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SUICIDE26〜諦めの教え人〜








情報と地の利を制し、戦力と人選に大差がなければ、万戦に負けること無し







―――――――――――――――




俺は俺のしたいように生きる。

文句は誰からも受けつけない。


これから俺はどんな汚い手を使っても、俺の周りの人達を守る。

それは俺一人だけでもやり通すけど……



『――こちらY03‐通信状況OK?』


耳につけた無線イヤホンから聞こえる、俺を手助けしてくれる仲間の声。



「こちらH01‐通信状況良好。事前作戦通り、プラン01Aを遂行する」

『――いや、目標03、12の予定位置がM/26、D/05に変更されてる。僕としてはプラン01Aよりインパクトのあるプラン03A'を推奨するよ。どうする?』

「作戦会議の時に言っただろ? 作戦指揮は任せたって。…F01、M01、R01にもその趣旨を伝えてくれ」

『――了解。プラン03A'のFirstシークエンスからNextシークエンスからに移行するタイミングは、僕が見計らって通信を再開するから、絶対聞き逃さないでよ』

「ラジャ。で、あと何秒だ」

『――カウント10で突入して。健闘を祈る…いや、完勝コンプリートを望む』

「望む必要はねぇ。俺がそうするからな」




俺は通信を切り上げ、目の前に立ちふさがる扉を見据える。


『…カウントスタート…10…9…8…』


……この先に俺の守るべき人がいる。


「5…4…」


大丈夫、お袋に比べれば今度の敵はカス共の集まりだ。


「…3…2」



俺は目の前のドアノブをしっかりと掴み……



「…1…Go!!」



俺は自分の世界のために、必要不可欠な欠片ピースを守るために、今話題の怪物モンスターたちに横槍ブッ刺すような喧嘩を売る事にした。













―――――――――――――――












私は今、生徒会室にいる。

私はただの教師であって、この部屋に入ったことは教師生活で片手で数えられる程である。

そんな私がこの部屋に入ることになったのは……



「彼女のような教師に、私達の子供を教育する資格はないザマス」



そう発言しているのは、目が痛いほど豪華な装飾品をしている小太りな女性。

…この学校のPTA会長である。


私がここにいるのは、この前の体育祭で、私と真紀がいる所を一部の生徒に目撃されたから。



「まったく、生徒の見本となるべき教師が、未成年時に出産してるような人だったなんて……よく今まで黙っていられたザマスね!」



私に向かってこれでもかと罵声を浴びせてくる彼女と、その横に並んで首を縦に振る十数名のPTA役員たち。




………彼女の言う通り、十二年前…私は十五の時に真紀を出産した。

私と同級生だった真紀の父親は、私の妊娠を知った時に何も言わず蒸発した。

両親にも反対されたけど、私は真紀を出産して、子育てと勉強を死に物狂いでした。

教員免許をとってすぐ、迷惑をかけた家と離縁して、今まで数年間二人で過ごしてきた。

…そしてこの学校に就職した時に、私はその事実を隠していた。


今の理事長にそのことがバレた時には、潔くやめようと思ったけど、理事長は私の事情を知った上で私を雇うと言ってくれた。


その期待に応えるため、そして真紀に不自由な思いをさせないために、私は必死にこの仕事を頑張ってきた。



「理事長も理事長ザマス。こんな人を雇っておいて私達の前に姿を現さないなんて…」

「高崎様。最初に申し上げた通り、理事長は多忙なため私が代理として出ているのです」

「……まったく、肉親と言えど生徒を寄越すとは…驚きザマス」



しかし、PTAとしてはそれが面白くないのだろ。

私の隣に理事長の代わりとしている生徒会長に突っ掛かってくる。


「まぁいいザマス。あなたが辞めてくれれば、私達は文句ないザマス」

「………」


私に鋭い眼光を向けるPTA達。

その瞳は『辞めると言え』と迫ってくる。


……確かに理事長に甘えてここまで来たけど、そろそろ潮時なのかもしれない。


真紀には悪いことだけど……私は疲れた。

私じゃない誰かに幸せに育ててもらえることを願うことに………










「失礼しま〜す」






間の抜けた声の後、突然の轟音と共に私とPTA達との間を、異物が高速で通り過ぎる。


それは、この部屋の扉だと気づくのに時間はかからなかった。


なぜなら、轟音がしたほうを見たら、扉が抜けてしまった出入口だったから。


そして、その先にはこの学校の中で三つの指に数えられる問題児。その白髪が、凍てつく風と共に揺らめく。

彼はいつもと同じ…だけど違う姿をしていた。






「鍵がかかってでたんで、ブッ壊させていただきました♪」







不適に笑う須千屋の左肩は、黒く光りを放っていた。





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