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SUICIDE22〜親子戦争‐死・終焉乃刻〜






人間は一番壁を作る生物

人間は一番壁を見る生物

人間は一番壁を越えてきた生物

人間はこれから壁を越える







―――――――――――――――




簡潔に説明しよう。

俺はグラウンドを走っている。

以上ッ!



「逃げ回ってないで、いい加減刻まれなッ!!」

「いや、絶対ヤダ」



お袋は包丁を振り回し、幾重もの斬撃を飛ばしてくる。

狂気の含まれた斬撃を、俺は避けるしかない。

狂気を纏った左拳でも、ちょっとを大幅に超えてヤバい。



《ヒヒヒッ…斬リ刻マレルッテ、ドンナ気分ナノカネ》



俺が知るか。

てか、テメェは黙ってろ。

回避に集中できねぇだろが。




「あ゛〜!! もーヤダッ! 全然当たんないとつまらないね!」

「こっちは当たったら洒落になんねぇって!!」



こっちだって輝災禍鈴ブリーキンダ・ベル+狂気によって運動能力が上がってるから避けられるわけで、どっちかがなかったら数十回前の斬撃でお陀仏してた。




俺がそんなことを思ってるのを知ってか知らずか、こっちを見てため息を吐いたお袋は左手を前にかざし……



「まったく埒が開かないね……突虎槍とつこそう白縛破迅ひゃくばくはじん



お袋の前に現われたのは、見た目は糸の通ってない縫い針。

大きさだけは包丁と一緒で、長さは四メートルはあり、人の腕ぐらいの太さがある。




「これは龍に対をなす虎を殺す槍で、見た目はあれだけど威力は筋金入りだよ」

「そして、家の開かずの部屋にしまわれてた家宝……であってるか?」

「正解。さすが私の息子だね」



…オシ、生き返ったら開かずの部屋を無理矢理開けて、中にあるもの全部処分しよう。




「…だけど、烈襲叢牙とはちょっと違うんだよね」



そう言って笑みを浮かべたお袋は、左手を上げて後ろに引き伸ばし、右手と右足を体の前に持っていく。




…それは、まるで槍投げのように。



「主婦流槍術奥義…空貫弾くうかんだん!!」



お袋の体がブレる。

それと同時にこっちに向かって巨大針が一直線に飛ぶ。

針が通った後は空間が歪み、その歪みが純白の地面を深々と抉る。


主婦ってこんなことも出来んだねぇ、いやぁ〜ビックリビックリ…



「って、現実逃避してる場合じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ!!!」



一瞬フェードアウトした意識が戻った瞬間、俺は横に跳躍して危険飛行物体を避ける。


が…



「……グッ」



針本体の直撃は避けた。

けど、右足が空間の歪みによって狂気ごと潰される。

足の芯からメシャッ、と心底不気味な音が肌を伝わって聞こえてくる。

支えが一本になった俺の体は、避けた時の速度を殺すことが出来ずに何メートルも転がってから止まる。




「…クソッ……血餓狼刀ガルム



片足では立ち上がれないため、左手に黒い刀身を持った諸刃の日本刀を出現させ、それを支えになんとか立ち上がる。



「なんつう攻撃だボケ!!」

「だから言ったじゃない。『烈襲叢牙これとは違う』って。…やっぱり投げられるって色々便利ね」

「ドアホッ!! 便利どころか小さな戦争を一発で終わらせかねない威力だろが!!」



実際、投げられた巨大針は地を這うように飛んでゆき、地面に長くて巨大なクレーターを残してった。

上から見たら一直線の地上絵が出来てるだろうな。




…それにしてもだいぶヤバい。

片足がやられたことでスピードが著しく下がった。

骨はやられてるけど、ギリギリ体を支えるぐらいは出来る。

しかし、移動どころか回避も出来やしねぇ。



《シシシッ! 串刺シニサレルッテ面白ソウダナ!!》



ったく、テメェは死にてぇのか殺してぇのかどっちなんだよ。



《俺ハ楽シケリャドオデモイイネ! 血ガ湧キ踊ルヨウナコトナラナ!!》



…テメェは取り合えずしばらく黙ってろ。



《ツマンネェ相棒二俺カラノPRESENTダ!!》




狂気の言葉と共に、背筋に冷たいなにかが走って…



「…グガァァァァァアアアアアア!?」



体中が燃えるように…熱い。

灼熱の鉄を体に埋め込まれたようだ。

心臓が狂気と共鳴し、その狂った鼓動が体中に響き渡る。

その響きによって、脳ミソがドロドロに溶けるような感覚が俺を襲う。




《ウヒョヒョ! 小サクマトマッテ渇イテンジャネェヨ! ソノ血デ渇キヲ潤セ!!》

「コッ…カグッ……このッ野郎ッ!」



狂気が全身に回る。

体に纏っていた狂気が、右半身にまで侵食を始める。



「ギガッ…バッ…ッザケてんじゃ…ねぇッ!!」



唇を噛み千切る勢いで噛む。

痛みを感じないが、口に血生臭ささを与える。

その血を飲み込みことで、広がる狂気の欲を一時的に満たす。



《……チッ! 中途半端ナコトシヤガッテ…アー萎エタ》



体の熱が急激に引き始める。

心臓の鼓動も一定の落ち着いたリズムを刻むようになる。

…狂気に飲み込まれずすんだが、侵食が進んだ。

胸部から右腕に掛けて、黒い狂気に包まれてしまった。

あと、左の目や耳がやけにクリアだ。

獲物を狙う獣のように、動くものを瞬時に捉え、その足音を確実に聞き取る。

…たぶん左の顔も狂気に包まれたな。






「息子ー! ボオッとしてると次当たるぞー!」



その声に反応して前を見ると、さっきの巨大針を持ったお袋が居た。



「ハァ!? なんでさっき投げた針がそこにあんだよ!」

「ん? 投げちゃったからもう一本出しただけ」

「…何本もあんのか?」

「いや、一本だけだね。この世界では『現世から呼び出す』んじゃなくて自分の霊力で『創る』んだから何本でも出来る……らしいよ」



ヲイヲイ、らしいってなんだよ、らしいって。

……だけど、いいことを聞いた。

『創る』んなら、俺も思う存分出来るじゃんか。




「お袋ッ!!」

「どーした息子。降参して素直に殺られる気になったのか?」

「いや、降参した相手を殺るのは人道的にどうかと」

「私の息子だけにならオールオーケー」

「いや、その線引の意味分かんねぇから」



嫌な意味で特別だな……って話しがずれた。



「取り合えず降参はしない。てか、今から空気読めないことするから謝る。スマン」

「なに? 『実はマザコンでしたぁ☆』って言って私の胸に飛び込んできて、そのまま黄泉で親子の禁断の愛を…」

「昼ドラ並のドロドロだけど、ちょっとどころか全然違う」




そう言って俺は刀を投げ捨て、左腕を後ろに向かって直角九十度に伸ばす。



「…最終安全装置解除コード、ヘルヘイム…発動・煉獄焔砲グニパヘリル



俺にとって、記憶に何度も刷り込まれた忌々しい言葉に反応し、左腕が変形を始める。



肘等の関節部が固定。

肩の骸骨が真下を向くように腕が九十度回転。その骸骨を前に突き出すように、肘の部分が肩の方に来るまでスライド。

そして、骸骨の顔が前を向く位置に行くように、骸骨だけが上九十度にスライド。

最後に、ズレがないように完璧に固定…

俺の左腕は、骸骨が先についた狂気の炎を纏う一本の筒と化した。



「…今のお前、スーパーロ〇ット大戦に出てきそうだね」

「あんなドデカいやつと一緒にすんな。こっちは人間サイズだ」



正直、人サイズの武器にこんな変形なんて必要性ゼロだと思う。

あの時の開発者の中に超合金好きがいたに違いない。

さて、そんなことは後にして……



「息子〜? 変形は面白かったけど、あんまり待たせると先に殺っちゃ…!?」



お袋がその場を飛び退いた瞬間、その地面が爆発炎上し、強烈な爆風が砂を巻き上げ、空には黒煙が立ち上る。



「チッ…外したか」

「息子ッ!! お前なにしやがる!!」



その爆発を回避したお袋は、超人的反応でこっちに斬撃を放つが、暴走して増した狂気を放って相殺する。




「なにって…お袋に向かってミサイル撃ってる」



お袋から少し目を逸らせば、さっきまで閉じていた腕の骸骨の口が開かれ、そこからは白い硝煙が立ち上っていた。

…さっきの爆発は俺の腕から撃たれた一発の実弾ミサイル。



「…AGMー114 正式名称『Helicopter Launched FireーAndーForget』…通称『ヘルファイア(Hellfire)』。アメリカ軍が使用するの対戦車用ミサイル。これはそれを小型化したやつだ」

「…私は戦車扱いか?」

「息子を龍や虎扱いするよりましだろ」



正直、戦車より龍とかの方が扱いヒドいだろ。



「…でも、KY宣言してたわりにはあっけなかったね。その腕には一発しか装填されないみたいだし、霊力で一発ずつ生成したとしても、さっきみたいのじゃ私は仕留められないよ」



包丁と針を軽く振りながらお袋は自信満々に笑う。

…お袋の言う通り、この腕には一発しか弾は装填されない。

現世では、捨て駒の最後の足掻きとして使われる予定だったため、腕の部分に一発あれば十分だったからだ。

無論、俺は日常生活に不要どころか危険なものを体につける気はないから、装填されてないのを使ってるけどな。



「…確かに、生成して装填するその間にお袋に切り込まれたらその時点で終わりだ」



…しかし、俺には装填の必要がない。



「…でも、これでどうだ? …死爪方舟ナグルファル



生成したものが俺の後方で轟音を立てて地面に落ちる。

かなりの質量があるため、地震のような重々しい地鳴りが周辺に響き渡る。



「な、なんだいそのデカブツは?」



お袋が驚くのも分かる。

俺が生成したのは漆黒の箱。

しかし、その大きさは輸送船に積むコンテナの如くデカい。



「急がなくても見てりゃ分かるさ」



俺はそのコンテナについた穴に、左手の拳部分だった所を突っ込む。

穴の中で腕とコンテナが、構造に基づいてドッキングを始める。

続いて、左足のふくらはぎ部分から、二方向の地面に向かって鋼の棒が伸びる。

いわゆる三点支点法を片足一本で行う。

そして、腕に纏っていた漆黒の狂気がコンテナに広がる。

そして、コンテナに積まれたものが俺の腕に……



「…まさか弾倉庫!? 撃たせてたまるかッ!!」



お袋はコンテナの正体に気づいたらしい。

包丁を振り、幾重もの斬撃を放ってくる。



「邪魔すんなボケェ!!」



その斬撃を、正面に黒炎のような狂気を大量に放って相殺する。



「チッ、これで串刺しになりなッ!! 空貫弾!!!」



斬撃が効かないと気づいたお袋は、手に持った針をさっきと同じように投げてきた。

空気を貫きながら迫ってくる巨大縫い針。

さらにその針の後ろから、お袋自身が包丁を振りかざして迫ってくる。



この状況を打破する方法はあるか?

煉獄焔砲を解除して針を回避、お袋の包丁を白刃取りする…

…ダメだ!

針を避け切れずに貫かれるか、包丁に真っ二つにされるイメージしか想像できないッ!!


こうなったら…




《クククッ…分カッテンダロ? 相棒》



…分かってるさ。

輝災禍鈴ブリーキンダ・ベルの効果がもう切れそうだってことも。

体にガタが来てるってことも。

…これが決まらなかったら、俺の負けは決定だってことも。



《ソンダケ分カッテンナラ、死ヌ覚悟ガ出来タノカ?》



いや、俺は死ぬわけにはいかない。

俺は死ぬまで生きることを諦めない!



《…知ッテタカ相棒。ソコマデ生二スガルコト自体、狂気ダッテコトヲ》



なら、俺は今も昔も狂気の塊ってわけだ。

…面白いじゃねぇか。



《面白イネェ…ヤッパ相棒ニハモット楽シマセテ貰ウコトニシヨウ!!》



…なら、もっと力を寄越せッ!!!



《イイネェ! 強欲コソ最高最大ノ狂気ダ!! 俺ノ狂気ト相棒ノ狂気デ、描イテミヨウゼ酒肉池林ノ地獄絵図!!》










「…グッ!?」



さっきと同じように、体が芯から熱を発する。

呼吸は激しくなり、心臓の鼓動が激しく高鳴る。


…しかし、苦しくはない。

むしろトランス状態の如く気分がいい。

さっきは狂気のベクトルが違ったため拒絶反応が出た。

…二つの狂気のベクトルが一緒になった今、その方向は決まっている。







迫り来る針…いや、その後ろにいるお袋を見据えながら、狂気に包まれたボロボロな右拳を強く握り締める。




「俺は生きるために…」

《俺ハ楽シムタメニ…》



右拳に纏う狂気が一層強く、燃え上がるように大きく揺らめく。




「立ちはだかる敵をすべて倒す!!」

《目ノ前ノモノ全部破壊スルゼ!!》



俺は拳を突き出す。

拳と針の衝突によって、衝撃破が周辺に広がる。

空気が吹き飛び、立っている地面が大きく歪む。



「生身の拳で白縛破迅をッ!? いくら狂気を纏ったって無茶だ!!」



お袋が針の後ろで衝撃破に耐えながら叫ぶ。


…その通り。

無茶苦茶なことしてるさ。




「…グガァァァァアアアアアア!!」

《チッ! コノタイミングデ薬ガ切レタカ》



輝災禍鈴の効果が切れ、身体中に殺人的な激痛が流れだす。

あまりの痛みに意識が朦朧とするが、意地でも踏み止まる。

潰された右足が、まるで灼熱の鉄板をゴリゴリと押しつけられているような痛みに襲われる。


でも、一番ヤバいのは右腕だ。

腕の骨が次々と粉砕されていくのが、骨を直接ハンマーを打っ叩かれるような衝撃と激痛を伴うことで分かる。

正直言って、この腕はもう持たない……



《相棒!! 分カッテンナ!!》



…あぁ、分かってる。




俺は右腕に狂気を集中させ、その右腕に纏う狂気の密度を限界を超えて無理矢理引き上げる。

その腕の周りは、漆黒を超えてドス黒い暗黒と言うべき色になっていた。



「息子ッ!? そんなことしたら…!!」



そして、右腕は許容力を超えたものがする反応の一つを起こす。












《ヒャヒャヒャ!! 芸術ハ爆発ダ!!》


漆黒の爆発。

表現しきれない激痛と共に、骨肉がバラバラ引き千切られ、血の臭いが一瞬で周りに広がる。

その衝撃は、針を破壊したり、足で固定された俺の体を吹き飛ばすほどでもなかった。


…しかし、接していたものの軌道をずらすのには十分だった。



さっきまでの針は、斜め上に軌道がズレて、空の彼方に飛んでいく。

その様子に唖然とするお袋。



…そして、俺の左腕の準備には十分過ぎる時間が経っていた。




「…AGM-144L 『Longbow Hellfire Modular Missile』。通称『Longbow Hellfireロングボウ・ヘルファイア』は本当の意味で『FireーAndーForget‐撃ちっ放し』を実現した…」


限界を超えた痛みは、俺の意識を覚醒させ、周囲状況の理解速度を急激に上昇させる。



…このミサイルはコンテナから弾が連続で装填されるため、コンテナの方に霊力で弾を生成すれば、装填の手間などが省けて、ほぼ無限連射が可能になる。

そして、武器が手放せないお袋にこの連射は避けきれない。


それに…



「……アンタってやつはまったく…こんな芸当どこで覚えたんだい」


お袋は負けを認めたようにため息を吐く。

その体には、地面から伸びた赤黒い鎖が何重にも巻きつき、まるで十字架にはりつけられたキリストのような姿をしていた。

その鎖で包丁も束縛されて、得意の斬撃も放てない状況だ。



《ケケケッ! イイ的ノ出来上ガリダゼ!!》


…右腕を爆発させた時に飛び散った骨肉や血には、多くの狂気と一緒に霊力が含まれていた。

その飛び散った狂気が、霊力を使ってお袋を拘束する鎖を生成した。

俺の狂気が勝手な行動してくれたが…ずいぶんいい仕事をしてくれた。



《後ハ、目ノ前ノ的ヲ思ウ存分撃チマクッテ、消シ炭二シチマイナ!!》


あぁ、分かってるさ。




「お袋…覚悟はいいか?」

「あぁ、立派とは言えないけど、息子がいい男に育ってるようでよかったよ」

「アンタも相変わらずいい女で最高の主婦だよ」

「…お世辞も上手くなったみたいだね」

「世辞じゃねぇ。俺にとってお袋は最高にいい女で、親父は最高にいい男で、アンタ等は世界一の夫婦だ」

「…じゃあ、その夫婦の子供は最高によくできた息子だね」

「フッ、上等だ」



似たようなやり取りに、お袋と俺はお互い不敵に笑う。

…最後の最後になって、たわいもない会話が出来た。



「…息子。アンタには辛い思いをさせたな…本当すまなかっ…」

「そういう話はナシだ。らしくもないことするな」

「……分かった。なら一言だけ、遅くなったが私からの遺言だ」



お袋は真剣だった顔を笑顔に戻し…
















「お前は純粋すぎる。穢れた社会に真っ正面からぶつかってくことしか出来ない不器用なやつだ……だからこそ穢れるな。大切なもののために不器用に生きて、大切なもののために不器用に死にな」







その言葉を一字一句忘れないように心に刻む。

しかし…俺がお袋と戦う前に黒ヘルが言った言葉に近いな。

似た者同士なのか?


「…てか、一言じゃねぇじゃん」

「いやぁ〜私も不器用だからね。言いたいこと言うのは一言じゃ無理だ」


お袋は世界最強に相応しい、最高級の笑顔を俺に向ける。



「まぁいい、遺言は受け取った。これでサヨナラだ。親父にもよろしく伝えとけ」

「ダイちゃんには伝える必要ないよ」

「……………………」



…ついでに、この両親の汚点は親父の女好きとお袋の馬鹿力と…お互いを『ダイちゃん』『シンちゃん』で呼ぶ合うようなラブラブっぷりだ。

親父は時々女遊びをしてたみたいだが、お袋の方はそりゃもうゾッコン。

親父のことも、一目惚れして数日後に半脅迫で結婚にまで持ち込んだらしい。昔、その話をしていた親父は、メチャクチャはにかんでいた。


…このバカ夫婦が。






「そんなことはいい、私の屍を越えて行け!!」

「…言われなくても飛び越えてやる!!」


俺は容赦なく標準をお袋に合わせる。

この戦いの幕を下ろすために…




地獄城絵図エーリューズニルモード発動………煉獄女神乃業火ヘルファイア・アンド・フォーゲット!!!」


…俺は引き金を引く。

お袋に向かって戦車さえ破壊する兵器を容赦なく撃ち続ける。

体にはかなりの反動が来るが、足の支えによって倒れることはなく、目標と着弾地の誤差はほぼゼロだ。


弾が着弾する度に、空が震え地が揺れる。

目の前で起こるのは、ただ純粋な破壊のみ。










「お袋………ありがとよ」


俺の言葉は爆音に飲まれ、頬を流れる一筋のぬくもりは、爆風によって吹き飛んでいった。
















やっと親子喧嘩が終了……飽きずに呼んでくださった皆様に感謝です(激涙

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