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1.使役獣をゲットせよっ☆

「それでは~、珠の中について~、イメージはできましたかぁ~」

間延びした話し方をする影の薄い担任のクオン先生は、

教壇で右手に小さな珠を掲げ持って説明している


説明している珠は、私の手元にもあり

これが最大の関門だったりするのです


時間は少しさかのぼり、

私は、この学園に入学ため

時間通りに学校の前に来て

大勢の同年代の人たちがいて驚いた


街で二ヶ月ほど、生活をしていたけど

同年代の子をほとんど見かけることがなかったのに

今は第一の門の前にどこから沸いて出たのっていうくらい

たくさん居いた


身なりのいい人がほとんどで、

ちょっと身構えてしまう

特殊専門学校だからなのかもしれない


よくよく見れば、普通の人らしき人もいて

みんな門が開くのを待っていた

カァンカンと、学校の鐘がなった

ゆったりとしたローブを羽織った人が校舎からゆっくりと出てきた


そして、開く第一の門

これがどんな仕組みなのかは解らないけど

魔法って凄いと思う


第二の門は、ちいさな門が5つ並んでいる


先生たちは箱をもって二人ずつ左右に並んで扉を開けた


「こちらの右側の扉から入ったら、名前を言いなさい

 その後、この珠を取って進みなさい」


前から順に進んでいく

声が小さいと二度注意されたものは、何故か門から追い出されていた

後の方に並んでいて、聞こえるぐらいの大きい声を出さないと

合格できないのかもしれない


順番も、位置も真ん中の方にいた私は、真ん中の扉に入った

蔦模様らしきねじれた鉄が四方を取り囲む

人が一人分通れ、かつ閉じ込められる

なんだか牢屋のような門だった


先生は、私を見ていた

挨拶は肝心、にこりと笑って、私は名前を叫んだ


「異世界人の紺屋 杏子です アンと呼んで下さい」

必ず異世界人と言いなさいと言われていたから

そう言ったけど、あんまり反応はなかった


まぁ結構な数の異世界人が渡ってくるらしいので

珍しいことはないのかもしれない


「アン、珠を選んでちょうだい」


色とりどりの綺麗な珠が箱に重なり合いながらあった

きらきらと光る透明なビー玉みたいな石


「相性のいいものを選んでね」


美人の色っぽい先生は、んふっという風に笑って

よく見えるように箱を掲げてくれた


そう言われても、よく分からない

好きな色、さわり心地

いろんな石を握ったけど

解らなかった


だから、緊張した手に心地良かった

ひんやりと冷たい水色のすべすべとした珠を選んだ


今それは、ちょっと蒸し暑い教室での清涼剤な気分になる

きゅっと握りしめると

すぅっと体が冷える、そんな感覚を覚える珠


それから、珠をとった順番に席に座った

クラスは二クラスになっていた

ちなみに、私のまわりは女の子が多くて嬉しい

同年代の友達は是非とも欲しいところだもんね


「あーん、緊張するー」

ピンクの綿あめのようなふわふわの髪の子が

同じピンクの珠を大切そうに両手で握って

ぷるぷるしてる


「うん、めっちゃ緊張するよね」

私も答えると

こくこくと頷くたびそのピンクの髪がふわんふわんと揺れ動く

うん、なんか食べたくなっちゃうぞ

甘いもの禁断症状中なんだから・・・


「なるようにしかならないのは分かってるけど

 現実となるとね・・・」

茶色のストレート髪の女の子も指先でつまんだ珠を

見ながらつぶやいた


「イメージねー」

くるんっと珠をまわして私も呟きのような会話にはいる


今日会ったばかりの人たちだから

お互い遠慮がちに話してる

知り合いがいる人たちは、順番関係なく固まってるようで

にぎやか男子グループと

ちょっと高飛車なお嬢様しゃべりの女子グループの声がここまで響いてくる


「貴方たちのパートナーになる使役獣ですので~

 身の丈にあった想像をして~、割ってくださいね~」

先生の説明は、続いていた

うんごめん、ほんと、影が薄いです

自己紹介してくれた通りだね、先生


しかし、身の丈にあったねぇ・・・

どんなのが身の丈ていうのかな

そしてどんな種類がいるのやら


「まぁ大精霊とかいきなり無理だもんね」

茶色の髪の子が苦笑していう

精霊はおっけーと、でも精霊て

えーと、古くなったものにつく・・・あれは付喪神だから

精霊じゃないか


えーと、ウンディネとかかな

ゲームやっといて良かったー


「あたしは、ペットみたいにずっと一緒にいられる感じがいいわ」

薄紫の髪のすそをくるんっとカールした女の子が振り向いて

会話に加わってきた

内巻き可愛いですっ


彼女も珠をなでなでしながら言ってる

みんな、珠を手に入れられて、嬉しいって感じ

なんか私やばいかも

みんな勉強してきて、なんか下準備できてますって感じかも

でも、たしかに、ペットいいかも


「あたし、昔から、おさるさん飼いたかったのー」

う・・・うん、それは、それでいいかもしれない


一緒にいられるのは必須だよねー

とくに、宿暮らししてる私としては

大きすぎるのは論外だし

ただ、宿ってペットオッケーなのかなぁ


うーん、聞いてくるんだった

それよりちゃんと調べてくるんだったかな・・・

ちょっと反省


「それではー卵を割るようにー

 机にー殻だけ割れるように叩きつけてー」

こんこんっと先生が机にぶつける仕草をする


先生、叩きつけての説明はまずいと思いますが

あそこの男子・・・なんか、めっちゃ叩きつける気満々だし


「中身がつぶれないようにーしてくださーい」

あ、さすがに注意がはいった

椅子の上に立ちあがってた投げつけようとしていた少年は笑って、

「先生、先に言ってよー」

とか言ってますが


卵割る様にって言ってるじゃーん

なんか個性的で結構おもしろいクラスかも


「じゃっ割ろっか」

隣の席の子と顔を見合わせて、こんこんっと机に珠をぶつける


なかなか罅が入らない

意外と固い?

それとも、中の想像が足りない?


クラスメイトの中にはもう割れて

歓声をあげている子もいる

わー、いいなぁー、鳥とか出てきてるよ


ひぃぃぃ割れないとこの学校にいられない

この使役獣の専門学校なんだから

それだけはさけたい


お願いだから、でてきてー

えーと卵・・・卵といったら

黄身と白身だよね


あっなんか、ひびはいった

よしっ

ぱりっとな


中から、どろりっとした卵のようなものがでて

ぷるりんっと震えて

むにんっと盛り上がった



これは・・・えーと

珠のようなものがゼリー状の何かに包まれてる


おいしそう

夏の銘菓っ


「えっ・・・スライム」

隣の子が、そう言うと若干距離を取った


これがスライムなのか

よろしくね、スライムちゃん、いや、くんなのかな?


2012/07/24から連続投稿の小説です、毎日楽しんでいただけたら幸い、

笑いあり、涙あり、やるきあり、シリアスあり、

いろいろてんこ盛りで夏にぴったりな小説です、感想などもどーぞよろしく!


一部訂正7/28

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