12.宿
「アンちゃん」
にこにこと笑う、宿のおばさん
かっぷくのいい、これぞ、おばさん的な
おおらかさのある人だった
学長からの手紙を渡すと
「大変だったねぇ」と、ぎゅっと抱きしめてくれた
うん、ちょっと大変だけど
がんばるの
と答えたら、よしよしその意気だよと
ぽんぽんしてくれた
お金がないから、私は従業員さんが住む
半地下と、屋根裏部屋のどちらかを貸してくれることになった
半地下は寒さには強いけど、窓がないし
厨房から近いから、匂いや食堂の声が常にするとのこと
屋根裏部屋は熱い、窓付きで、結構広い
だけど、掃除がされてないとのこと
私は、憧れの屋根裏部屋を選択したので
おばさんの説明はそんな感じ
どっちも見せてもらったけど
半地下はちょっと怖いし、たしかにじめじめしてた
屋根裏部屋はうん、埃だった
荷物がほとんどなかったから、掃除するだけでよさそうのが幸いだった
おばさんが、作業服と掃除道具を貸してくれた
制服をみて、上物だねぇと言われ
手を見て、厨房のお手伝いは無理そうだねぇと言われた
んー、無理じゃないと思うんだけどね
「私料理部だったので、結構料理できますよ」
クラブと家庭料理程度ですけど
おばーちゃんは優しいけど、良妻賢母になる為の心得だけは
きっちりさせられたもん
剣道となぎなたもかじる程度にはさせられたなー
あの時のおばーちゃんはちょっと怖かった
まぁ、兄さんよりはましだけどね
おじーちゃんのしごきがあったらしいので
女の子でよかったです
「そうなのかねぇ、じゃぁ、掃除がおわってからでいいよ
ちょっと手伝ってもらおうかねぇ
井戸は、そっちの扉を抜けたところの中庭にあるよ
じゃぁ、がんばるんだよ」
そう言って、大きな体を揺らしながら行っちゃった
手伝ってはくれないのかー
と、ちょっと思ったけど
学長からも言われてた
自分のことは自分でする世界なこと
迷惑をかけないというのはいいことだけど
わからないことは、しっかり聞くこと
そうしないと、余計に迷惑をかけてしまうからって説明してくれた
学長さんの説明はかなり分かりやすかった
あと、出来ることは、ちゃんと言わないと駄目って言われた
だから、私の最初の説明はかなりいいと褒められた
まぁだから、宿屋に送り込んでくれたらしい
厨房の手伝いしながら、宿代ただにしてもらえるよう
がんばりなさい、とね
さーて、まずは、掃除だー
木の桶はちょっと重いけどかわいい
井戸は、ポンプ式じゃないから
ちょっと大変だけど滑車がついてるからまだ楽だよね
ざばーっと入れて、まずは、モップを洗おう
結構汚いです
石のくぼみがあったので、たぶんそこで毎日洗われてるんだと思う
水を流し込んで、じゃぶじゃぶしてたら綺麗になった
よしよし
もう一度水をくんで、モップを軽く絞る
もう一本モップがほしいところだけど、まぁ文句は言えないよね
窓をあけて、モップをばーーっとかける
それでも、もわもわと舞い上がる埃
うん、年期はいってます
ほんとは上から掃除だけど、こうなるのが目に見えてたので
まず下を軽く掃除
もっはりと山になった
濡れた埃の集合体だったりする
これは、ゴミにする
そのあと、はたきで、ばーっとはらう
そして、逃げる
扉をきっちりしめる
窓からでていってもらいつつ落ち着くのを待つ間に
モップを再度洗う
うわぁー汚い
ちなみにゴミ捨て場が近くにあったので、丁度いたおばさんに声をかけてから
ゴミを捨てた
すごい埃だねぇ
と笑ってたけど、うう、笑いごとじゃないよー
洗って部屋に戻ると、空気は少し埃っぽいだけ
床はまた真っ白になってたけど、狙い通りです
もう一度拭いて、もう一回だけ、はたき
あとは、仕上げ拭きして、今日はおしまい
あとは、日々の掃除をしつつ、綺麗にしていこう
だってたぶん、おばさん待ってくれてるんだと思う
料理の支度が遅くなっちゃうと宿に迷惑かけちゃうしね
まぁ掃除の結果それなりに見られるようになったし
顔と手も洗って新しい作業着に着替えて
これでオッケーとしましょう♪
さーて、おまたせしましたー
そういうとおばさんは豪快に笑った
あれ?ちがったのかな
とりあえず、何からしましょうか?
すいません、持病の癪が・・・ではなく
熱がでまして、昨日から予約できてませんでした・・・
遅くなりましたが、おたのしみあれー




