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SUICIDE30〜黒い悪夢と白い雌豹〜

本編30話突入+私の別小説『遅刻魔チーズと氷月姫のヴァレンタイン』が2/14に学園ジャンルでアクセスランク1位(短編)になった記念に………黒ヘル復活リボーン!!!







敵対していた者達が突然同盟を組む時は、必ず裏がある










―――――――――――――――







見慣れた構造空間に見慣れた家具構成、そして自分が住んできた独特の雰囲気。

…そう、ここは我が家で、場所はリビングだ。


…入院してたはずの俺がここにいるのは変だ。

それも、彩華に没収された左足がある+五体満足に動いてる時点でおかしい。


けど、もっとおかしいものが俺の目の前にあった。




「真慈ィ〜。取り合えずメシ食わせろ」

「メシの代わりに拳はいかが?」

「『食う』のは好きだけど『食らう』のは……ちょっとだけよん♪」

「………」

「いや、無表情+無言で拳を振り上げんなよ。ほら、いろんな意味でおいしくないじゃん♪ だから、せめてなんか面白いこと叫びながら殴れビョホォオッ!?」



俺の拳は、ウザイ野郎の水月…すなわち鳩尾に誤差なくめり込んだ。

感触からして指の第二関節ぐらいは入ったな。


でも、それだけじゃ終わらせない。


その野郎の被った黒いヘルメットを、右手でガシッと掴む。

そして、左拳でひたすらその腹部を打つ。

その打撃は内臓ごと抉るが如く。


打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし打つべしぃ。


「ゴボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボォ!?」

「フィニィィィシュ!!」

「ゴバァ!?」



最後に膝蹴りを一発食らわせてから、掴んでたヘルメットを放した。

倒れこんだその体の上に、俺は容赦無く足を乗せる。




「…あ、相変わらず…いや、以前より容赦がな、なくなってるな」

「黒ヘルに容赦なんて必要ねぇ…俺の辞書にはそう書いてある」

「うわ、素でひでぇ」




…俺の目の前には、黄泉に帰ったはずの黒ヘルがいた。




「で、なんでお前がここにいるんだ」


何となくラッシュを浴びせたものの、なぜここに黒ヘルがいるかさっぱり分からない。

てか、また変な空間に移動させられたかも……




「なんとなくだけど」

「なんとなく?」

「あぁ、なんとなくだ…ヘブッ!?」

「なんとなく?」

「…OKブラザー、ちょっと顔面キックはキツいぜ…グビッ!!?」

「ナントナク?」

「いや、マジでもうやめてください」




このまま続けても、出来るのは顔面ミートパイ一枚だけなので、仕方なく蹴りを止め、足を退ける。


「ふぅ、もう少しで俺のナイスガイな顔がダメになって、世界が涙するところだった」

「お前が存在してる時点で、世界は絶望で号泣してる」

「存在否定!?」


黒ヘルは俺にツッコミながら、ゆっくりと立ち上がって……















「サイナラ♪」

「またかよ!?」




俺はデジャヴを感じながら、再び光に包まれた。
















―――――――――――――――













俺はいきなり目が覚めた。

そして、そのおかげで助かった。


「う゛〜。もう少しだったのにぃ」

「あぁ、もう少しで飢えた雌豹に食われる所だったな」

「雌豹なんて人聞きが悪いわ。淫魔サキュバスにしてよぉ」

「そっちの方が数万倍タチ悪いだろ」



…俺が目を覚ました瞬間、目の前にあったのは、鼻先数センチ先まで超接近した彩華の顔。

それを見た瞬間、俺の左手が無意識に反応してその額を押さえ、接近を阻止してくれた。

自分自身の反応速度に感謝だ。



「んっ、もういけずぅ。寝ていた王子様を熱〜いキスで起こそうと思っただけじゃない」

「俺は王子じゃないし、キスで起こすのは姫の方だろ。……てか、迫ってくるな!!」

「ふふふ、私の愛は片手で受けとめ切れるほど軽くないわよぉ」

「片手しか動かねぇんだよ!」



そんなことやってる間に、ピンク色した彩華の艶やかな唇が紙一重まで近づいてきた。

動きたくても、一本しかない足に彩華の両足が絡みついて動かないし、首を動かそうにも、頭を両手でガッシリ捕まれてビクともしない。

……あ、もう無理だ。

食われる……







「姉さん。それ以上は許さないぞ」



そんな声と同時に、紙一重まで迫ってきた彩華の顔が一気に遠退く。

その先には、彩華の襟首を掴みながらため息を吐いている麗花がいた。



「麗花、ありがとう。…マジで焦った」

「うちの姉が失礼をした……だが、それほど焦ってたようには見えなかったぞ?」

「自分が抵抗出来ない状況で猛獣に襲い掛かられたら、生きとし生けるものすべてが腹決めるさ」

「なぜか物凄く説得力があるな」

「体験者は語る! ってやつさ」

「……なるほどな」



手元の彩華を見て納得したようにうなずく麗花。

てか…


「……彩華、その格好は何だ」

「やっと気づいてくれたぁ♪ どぉ? 結構似合ってるでしょぉ?」



彩華は目の前でキャッキャッと騒ぎ立てる。

その姿はいつものビシッとした深紅のスーツではなく、純白の服に純白の膝上スカート、そして頭には一部の人間しか被らない独特の形状をした白いキャップ…




その姿はまさに女性看護士…通称ナース。



「……彩華、俺の嫌いなものを三つあげてみろ」

「いきなりねぇ……他人の涙、自分自身の弱さ、そして病院ね♪」

「正解だ」

「…なぜか最後だけ幼稚に聞こえるのは私だけか?」



麗花は義理堅くツッコんでくる。

しかし、ツッコミはこの際全面無視。



「さて、病院にいるだけで胸クソ悪くなる俺が、ナース服なんてものを見たらどうなるでしょう? 彩華!」

「ムラムラする♪」

「どっちかって言えば怒りの業火がメラメラしてるぞ。次、麗花!」

「わ、私か!? ……殺意が芽生える?」

「それは病院にいる時点で成長して満開の花を咲かせてる♪ はい、二人ともハズレ。正解は……」



――正解を言おうとした瞬間、俺の第六感が叫んだ。

『それを言ったら命の保障はない』と。

そして『早く思い出さないと、手遅れになる』と。――




そんなことが頭を巡っている中、突然開く病室の扉。

そこには、前回の最後で一緒に寝ちゃった人。



「真慈、起きた? あ、彩華さんに会長さん。もう来てたんですか。あーぁ…彩華さんダメですよナース服なんて来ちゃ…」



しかし、第六感は一足遅かったらしい。

俺のことを一番知っている麻依子おさななじみが、いつの間にか消えてたことに気づかなかった俺のミスだ。

そして、麻依子は当たり前のように口を開く。







「真慈は病院内でナース服とか見ると全身の力が抜けちゃうんだから」



ありがとう麻依子。

見事な死刑宣告だよ。



「んじゃ、アタシはこれから用事があるから、あとは頼みます」



そういって麻依子は部屋を出ていってしまった。

残されたのは三人だけ。




「…麗花ぁ。ちょっと提案があるわん♪」

「奇遇だ。私も姉さんと話したいことがある」

「「協力する(わよ♪)」」



ヤバい!!

姉妹が同盟を組んだ。

さらに、二人揃って俺ににじり寄ってくる。



「彩華も麗花も落ち着けッ! お前等俺に何する気だ!?」

「「もちろん、襲う(わよ)」」

「待てッ!! 特に麗花は待てぇい!! いつもならそんなこと言わないでしょ!?」

「そんな細かいことを気にするな」

「気にするわボケェ!!」



二人の眼が完全に据わってる。

ヤバい。今度こそ…




「いっただっきまーす♪」

「し、失礼するぞ」

「ギャァァァァァァァァアアアアアアアア!!!」
















それから数十分後に亮佑と洋が来るまでに、俺は二人のオモチャと化していた。

そして俺がさらに病院嫌い、ナース嫌いになったのは言うまでもない。



真慈にはあと一話ほど入院していてもらうことになりそうです

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