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SUICIDE1〜仕事の前に事情聴取〜







繰り返される日常


そんな毎日に意味はあるのか?








―――――――――――――――








ピピピッ、ピピピッ…



…眠ッ。



ピピピッ、ピピッ、ピッ…



……ん? 今日は土曜だから、目覚ましつけてないはず



ピッ、ピッ、ピッ、ピ―――



心音!?

てか、心肺停止したよな!?



「ピ――、ピッ、ピッ、ピギャシ!?」



…ったく



「黙れ黒ヘル!! 朝からウッセェんだよ!!」



俺の怒声の先には、偽目覚まし(黒ヘル)が、俺の渾身アッパーで顎を砕かれ倒れていた。






→→→→→→→→→→→→→→→




「で、仕事の話したいんだけど…このピアノ線解いてくれると嬉しいんだけどなぁ? てかこれ、SMプレイ?」

「……必殺仕事人の三味線使いってこんな感じだったのかな?」

「HAHAHAッ♪ 俺がすべて悪かったよ。…ゴメンナサイ、マジで許してください」



ただいま俺が、黒革の手袋をした右手で持ってるピアノ線の先には、黒ヘルが亀甲縛りされていた。

なぜ俺がこんな縛り方が出来るかは…聞かないでほしい。



「だから、俺は黒ヘルじゃなくて、『安全第二』って言う名前があるんだから『ダイちゃん☆』とでも呼んでくれ♪」

「ウッセー黒ヘル!! そんな呼び方するかボケ! てか、お前の名前変だ! 普通安全は第一だろ!? あと、自殺屋ってなんだよ!?」



俺は、キモい提案+名刺を渡された時から気になったことをぶつける。



「まぁまぁ、落ち着きなされ……須千家すぜんや 真慈シンジ君」

「!? なんで俺の名前知ってんだ!?」



こいつに名乗った記憶はねぇぞ!?



「色々調べさせてもらったからな♪ 

須千家 真慈16才、身長は俺と同じ173.8cm、体重は??kg、通り名はまだ不明。

父親譲りの白髪に母親譲りの天武の才能を持つ、美男美女二人の血を受け継ぐ羨ましィィィい少年。

戸野との高校の二年生で一人暮らしをしている。両親は6年前に事故で他界。

いい容姿のクセに彼女いない歴=年齢。なのに、告白受付回数81回=断る確率100%というモテない男の敵!! 真っ先に抹殺すべきクソ野郎!! 羨ましいぞコンニャロォォォオオオ!!

……いやスイマセンもう言いませんからゴメンナサアァァァアアア痛テェェェェェエエエエエ!!」



うるさい人は土に還そうかな?

…だけど今、この黒ヘルを殺っ…口が聞けないようにすると、俺の疑問が聞けなくなる。

仕方なく、俺は線を引くのをやめた。



「おい黒ヘル、お前自殺屋って言ってるけど、何で俺んトコ来た? てか、自殺屋ってなんだ?」



正直、『自殺屋』なんて商売あるか分からない。

…例えあっても、タウン〇ージには載ってないはずだ。

載ってたら俺は発狂して、近所の公衆電話に置いてあるすべてのタウン〇ージを真っ二つに破り捨てるだろう。



「…せめて、ダイジと呼んでくれ。まあ、とりあえず質問に答えよう」



素直に従ったので、俺の中で黒ヘルはダイジに昇格する。



「俺はシンジに『未練ない自殺』をしてもらうために、未練解消&自分に合った自殺方法を提供するのさ」

「…普通、自殺をやめさせるんじゃないの?」



自殺を推奨するなんて、この世じゃ聞いたことが無い。



「まぁ、未練さえなきゃ死んでもらってかまわないのさ。

自殺屋って言うのは最近出来たあの世の組織なんだ。

ここ数年、自殺ブームとかで未練タラタラで死んじゃうもんだから、成仏しない魂が増えちゃって、悪霊が人を傷つけたりする事件が急増してんのよ。

それを改善するために、死霊をあの世に送る『成仏屋』と、未練なく自殺してすぐに成仏してもらう『自殺屋』が作られたんだ」





……へ?





「ん?…あぁ、メンゴメンゴ。簡単に言えば、俺はシンジに悔いなく死んでもらうためにここにいるってわけさ」



…いやいや、そこじゃなくて。


「あの世の組織っていうことは、ダイジは幽霊ってことか!?」

「その通り♪ だから、会った時みたいに浮いたり、壁を通り抜けたり消えたり呪い殺したり出来るぜ!!」



最後だけ危ねぇだろ!?



「てか、幽霊のクセに拳で殴られたりピアノ線で束縛されてんのかよ!?」

「俺だってビックリだよ〜。シンジは霊力が異様に強くて、幽霊に干渉出来る体質なんだよ。たぶん父親譲りだな、こりゃ」

「イヤッ俺、幽霊とか見たことないから」

「シンジが言ってるのは霊を感じる『霊感』、シンジの霊感はゼロに等しい。てか、ゼロだ。

今だって、俺がワザワザ見えるようにしてるから見えてるだけだ」



亀甲縛りの状態で威張るダイジ。

……霊感無くて悪かったな。



「それに対して『霊力』は呪いとかに使われる力のことで、普通は生きた人が持ってるはずないんだけど、君も君の父親もモンスター級に霊力が強いんだよ。流石だな!!」



それって誉められてんのか分かんねぇ!?

てか、親子揃って霊力がモンスター級って、親父も俺もどんだけ危ない人間だったんだ!?



「そんだけの霊力があれば、ワラ人形に針刺せば数千人、五寸釘なら数十万人は呪えるし、呪術を覚えれば星一つ滅ぼせるな♪」



……俺の中で、核兵器やデス〇ートを抜き去り、ワラ人形がお袋の鉄拳制裁にいで最上級危険物になったのは言うまでもない。



「まあ、殺る気にならなきゃ呪えないし、霊力は呪い以外にも幽霊に触れたり、生きた肉体にも色々出来るから…って、シンジは死にたいんだっけな」

「…あぁ、だから霊力とかはそれほど知らなくていい」

「分かった。んじゃ、仕事したいから……解いてくれないか? そろそろマジで痛い」



確かに、早く自殺屋の仕事で死ぬのも面白そうだ。



「分かった、どうせタダなら俺の命、自殺屋に任せよう。…だがこれは不法侵入罪の私刑だ。今日は一日こうしてろ!」

「オオォォォオオオオイ!! 俺目覚めちゃうよ!? 覚醒しちゃうよ!? 安全ダイジがいろんな意味で危険になっちゃうよ!?」

「勝手に目覚めてろォォオオオオオオ!!」

「ギャヴフッ!!」



亡き母直伝の正面蹴り(喧嘩キック)をダイジの勲章に食らわせて、俺は朝飯を食うことにした。

結局、この休日は朝以外は平凡に過ごす事が出来た。

どう死ぬかは、後でダイジに任せればいいさ。







「……い、以外にいいかも♪」



やっぱりこいつは黒ヘルに格下げだッ!!!




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