15.野外実習
はーい、今日は野外実習の行き先発表の日です
まっちょ先生にやにや笑って、楽しそうです
悪だくみが好きそうな顔をしてますよー
まぁそれもそのはずなんです
現在、秋なのですが
入学して3か月目にして、初の野外実習なのです
なので、みんなもちょっと緊張した感じです
私の方をちらちら見てるのが気になりますが
これは、ペアーになった時足をひっぱられたらどうしよう光線ですか?
でも、意外に役に立つんですよ、私
だって、もう街の外に行ってますし
図書館で勉強もしてますからー
だから、そんなに気にしないでください
と、そんな風に思っているアンをよそに
校庭に集められた生徒たちは行き先を知っていた
時は1週間ほど遡る
彼女いわくマッチョ先生の放課後にある演習場にて
「月砂漠に行くぞ」
と知らされていたからだ
彼の実技の実習を毎日受けに行っていた
最初からグループになっていた男女のグループは
次の日から、準備を始めた
男子グループは、
野外の食事、揃いの服と武器を誂えた
女子グループもまた
食事や道具、そして、熱からの加護のあるアクセサリーを買いあさり
街の在庫を空にしていく
2日後、彼らは、親しくしている友人たちに行き先を漏らす
それによって利便性をはかられたり
そういった水面下の動きが活発になっていった
そて、まわりまわった情報で、彼女以外が
野外活動が、月砂漠という、恐ろしく難易度の高い場所であることを知っていた
マッチョは、これを見越していた
その動きを満足そうに見ていた
自分の演習に来ない上、聞きにも来ない彼女の態度が気に入らなかったのだ
他の先生方には、生徒たちに情報を流布していると伝え
それによっての行動も評価点にしていた
「友達」のいない、『情報』を獲得できない彼女が悪い
という算段となっており
それについては、クオン先生も、眉をひそめた
成績もほどほどに優秀、態度もよい
グループ実習でもよくやっているのに
排他的なその姿勢が、彼にもわからなかった
そして積極性のなさが、問題ありに思えたからだ
そうやって、マッチョはリタイアさせるように
かつ、自分の演習場でがんばる生徒たちに
好成績を残せるようにと画策していった
実力主義である世界で
ある種あたりまえの闘争が起こっているといえば
そうだった
しかし、常識はずれな異世界人がこれからどんな行動をとるかは
誰にも予想できなかった
彼らの生活は、学校の中だけで終わっているのだから
彼女がギルドで活躍していることも
宿のきりもりを手伝っていることも知らないのだから
そうして一週間経った
そして、校庭に集まった教師生徒たちは緊張した面持ちで
正式な発表を待った
壇上にあがるマッチョ
そして響きわたる声で行き先を告げた
第三章はっじまりまーす




