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30.裁判

鐘の音とともに、がんっと音立てて、目の前の扉が開いた

直線状にある向こう側も黒い服を着た人が開けていた


その扉の向こうから

豪華絢爛、眩しい人たちが、私を睨んでいた

女子グループの両親

男子グループの両親

そして、使役獣

そのすべてが、豪華で圧倒されてしまう


ただ、恐いぐらいの表情と視線で

素敵さを欠いていた

まぁ、今から裁判なんだし、相手側の私ににこやかにふるまうことはないよね


ねぇとラムムンを見ると、うんっという風にふよんっと揺れた

ラムムンの核の色はいつも通り


そうだ、いつも通りでいいんだよ

相手に気圧されたり、同じように睨まなくたっていいんだ


先生たちが言ってたように、

ちゃんと自分の言いたいことを言おう


そして、ぞろぞろと、時間をかけて彼らは、席に座ってた

そのたびに、裁判官さんらしき人に注意されてたけど

うん、一人で良かった

座るところ一か所だもん


ラムムンは、円形の、板みたいなのがあって

その上においてほしいとのこと

私がまずのって、ラムムンをおろしたら

素直におりてくれた

もにゅんってだれた恰好するのはよしなさい


寝ちゃ駄目だからね

と小声で言ったはずなのに

近くの裁判官さんに聞こえたらしく、ちょっと笑われた


いや、ほんとに寝るんですよ、この子

めんどくさーとかいって、ぷよーぷよーとか

前後左右に揺れ始めるんですから・・・


困ったものです


向こう側の席がやっと決まったみたい

どうやら、位だとか、職場とか

使役獣のすごさとか

なんか、そんなのでもめてたみたい


裁判官さんの心証はかなり悪くなってるっぽい

あのほそーい人、眉間にがっつり皺がよってますよ


「それでは、審議を開始する

 各々嘘偽りなく言葉を発せよ」

約束させるとかじゃなんいだね


そこからは怒涛だった

これが、モンスターペアレンツか・・・と

思ったよ


それ今関係ありますか?的な質問

私に親がいないとか

異世界人で常識がない

裏技をつかった

スライムなのはおかしいとか


いやいや、なんもおかしくないですから

ちゃんと、学生登録されてますよ

私、アンの使役獣はスライムって


とにかく、私があの位置にいて

汚れも疲れもしていないのはおかしい

裏技をつかってるということを言われた


先生側からも、実習には来ていないので

成長の仕方がおかしいとか

いわれたよ


うーん、マッチョ先生

忙しいそうだし、まわりがいっぱいで行きにくかったんだもん

それに、お金稼がないとだめなんですよー

私はー


でも、二年になってからは、いやって言われても通いますから覚悟してください


でも、なんか、答えるのがだんだん楽しくなってきた


それ、今関係ありますか?

ギルドに登録して実地訓練や野外活動してます

正式登録されてます

スライムについて、学んでください


とかそんな感じでさくさくっと答えられるんだよね

今関係ありますかっていうのが一番楽しい

裁判官さん、とくにあの細い人が

認めるって、超スピーディに言うのよね

もう、二人の独壇場的な感じ


あとで、お茶でもしませんか、おじさん

と思っちゃうぐらい感謝です


そして、最後に映像を見せられました

ふぉぉぉほんとに監視されてました

ひぃぃぃぃ、お風呂とか外で入ってた時があったのに


「さて、今から問題の捕食シーンです」

そう言って、映像は進んだ


私のいるところに一気に使役獣が放たれた

え・・・と思った


一年は使役獣同志の戦いは認められてない

だって、使役獣を傷つけて死んだら

二度と持つことはできないのに

なんで、と思って向こうを見ると

赤い顔、青い顔をした親子がいた


「アン」

茫然としていて、なんどか名前をよばれたみたい

ラムムンが、いつの間にかくっついてる


「あ、すいません、平気です」

ううん、ほんとは平気じゃない

何もわかってなかった

あの時、ぺっしなさいってラムムンに言ったけど

絶対にラムムンはしなかった


私は近づきすぎてラムムンが取り込んじゃったって思ってた

だけど、ラムムンは私を守ってくれたんだ


ごめんっラムムン

そう思ってるとラムムンの声が頭にひびいた


「いいの、気にしない、大丈夫?」

単語だけど、優しい優しい言葉

私の過ちを許してくれる「いいの」

ラムムンの気持ちと意見「(そんなことは)気にしない」

そして心配してくれる「大丈夫?」


「ありがとう、ラムムン」

そういうと私は呼ばれた人らしい方向に目を向けた


「使役獣の中に、まだ、彼らのはいるかね?」

私はラムムンを見る

それだけで言葉は通じた


ぶよりとラムムンが膨らむ

中に、色とりどりの美しい使役獣たち


「かえせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

見た途端、たまらなくなったんだろう

悲痛な、そして、怒りを含んだ声が響いた


涙のたまった真っ赤な目をした少年がいた

それを皮切りに、クラスメイトたちは、騒ぎ始めた


「「静粛に!!」」

裁判員さんたちのほとんどが、彼らの声に負けないぐらいの声でいった


そして、親たちに取り押さえられる子供たち

ほとんどの親の顔が、苦痛に歪んでいた

だけど、まだ一部の親たちは、子供たちに負けないぐらい

返せ、泥棒と叫んでた


「審議結果を申しつける」

一段高いところにいた黒い服と豪奢な肩かけした裁判員が初めて言葉を発した

そして私の長い裁判は終わりを告げようとしていた


ふー、緊迫の場面です(当社比)

続きはまた明日っ(そりゃぁそうだ)

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