27.強制終了
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ありがとうございますっ
「う゛わぁぁぁぁ、返せっ返せぇぇぇぇぇ」
俺は絶叫した、何故とやばいとしか脳内に刻むように点滅し
それは絶叫という答えとなって俺の口から迸る
荷物も何もかも放り出して、走った
ガラスでできた砂は容赦無く跳ね上がり、素肌を傷付け
ちりりとした痛みを走らせ、血のにおいが辺りに広がる
「いやぁぁぁっ」
と甲高い女子の悲鳴も聞こえる
俺らと同じことをしたと、気付いたのは、
あの、まぬけな異世界の女の使役獣
スライムに取り込まれた鳥の使役獣を見てわかった
8人分の使役獣とまぬけ女がスライムに閉じ込められてる
もぞもぞと動いてるのは、生きてる証拠なのか
それともあの間抜け女が、自分のスライムから出ようともがいてるのか
しかし、あのスライムあんなにでかかったか
出かける前、肩からはみ出すぐらいの大きさじゃなかったか
無能の癖して、こんな場所まで
それも、俺たちより、綺麗で楽そうな
のほほんとした顔しやがって
むかついたから威嚇しただけなのに、
捕食するなど低脳なスライムのすることだ
だけど、今はそれどころじゃない
俺の使役獣を返せっ
「ぷはっー、ラムムン、何ー?」
間抜けな声とともに顔がスライムから出てきて
どろりと、その体をさらけ出していく
砂ひとつついてない、その姿に怒りが沸く
この美しい服が乱れているというのに
この間抜け女が綺麗でいるという事実に怒りが沸いてくる
そして、隔離するようにちょこんと左肩にちょこんと乗って
無害さと安全状態になっていること主人に伝えて仕草が
なおむかつく
驚いたように目を見開き、まぬけは、後を振り向き
袋詰めされたような俺たちの使役獣をみて
俺たちをみて、慌てた
「ちょっ、ラムムン
何食べてんのっ
ぺっしないさい、ぺっ」
使役獣を取りこんでしまったことに彼女はスライムに
赤子に話しかけるように、言っている
それどころじゃねぇよ
早く出せっ
繋がりがどんどん薄くなっていくのを感じる
「いやぁいやぁぁぁっ」
恐慌状態に陥った、女子の耳障りな声が
俺もを狂わせていく
最初の使役獣は唯一無二のパートナーなのだ
主である自分が成長すれば
何体か使役することは可能だが
最初の使役獣は満足に死んで珠になるまで
変わることがない
珠になった後も、主と新しい使役獣のつながりを持つ
だから、最初の使役獣はかなり重要なのだ
戦いに負けて死んだりすれば珠にはならない
そして使役獣使には二度となれない
だから、スライムごときに食べられて
負けるなんてごめんだ
しかし、波動はどんどんと弱くなる
やばい、俺は・・・
そう思った瞬間涙があふれた
もう、家にいられない
代々使役獣使を輩出してきた
他からも一目置かれるほどの家で
使役獣を持たなくなれば、
俺は、俺は、下働きのようなカスになってしまう
う゛わぁぁぁああという叫び声とともに
滂沱の涙を流す彼、それをみて
狂ったとアンは思った
泣き叫ぶクラスメイトたち
ラムムンは、吐き出すこともせず
むしろ、かなり怒ってる
珠の色が、赤だけではない
すべての色で点滅していた
ラムムンも、主であるアンの言うことは聞いてあげたかった
ただ、中に取り込んだ使役獣は
その主と同じぐらい、否、それ以上に発狂していて
もし出せばアンが無事でいられるわけもない
だから、心配でもあり、怖くもあり
そして、怒ってた
アンは、大事
ラムムンにとってこれは絶対だ
「り・・・リタイア
そうだ、リタイアしてよ」
アンが焦りながらそう言った
でも、アンの荷物は、ラムムンの中
そして、ラムムンは、それをする気はなかった
スライムということで、評価がただでさえ低かったアン
一人ぼっちでも、楽しそうに
ラムムンと一緒にいてくれた
他のスライムの話しを聞くと、アンはスライムを使役する人の中で
一番スライムを可愛がって大事にしてくれてる
って聞いた
だから、ラムムンは、他の誰よりも何よりも
大事にしたいのだ
使役獣をけしかけ
発狂したクラスメイトたち
ぷつりと途切れた絆とともに理性まで失ってしまったようだった
阿鼻叫喚な世界の
その中で唯一、震えている少年がいた
「アン・・・だったよね」
震える少年、ユグはアンに声をかけた
「うん、そうだよ」
アンは、ユグに答える
すぐに飛びかかろうと思っていたラムムンは
その恐怖で染まった目を見て
ふよんと、その場にとどまった
「ぼ・・・僕が、リタイア信号出すよ」
そういうと、ぱんっと、救命信号を空に放った
一体の飛精霊がすぐさま飛来する
早い、が、数が足りない
「先生を・・・先生を呼んでください」
飛精霊は、それをすぐさま伝える
そして、慌てて飛んできた先生に
強制的にこの場にいる全員がリタイアとなった
「学校・・・やめさせられる・・・ないですよね?」
アンが不安そうに聞く
「今は、ない
だが、その危険な使役獣をそのままにできるかは知らん」
マッチョ先生は、ふんっと鼻じろみ去っていく
「まずは、休め
追って連絡する」
と、山先生
「どっちみち、全員完走は無理そうだな
そう心配そうな顔をするなって」
くしゃりとアンの頭をなでたのは、アーヴィン先生
「帰りましょう、アンさん」
そっと手をさしのべてくれたのは、クオン先生
私の、課外授業はそうして幕を下ろした
食料も水も確保できない過酷なる場所
月砂漠での暮らしは、予定していた二週間の期間を大幅に過ぎ
一ヶ月近くなっていた
補給と称した先生方の大雨
そして、嵐、食糧難は、生徒たちの歩みを遅らせ
気力を奪っていき
未来や命まで奪っていこうとした
のちにこの地獄の試練は学校で語り草となり
「ノウキン馬鹿の脳試練」という名前が付けられたそうだ
ゴールに・・・たどり着けなかったよ・・・という気分ですね
少し訂正しました
いかがでしょうか




