劣極まりない行動しやがったろう」

「あっ……忘れてた忘れてた。ゴメ〜んね♪」



親父の軽い態様に、俺は親父の頭部をなにも持ってない左手で掴んで持ち上げる。

親父の体は関節が外れてるせいか、プラプラしていた。



「忘れてたじゃねぇよ。へっどくら〜っしゅ♪」

「ピギャーーーーーー!! 頭蓋骨がへ、へこむヘコむ凹む陥没へこむぅぅぅぅぅううう!!」



俺が左手に力を入れた途端、暴れだす親父。

片手で料理しようと思ったけど……ムリだな。



「ふんっ!!」

「げべしっ!!」



右手を空けるために、サイドスローで親父をブン投げると、親父は顔面から壁に激突した。



「で、なんのようだ?」

「……ゲホッ……俺、いちようお前の父親なんだけど。こんなに暴力受けるとは思わなかったんだけど」

「で、なんのようだ?」

「いや、その切り返しはねぇだろ。せめてちゃんと反応してくれ」

「で、なんのようだ?」

「…………もういいよ」



一度ため息を吐いた親父は、さっきとは違い普通に立って、普通にカウンター席に座った。

さっきまでの軟体動物的行動は、たぶんノリだな。


言っちゃ悪いが、親父はほぼノリで生きてる人間だ。

その親父がノリを止めたってことは……







「真慈お前……左目見えてねぇだろ?」




……やっぱりな。

さすが世界最強の主婦と肩を並べる唯一の男だ。

カンが異常に鋭い彩華や、医療に詳しい麻依子でも騙せた俺の演技力も、親である二人には無駄なんだろう。


ノリを止めた父親は、俺の目を見据えていた。

……だけど、俺の片目はその目線を返すことが出来ない。

隠し事はムダだな……



「あぁ、お袋との戦闘で狂気に耐えきれずに喰われたらしい。狂気を流せば一時的に視覚が戻るけど……下手すれば脳ミソが犯される」



実際入院中に一度試した時は、脳ミソが焼け焦げそうな痛みを味わった。

あんなことを一日中やってたら、確実に俺は狂人になる。



「ほぅ……」



俺の言葉に驚きもせずに、親父は納得をした顔で自分の顎を撫でている。



「その目、治したいか?」

「なッ!? そんなことが出来るのか!?」



俺は狂気で失った視力は一生戻らないと思って、みんなに黙ってるつもりだった。

けど、その視力が戻るなんて、驚かないわけがない。



「簡単な話だ。狂気を霊力で抑えながら左目と脳ミソを繋ぐ神経の代わりにすればいい。……まぁ、霊力や狂気の繊細な調整を覚える必要があるが、覚えればニ十時間は影響ナシに左目が見れるだろうよ」

「……ムリだ。俺はそんな霊力やら狂気を調整なんてしてねぇ」



俺の場合は暴走に近いだろう。

狂気は俺を喰う気でいたからな。

喰われないように必死な俺が、狂気を制御するなんて……







「ったく、真慈! それでも俺と秦の息子か?」



親父の言葉に、いつの間にか停止していた視界を復活させる。

目の前には、ため息を吐いてうんざりした顔をした親父がいた。



「俺と秦が夜中の頑張った努力の結晶に、出来ないことがあるはずないだろが……それに、なんのために俺がここにいると思ってるんだ?」

「そこは『愛の結晶』辺りで表現して欲しかったのは置いといて……もしかして、俺に教えてくれるのか?」

「おうよ! 一ヵ月で最強の霊能力者にしてやろう」



親父は自信満々に俺に言う。

さすがにこの後の数十年、片目が見えないことを、周囲に隠し通すことは出来ないだろう。

最強の霊能力者には興味ないが、教えてもらえるならありがたい。



「……そのかわり、条件がある」



真剣な表情の親父は、俺を人差し指と中指で指す。

条件は二つということだろう。



「あぁ、出来ることならやってやる。ぜひ教えてくれ」



多分、俺は大半の条件を飲み込むだろう。

距離感がつかめないのは不便だし……なにより、みんなに心配を掛けたくない。

俺は親父の言葉を待った。
















しかし、その言葉は信じられないほど最悪で……




「お前には一ヵ月後……秦と戦ってもらう」




……最高の再戦チャンスを俺に与えた。










こんにちは、夷神酒です。

さて、この小説もそろそろ終焉が見えてきました。

本当はもう少し早く終わる予定でしたが、予想以上の評価の声でここまで来ることが出来ました。

特に、にこ様には母親との再戦リターンマッチのアイディアを使わせて頂くなど、読者に頼りっぱなしの作者です。

…なので、神酒は最後まで読者の声を聞きたいと思っています。


最終話の方向として、神酒は三種類考えております。


一つ目は、すべての恋愛フラグを無視して、コメディ一直線で終わらせる。

黒ヘルが好きな方は、この意見だと勝手に思ってます

作者としては、これを一番有力と思ってます。


二つ目は、一人のフラグに集中して、ラブコメで終わらせる。

この場合は、メッセージや感想、評価で届いた読者の意見が尊重されます。

ただ今の時点では、にこ様の評価に小夜、コロコロ様の評価に麗花の名前が出ていますので、これ以上の意見がなければ、そのどちらかが選ばれるでしょう。


三つ目は、全員のフラグを尊重して、全員分の最終話を書く。

これはある意味平等な終わり方です。

執筆時間等の問題がありますが、作者の睡眠時間と根性を削りだせば出来ないことはありません。




『〇番目がいい』や『他の終わり方があるだろう』などの意見があれば、是非とも点数はいりませんので、作品に感想や作者ページからのメッセージ等で、貴方の意見をお聞かせください。

一度ご評価頂いた方も、ぜひとも意見をお願いいたします。


そして最後に、後書きが異常に長くなってしまったことを心からお詫びします。


申し訳ありませんでした。

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