3.識ることの大切さ
一日目の授業はあっさりと終わった
授業は、うちの公立高校より楽かもしれない
今日会った先生は2人
影の薄いクオン先生
担任の先生で、基礎学科を教えてくれる
間延びした話し方は、その内眠気をさそうんじゃないかと
私は踏んでいる
男子の一部は早寝てたしね
その上に彼の使役獣がのっかって
寝てるのは可愛かった
写メ撮りたかったなー
私にしてみれば、聞くことなすこと
初めてのことばかりで、寝ていられない状況なんだけどね
学食でお昼を済ませて
午後の授業は、実技
見事なマッチョな先生が、がはがは笑いながら
使役獣を操るパフォーマンスをしてくれた
これは、まじでっ魔法学校とかサーカスな感じ
スライムはさすがに、飛んだり跳ねたりできないから
どんなことができるか調べないとねー
クオン先生は、自分の使役獣について良く調べておいてください
と言ってたもんね
今日の授業で解ったことは
使役獣は基本的に動物・精霊・妖精・魔物の4系統
混ざりといわれる、動物と精霊が混じったような使役獣もいる
ちなみに、最初話しをしてた、さる好きの子は
さるの背中に透明羽根が生えてる
ふわふわの羽がいいけど、これも可愛いと
きゃっきゃっしてて、可愛かった
私のスライムは、魔物系列ってことが解った
さらに調べものっとなれば
行くところは1つ
ということで、現在、図書館にて調べ物中です
スライムにもいろんな種類がいて
私のスライムは初期スライムと呼ばれる種類
このスライムは
いい意味でも悪い意味でも万能スライムとも言われてるらしい
治癒魔法、攻撃魔法も使えるけど
成長してもレベルが低め
食生活に関しては悪食でなんでも食べる
なので、注意が必要
死亡率が高いが
毒物の摂取を多くするとポイズンスライムに
変化させることもできるらしい
いやいや、死んだら可哀想でしょうが
ってつっこみ入れちゃいますよ
で、このスライムさんは2体目とか予備の使役獣向きで
初心者には向かないとのこと
ううう・・・そっか
だから、みんなが引いたのか
勉強不足と常識不足だったね
やっぱ、ほんと、勉強は大切ですね
まぁでも、スライムことラムムンと仲良くやっていくのは変わりないし
悪食ってことで、貧乏な私には助かる
○○の草しか食べませんとか言われたら
私か使役獣がお腹すかせて
その結果、餓死とか、最悪だよね
うう、暗くなっちゃった
でも、悪食だから大丈夫、宿にかえったらおばさんに野菜のきれっぱしとか
貰ってみよう
埃とか雑草でもいいとかいうけど、美味しい物を少しでも食べさせてあげたいよね
んで、職業一覧でも見ようかな
将来有望ってことだけど、得手不得手はあるし
どうせなら、稼ぎのいい、場所を選ばない仕事をゲットしたい
路上でできる簡単お仕事とか間借りしても可能ですとか
ほんと、今、おばさんの宿に住めてるだけ感謝だよね
家借りるとなったら、最初の一ヶ月
ううん、一週間できっと路頭に迷ってたと思うもん
おっとと、また意識が横にそれちゃった
えーと、なになに
医療院での治療師
うん、これは、いいかも
ナースさん兼お医者さんだね
間借りしても出来そうだし、人の家に巡回してもいいよね
次はー、掃除人
ん?悪食スライムのみ
うちの子悪食さんだよね
えーと、埃の多い室内に放ち埃を食べさせる
その際、食べてはいけないものを指示しながら作業することか
ということは宿がかなり綺麗にできるってことだね
ふっふっふ、あそこの埃とか、ベットの下とか
いろいろ気になってたのよねー
あとはぴーでぴーな使い方がのってましたので
それは割愛するとして
特にスライムは
主人の「味」を覚えさせながら育てるのがいいと書いてある
味?ってなに
え、スライムに血とかあげなきゃだめなの
図書館の中、かなり私はどんびきした
うう・・・ものはためしだし
と、道具入れから、カッターを出す
ごくり、と生唾のんじゃうよ
これで、ぷすっと指さして
と考えてたら視界が揺れてる
うちのスライムちゃんが、みよんみよんと動いてる
なんか、中の核の色が青と紫に点滅する
えーと、スライム本には
青、恐慌状態
紫、困惑状態
ということは、嫌がってるってことだよね
くすくす、と私の上から笑い声がふってきた
見上げると、司書のお姉さん
「カトリーナよ」
差し出された手に私は握手した
やったー知り合いゲット
「まだ、生まれたばかりでしょ?その子」
「はい、今日誕生したラムムンです
あ、私はアンって呼んでください」
どうやらきょうこは呼びにくいらしく
昔の友達も杏子はあんずことかあんことか、素直にきょうこに読まれずに
アンとかあんちゃんとか呼ばれてましたから
もうアン呼びにはなれちゃってます
ちなみに、スライムに性別はないとのことで
スライムの真ん中のライと呼ぼうかと思ったんだけど
ラムムンって可愛くない?とフィーバーした結果です
「よろしくね、アン
それにしても、スライムは珍しいわね」
うん、そうですよね
カトリーナさんの使役獣は妖精のようで
本をもっている、
本好きの主さんに本好きの精霊さんでなんかお似合いな感じ
「それに、一日も経ってないのにこんなに感情豊かなのも珍しいわね」
へぇそうなのか
褒められたよ、ラムムン
つむっとつつくと、核がピンク色に染まる
これは照れてる証拠
「まぁ、アンが可愛がってる証拠ね」
くすくすと楽しそうな笑い声
その顔が少し困った顔になって、私をのぞき込む
わー美人サンの憂い顔って素敵・・・
「ちょっと見かねて声かけたんだけどね」
「はぁ・・・」
見かねましたか・・・
「最初から血じゃなくていいわよ
たまに上げてもいいけど
最初は、舐めてあげるぐらいでちょうどいいの」
舐めるですか
おいしくて食べちゃいそうなこの姿を
あ、青くなった
ごめんごめん、食べませんよ
うわー疑わしそうー
だって、ねー
最初の見た目、美味しそうなんだもん
これは変わらないよー
でも、食べないから安心しなさいってばっ
「んじゃ、ぺろり」
効果音付きでなめると
スライムはふるるっと震えて満足そうに光った
「ええ、そんな感じよ」
お姉さん褒め上手ですね
いやぁーとかいいつつ照れちゃったじゃないですか
司書さんは、くすくす笑いながら、周りを見渡した
「ほら、今日は入学一日目でしょ」
「そうですね」
と答えながら私もつられて周りを見た
私たち以外誰もいない図書館
寂しくもあり、静寂さが心地良くもあった
「図書館に来る勤勉で本好きさんに
親切にしたくなるのは、司書として当たり前だと思わない?」
ああ確かにそうかも
一日目に図書館に来て、ながながと座って
スライムースライムーとか
がりがり書き写して、名前までつけちゃって
ぷにぷにしてるのは私ぐらいかも
地球の高校生活で1日目から、図書館なんて行くことなかったもん
友達とわーきゃーしながら、帰ったよね
「ここが混むのはそうねぇ1か月後ぐらいかしら」
楽しそうな司書さん
「何かあるんですか?」
決まった風に言うってことはテストでもあるのかな
それは是非聞いておかなきゃ
「宿題よ、アーヴィン先生が薬草の絵を描きなさいって言いはじめるの」
「薬草ですかー」
おばあちゃんが、そういうの好きだったから
山野草とか、薬草とか育ててたもんね
「ちなみに、こっちの棚よ」
くすくすと楽しそうなカトリーナさん
当たり前だけど、ずらりと並んだ本は圧巻で
どれから手をつけたらいいかわかんないなー
っと新しい名前が出た気がする
「アーヴィン先生が薬学の先生ですか?」
「ええ、そうよ
まだお会いしてないかしら?」
「はい、私の担任が、クオン先生で
午後は実技のえーと・・・熱血マッチョな先生でした」
そう私が答えるとカトリーナさんは
図書館に響き渡るような笑い声を上げた
「まっちょ・・・熱血・・・ぷくくっ」
笑いが収まらないカトリーナさん
うん、誰もいなくてよかった
そして、司書が一人でよかった
追い出されるとかごめんですよーっ
「アン、貴方とっても楽しい方ね
貸し出しは、しばらくは2冊まで
期限は二週間よ」
目尻にたまった涙を拭いながら、カトリーナさんは
薬草の棚に行って一冊の本を引き抜いてきた
とんっと机に置かれたのは、たぶん薬学のアーヴィン先生が出す宿題に必要な本
あと一冊は今持ってるスライムの本
早速、2つ借りていきましょー
楽しみな場所1つゲットです!
20時予約ー、本日は、司書さんが増えました、よかったねーアンちゃんぼっちを少しまのがれたよっ、え、本人気にしてないって、うんアンちゃぉんだからねっ