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クロの戦記 異世界転移した僕が最強なのはベッドの上だけのようです  作者: サイトウアユム
第3部:雄飛編

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第9話『蛮族』


 ベイリー商会……マイラの憎悪を一身に集める商会の行動は迅速だった。

 クロノが手紙を送った途端、見積もりのミスを認めて不足分の糧食を届けに来たのである。

 ただし、認めたのは今回の分だけだ。

 もう少し追い込んでやりたかったのだが、大隊長であるガウルに止められてしまったため、それ以上は追い込めなかった。

 来月以降もベイリー商会と取引を続けるかは見積もり次第なので、賢い選択と言えるかも知れない。

 権力者だからと唯々諾々と従っていたら食いっぱぐれる。

 そんな商人の逞しさを垣間見たような気がした。

 次々と麦の入った袋が食料庫に運び込まれる。

 一袋六十キロで換算して百五十袋が運び込まれたのを確認……レイラは目で確認し、再確認とばかりに暗算し、クロノに駆け寄った。

 ガウルの部下である亜人と人間は羨ましそうに、同じ人間でも貴族階級出身である重装騎兵達は珍しい動物でも見るようにレイラを見ていた。

 今更だが、ケフェウス帝国の識字率は低い。

 それなりに余裕のある者しか教養を身に付ける機会を得られないのだから、教養のない亜人と人間にとってレイラは別世界の存在に思えることだろう。

 逆に教養を備えた貴族連中から見ればレイラは芸を仕込まれた動物くらいに見えるのだろう。


「クロノ様、確認いたしました」

「サインするのはガウル大隊長だよ」

「ガウル大隊長、申し訳ございません。サインを」

「……ああ」


 若干、戸惑いながら……実際、ハーフエルフにサインを求められるというのは生まれて初めての経験だろう。

 ガウルはサインを書き、これまた戸惑いながらレイラに納入書を返した。

 レイラはしっかりとサインを確認し、ベイリー商会の担当者の元に走る。


「……使えるハーフエルフだな」

「レイラを手放す気はないよ」


 フェイに続いてレイラまで勧誘するつもりか、とクロノはガウルを睨んだ。


「そう怖い顔をするな。俺とて他人の愛人に手を出すつもりはない」

「左様でございますか」


 レイラの意志もあるけど、浮気されたり、捨てられたりしたら深刻な人間不信に陥りそうだ、とクロノは捨てられる自分を想像して凹んだ。


「だが、あれほど聡明なハーフエルフは見たことがない」

「本人の資質もあったんだろうけど、きちんと読み書きと算術を教えたし、今もワイズマン先生の下で勉強してるから」

「……ワイズマン? ああ、ワイズマン教師補か」


 軍学校を卒業したのにワイズマン先生のことはガウルの印象に残っていないらしい。

 クロノはワイズマン先生以外に覚えている教師があまりいないのだが、この話題の噛み合わない感じが優等生と劣等生の差なのかも知れない。


「教えたと言うことは、貴様があのハーフエルフに教養を身に付けさせたのか?」

「将来、役に立てばと思って」


 う~む、とガウルは腕を組んで唸った。

「あら、あの見窄らしい剣は提げていらっしゃらないんですのね?」


 そんな声が聞こえてきたのはガウルが口を開き掛けたその時だった。

 声の主はセシリー、絡まれているのはフェイである。

 見窄らしい剣とはロバートとの激戦で折れたフェイの父親の形見のことだろう。

 クロノが止めに入ろうとすると、ガウルは手で制した。


「『男子三日会わざれば刮目して見よ』と言うが、正にそれだな」


 成長したってことだろうか? とクロノはフェイを見つめた。

 見た感じはいつものフェイだが、いつもより凛とした雰囲気のような気がする。

 浴室での出来事を思い出し、クロノは相好を崩した。

 一戦終えた後、クロノはフェイに対して奇襲を敢行した。

 朝のお返しとばかりに浴室に侵入したのだ。

 そして、フェイに背中を流すようにお願いした。

 当然、普通に背中を流すようにお願いした訳ではない。

 今やフェイはクロノの騎士であり、愛人なのだから。

 クロノがお願いすると、フェイは羞恥心と忠誠心が綱引きをしているかのようにフリーズした。

 結局は忠誠心が勝ったのだが、それは薄氷の勝利であり、次なる戦いの前哨戦でしかなかった。

 フェイは丹念にクロノの背を洗いつつ、ふと我に返ったように硬直し、それでも、お願いを聞いてくれたのである。

 残念ながらフェイが全身全霊を賭した戦いは次の戦いの呼び水でしかなく、今の所、クロノの辞書に終戦の二文字はない。


「この剣は師匠の奥方、クロノ様の母親でもあるエルア様の形見であります」

「要は骨董品と言うことですわね?」


 フェイが一歩踏み出すと、セシリーはそれに合わせるかのように後退した。

 意識しての行動ではないだろう。

 その証拠にセシリーの顔は屈辱に歪んでいる。

 まるで後退した自分が許せないと言うように。


「ふ、不愉快ですわ!」


 吐き捨てるように言ってセシリーは踵を返した。

 傍から見ていると、気圧されて逃げ出したようにしか見えないのだが。

 その光景にクロノは既視感を覚えた。

 何処でだろう? と首を傾げる。

 答えはすぐに分かった。

 舞踏会でレオンハルトと出会ったクロノにそっくりなのだ。

 多分、セシリーはフェイの実力を認めているのだ。

 けれど、フェイの実力を認めることは自分が格下だと認めることに等しい。

 だからこそ、セシリーはフェイを貶めようとするのだろう。

 確かにフェイを貶めれば優越感に浸れるかも知れないが、それは一時的なものだ。

 すぐに現実に引き戻され、同じことを繰り返す羽目になる。

 もしかしたら、セシリーがフェイだけではなく、クロノにも攻撃的なのはそれが原因なのかも知れない。

 まあ、要するに八つ当たりなんだろうね。

 同じ八つ当たりでもシオンさんの方が可愛げがあったよな。

 少なくともシオンさんの八つ当たりで生命の危機を感じたことはなかったし、とクロノは空を見上げた。

 じゃあ、貴族の誇りを声高に主張して、必要以上に新貴族である僕を見下すのは由緒正しい旧貴族ってことしか勝ってる部分がないからかな? とクロノはセシリーの行動を自分なりに分析する。

 案外、劣等感の塊なのかも、とクロノは笑みを浮かべた。


「俺の隣で邪悪な笑みを浮かべるな」

「失礼な」


 クロノはそっと口元を手で覆った。


「……話は変わるんだけど、セシリーが第十二近衛騎士団から異動になった理由って何だろう?」

「俺は知らん」


 先の戦争では第十二騎士団も大きな損害を被った。

 騎士団を立て直すためには有能な部下が必要なはずだから、ピスケ伯爵がセシリーを手放すとは思えない。

 まあ、ピスケ伯爵は引き留めるメリットがなければあっさり手放しちゃいそうな気もするのだが。


「今日、明日にでも再び蛮族が攻めてくるだろう。貴様と貴様の部下にも討伐に参加して貰うぞ」

「つい先日、『要らん、帰れ』と言われたような気が?」


 ガウルは腕を組んだまま森を見据えていた。


「考えを改めた」

「左様でございますか」


 ガウルはあっさりと前言を翻した。

 面子よりも実を取ったのだろう。

 エルナト伯爵は愚息と言っていたが、あまり愚息っぽくない。


「父は……俺のことを何と言っていた?」

「子どもの頃は素直な良い子だったのに、と過去形で」


 ぐぬ、とガウルは不愉快そうに唸った。


「貴様は俺のことをどう思う?」

「第一印象は最悪、今の印象は愚息っぽくないな~、と」


 もっとマシな評価をされると期待していたのか、ガウルは俯き、怒りに耐えるように肩を震わせた。


「俺に足りない物は何だと思う?」

「部隊の運営能力と気遣い、ついでにカルシウム。牛乳を飲んで、小魚を沢山食べるように」


 ガウルの震えが大きくなる。

 肩だけじゃなく全身が震えていた。


「じゃ、準備があるから」


 怒鳴り散らされるのも面倒なので、クロノはレイラ、フェイ、スノウを回収してその場から逃げ出した。



「……と言う訳で、蛮族と戦う羽目になりました」


 クロノがクロフォード邸の庭でこれまでの経緯を説明すると、部下達は二つの異なる反応を示した。

 表情を引き締める者と不安そうにクロノを見つめる者だ。

 前者はレイラやタイガのような実戦経験者とフェイのように戦闘意欲が高い者、後者はスノウのように実戦経験のない新兵だ。


「ここにいる面々は僕も含めて蛮族と戦うのは初めてだと思います。なので、蛮族と戦闘経験のある方々を特別講師として招いてみました。まずは僕の父さん、クロード・クロフォード男爵です」


 パチパチとクロノが拍手をすると、部下も合わせるように拍手をした。

 拍手に迎えられ、養父は部下達の前に立った。


「父さん、蛮族と戦うのに気をつけることは?」

「……刻印術だな。よく分からねーが、ヤツらは刻印術って魔術を使う。こいつは身体能力を底上げして、まあ、これもよく分からねーんだが、魔術っぽい現象を引き起こす。特に注意しなきゃならねーのは槍に光を纏わせた時だ」


 養父の言葉に部下達は一斉に頷いた。


「ヤツらは槍に光を纏わせて投げてきやがる。うっかり槍に近づくと、数秒後にゃ、ドカーンだ」


 養父が爆発を表現するように握り拳を胸の位置で開くと、部下達は息を呑んだ。


「だから、戦うなら至近距離か、長距離だ。半端な距離だと、ヤツらに吹っ飛ばされちまう」


 クロノは少し離れた位置にいるマイラの隣に立った。


「……坊ちゃま、どのような意図でこのような場を?」

「情報の共有と不安の払拭」


 未知……何も分からないことは恐怖と不安を掻き立てるが、よく分からないことでもそれっぽい説明がされれば人間は納得する生き物なのだ。

 例えば何もない空間から石が降ってきたとする。

 科学的に幾らでも説明できるのだろうが、科学的に説明できなくても人間は架空の生物を生み出して不安や恐怖を払拭しようとするのだ。


「坊ちゃまは蛮族を人間だと思っていらっしゃるのですか?」

「人間でしょ?」


 クロノが言い切ると、マイラはぶるりと身震いした。


「坊ちゃまは……」

「マイラ、お前の番だぜ」

「かしこまりました」


 マイラと入れ替わるように養父がクロノの隣に立った。


「……悪くねぇ手だ。喧嘩も殺し合いも臆病風に吹かれた方が負けだからな。どんな敵なのか分かってりゃ、必要以上にビビったりしねぇだろうよ」


 そこで養父は言葉を句切り、獰猛な笑みを浮かべた。


「まあ、どんな敵なのか分かっても対処できなきゃ意味がねぇがな」

「そこが問題なんだよね」


 養父の言葉を聞いてフェイの姿が脳裏を過ぎる。

 今のフェイなら真っ正面から蛮族と戦っても大丈夫そうな気がする。

 あれ? とクロノは動きを止めた。


「どうして、蛮族は強いんだろう?」

「あん? 俺の話を聞いてなかったのかよ。ヤツらは刻印術って魔術を使いやがるからだって言っただろうが」

「あ、うん、それは覚えてるんだけど」


 身体能力の強化、爆発する槍……もしかしたら、名前や発動方法が違うだけで、


「刻印術って、神威術のこと?」

「おいおい、そんな結論が何処から出やがった」

「いや、だって、六色の精霊とか、精霊と同化する邪法とか言ってるけど、それって帝国側の理屈でしょ?」


 魔術は神威術の粗雑な模倣とされている。では、神威術とは、そもそも信仰の対象となる六柱神とは何か?

 この世界の維持管理するシステム的な何かだ、とクロノは睨んでいる。

 まあ、外宇宙から飛来したでも、古代文明によって創られたでも、偶発的に誕生したでも構わない。

 神威術は六柱神システム交感アクセスし、術式プログラムをダウンロードして、魔術は神威術を元に作られた術式プログラムを催眠効果のある薬物によって脳に刷り込み(インストール)、一定のキーワードによって起動させる。

 帝国が神威術を魔術に変えたように、蛮族は神威術を刻印術という形に変えたのだ。

 それもより神威術に近い形で。


「全員が全員、神威術の使い手なら強いはずだよ。でも、相手が神威術の使い手と分かれば対処のしようはあるね」

「そんなに上手くいくのかよ?」

「うん、まあ、多分」


 養父に突っ込まれた途端、クロノは急に不安になった。

 神威術の弱点は過度の使用によって術者が発狂することだ。

 神威術を使いすぎると、発狂するのはクロノが天枢神楽の多重起動で激しい頭痛を覚えるのと同じ理屈……脳が術を起動するのに必要な演算を無理にこなそうとして破壊されるからだろう。

 多分、刻印術にも似たような弱点があると思うのだが、改良を重ねて弱点を克服していたら手の打ちようがない。


「上手くいかなかった時は……逃げるよ」

「ヘタレなんだか、決断力があるんだか分からねーな。ま、意地の張り時を間違えなけりゃ、どっちでも構わねーが」


 クロノはガウルやエルナト伯爵のために命を賭けるつもりはない。

 もちろん、蛮族のためにもだ。


「大丈夫だよ、多分」


 だから、クロノは養父にそう答えた。



 夜……闇を照らすための篝火が幾つも揺らめいている。

 胡麻のように小さなそれが篝火だと分かるのはガウルの作戦を聞かされていたからだ。

 ガウルの作戦は単純明快だ。

 陣形を組み、蛮族を迎え撃つ。

 真っ当な戦い方だが、それでは敵に主導権を与えるようなものだ。

 今回、別働隊として参加するクロノの作戦は歩兵四、弓兵一の五人で編成された分隊を作り、蛮族が現れたら最も近くにいる分隊が足止めしている間に他の分隊が合流、袋叩きにするというものだ。

 流石に心許ないので、罠も仕掛けているが。


「ねえ、クロノ様?」

「何だい?」


 もぞもぞとスノウが隣で動く。


「あっちみたいに陣形を組まなくて良いの?」

「他所は他所、うちはうち」


 現在、クロノは泥で汚した布を被り、家畜小屋の近くにある茂みに身を隠している。

 部下達も偽装して茂みに潜んでいるはずだが、偽装が完璧すぎて配置を把握しているクロノにも見つけられない。


「君は他の分隊が見える?」

『臭いで、ある程度は』(がう)


 隣にいる獣人に声を掛けると、彼は鼻をひくつかせながら答えた。


「クロノ様、フェイは何処にいるのかな?」

「う~ん、何処だろ?」


 軽騎兵と弓騎兵はフェイの神威術によって姿を隠している。

 フェイが信仰する『漆黒にして混沌を司る女神』の力は光を歪めて姿を隠すこともできるらしく、居場所を突き止めるのは困難だ。


「あっちで戦いが始まったみたいだよ」

「……そうみたいだね」


 スノウに言われ、クロノは目を細めた。

 篝火よりも大きい赤と翠の光が夜闇を切り裂くように走り、兵士達が慌ただしく動き始めていた。


「……クロノ様、前から来た」

「だね」


 前方……百メートル先にある森の暗がりに赤い光が灯る。


「敵は一人だけ?」

「もう二人いるよ。一人はお母さんと同じくらいの年齢で、もう一人はボクと同じくらいかな?」


 わざわざレイラと自分に喩えるってことは女なのかな? ワイズマン先生から蛮族は母系社会って教わった記憶があるけど、とクロノは赤い光を睨んだ。

 バッタのように跳躍し、赤い光は瞬く間に大きくなる。

 五十メートルほど距離を止めた所で赤い光……蛮族の女は動きを止めた。

 ふくらはぎまで足が地面に埋まっている。

 クロノが仕掛けた罠……泥濘に引っ掛かったのだ。

 最も近くに潜んでいたエルフの弓兵が立ち上がり、動きを止めた蛮族の女に向かって次々と矢を放つ。

 女の体を彩る赤い光が輝きを増し、矢が燃え上がる。

 いや、神聖アルゴ王国のイグニスのように矢を蒸発させたのだ。

 だが、エルフの弓兵は諦めない。

 既に養父とマイラから蛮族の情報は伝えている。

 情報通りのことが起きたからと言って諦められては困るのだ。

 蛮族の女はゆっくりと泥濘を歩む。

 鏃を蒸発させるなんて非常識をやらかすくせに泥濘の水分を蒸発させることはできないらしい。

 いや、自分の放つ炎と熱に耐性はあっても高温の蒸気や熱湯では火傷を負うのかも知れない。

 クソッ、刻印術のルールが分からない、とクロノは歯噛みした。

 エルフの弓兵は矢を放ち続け、援護するように矢が飛来する。

 レイラだ。

 レイラは蛮族の女から百メートル以上離れた場所から矢を放っていた。

 蛮族の女が腕を一閃すると、火球が次々とレイラに降り注いだ。

 まるで炎弾乱舞の強化版だ。

 だが、火球はレイラを捉えられなかった。

 レイラは馬に乗り、一時として同じ場所に留まっていないからだ。


「いけるか?」


 思わず、クロノが呟いた瞬間、森の暗がりに翠の光が灯った。

 跳躍ではなく、飛翔。

 その女は泥濘に足を取られる同族を抱き上げ、茂みへと迫る。


「不意打ち御免であります!」

『……っ!』


 突如、フェイは虚空から現れ、飛翔する二人の蛮族に神威術『祝聖刃』で強化された刃を振り下ろした。

 瞬間移動でも使ったような見事な不意打ちだが、実際はジャンプして攻撃する瞬間に神威術による偽装を解除しただけだ。

 フェイの刃が止まる。

 赤い刻印術の女と翠の刻印術の女が腕を突き出し、何らかの方法で刃を防いだのだ。


「ぐ……ぬりゃぁぁぁぁぁっ!」


 フェイの意志に呼応するかのように刃を覆う闇が爆発的に膨れ上がる。

 フェイが力任せに刃を振り切ると、赤い刻印術の女は地面に叩きつけられ、翠の刻印術の女は茂みの中央にふらふらと着地する。

 目眩でもするのか、翠の刻印術の女……翠の刻印術士は軽く頭を振った。

 そこへタイガが襲い掛かった。

 翠の刻印術士は驚いたように目を見開き、後方に大きく飛翔する。

 タイガの大剣が空を切り、翠の刻印術士は風の刃……不可視ではなく、翠に輝いている……を放った。

 草が宙を舞い、風の刃がタイガの体を浅く切り裂く。

 だが、タイガは爛々と目を輝かせ、翠の刻印術士に襲い掛かる。

 正直、虎が人間に襲い掛かっているようで怖い。

 翠の刻印術士もクロノと同じ意見だったのか、タイガから距離を取るように浮遊……獣のような唸り声を上げて八人の獣人が一斉に襲い掛かった。

 翠の刻印術士は腕を広げ、くるりと回転する。

 次の瞬間、爆風に等しい威力の風が獣人を吹き飛ばした。

 獣人達は即座に立ち上がり、再び翠の刻印術士に襲い掛かる。

 安全圏に逃れようと上昇した翠の刻印術士に向かって矢が放たれる。


『……っ!』


 翠の刻印術士は爆風で矢を蹴散らす。


「いける!」


 今度こそ、クロノは勝利を確信して拳を握り締めた。

 フェイの方に視線を移す。

 フェイはレイラのバックアップもあり、赤い刻印術士を圧倒していた。

 飛来する矢を警戒して刻印術の力を使い続けている赤い刻印術士と目の前の敵にだけ専念するだけのフェイでは消耗度合いに差が出る。


「クロノ様、あの二人をどうするつもりなの?」

「殺さずに捕虜にしようと思ってるけど」


 難しいだろうな、とクロノは刻印術士の戦闘力から判断する。

 何しろ、腕の一振りで炎や風を操る連中だ。

 頑丈な地下牢でもないと拘束できないだろうし、捕虜になるくらいならと自決するかも知れない。

 赤と翠の刻印術士……彼女達の刻印が激しく明滅し、目に見えて動きが鈍る。

 クロノは停戦を申し込むために体を起こした。

 クロノの鼻先に槍が突き刺さったのはその時だった。

 舌打ちし、クロノはスノウの襟首を掴んで思いっきり地面を蹴った。

 隣にいた獣人達はクロノよりも鮮やかな手並みでその場から逃げている。

 足が地面に触れるか触れないかのタイミングで闇が炸裂した。

 黒は身体能力の強化だけじゃなかったの? とクロノはスノウを抱きかかえたまま地面を転がった。

 クソッ、頭がガンガンして吐き気がする、とクロノが上半身を起こすと、少女が立っていた。

 十五歳くらいの少女である。

 顔立ちは幼いが、ある種の凛々しさがある。

 鋭い眼差し、引き結んだ唇。

 肌は浅黒く、髪は肩まで伸びている。

 未成熟なボディーラインを強調するように漆黒の刻印が輝いていた。

 漆黒の光……何となく矛盾を感じてしまうが、それ以外に表現のしようがない。


「クロノ様、逃げて!」


 ピュン! と少女の鼻先で光が閃く。

 スノウが短剣を片手に斬りかかったのだ。

 だが、少女は跳躍してスノウを跳び越えると、クロノを担ぎ上げた。


「え?」


 思わず、クロノは声を漏らした。


「た、助けて~!」


 少女はクロノを担いで跳躍した。


「クロノ様が攫われたであります!」

『た、大変でござる!』(がう!)


 フェイとタイガが手を止めた隙を突き、赤と翠の刻印術士もその場から逃げ出した。



 目を覚ますと、土の上に転がされていた。

 後頭部がやたらと痛むので、ぶん殴られて気絶させられたのだろう。


「えっと、武装はなし」


 長剣も、短剣も没収され、後ろ手に縛られている。

 鎧とマントを脱がされなかったのは蛮族にしか分からない理由があるんだろう。

 そこは円錐状の空間だった。

 空間の中央には囲炉裏のような物があり、壁は木の枝を組み合わせて作ってある。


「……竪穴式住居?」


 こちらの世界に来た時もカルチャーショックを受けたものだが、竪穴式住居はない。

 文明レベルが中世を通り越して縄文時代だ。


「まあ、武器がなくても魔術で縄くらい」


 クロノは天枢神楽を起動させようとし、すぐに考えを改めた。

 天枢神楽は目で狙いを付けてコントロールしている。

 後ろ手に縛られた状態……失敗したら両手がなくなるどころの騒ぎじゃない。

 どうしよう? とクロノが途方に暮れていると、誰かが入ってきた。

 昨夜、クロノを攫った少女である。

 服装は胸と腰を帯状の革で覆っている。


『……』

「……」


 少女は囲炉裏を挟み、クロノの対面に座ると、吊してあった草を板状の石と丸い石でゴリゴリと磨り潰す。


「あ~、もしもし、家に帰らせて欲しいんですけど?」

『……』


 通訳用のマジック・アイテムを身に付けてれば良かった、とクロノは後悔した。


「僕はクロノ、そっちは?」

『……』


 少女は手を休め、クロノを見つめた。


『オレ、スー。ルー族ノ呪医』


 副官と話している時のように二重音声だ。

 何故だろう? とクロノは首を傾げたが、疑問はすぐに氷解した。

 少女……スーが首から文字の刻まれた粘土板を提げていたのだ。

 多分、この粘土板が通訳用のマジック・アイテムなのだ。

 粘土板に刻まれた文字はアルファベット風ではなく、縦線、横線、斜線を組み合わせたものだ。


「家に帰りたいんだけど?」

『ダメ。オマエ、ヤルコト、アル』


 スーはクロノに獣のように四つん這いでにじり寄った。


「何でしょう?」

『子種、出ス』


 スーは手を突きだした。


「出せと言われても、そう簡単に出せるもんじゃないんだけど。こう、精神的に余裕のある状態じゃないと」

『ソウナノカ?』

「そうなんです」


 ワイズマン先生は母系社会とか言ってたけど、アマゾネス風の文化だったりするんだろうか? とクロノは体を起こした。

 クロノのあやふやな知識によれば、アマゾネスは女性のみで構成された部族で、子どもを作る時は男を襲うとか、生まれた子どもが男だと捨てちゃうとか、弓を扱うために片方の乳房を切り落とすとか、そんな感じである。

 捕虜じゃなくて種馬か。でも、利用価値があるんなら簡単に殺されないはずだよね。ここはスーを懐柔して……いや、他の蛮族と積極的にコミュニケーションを取って厭戦気分を煽るのも手かも、とクロノは考えを巡らせた。

 スーはクロノを睨み、壁に立ててあった槍を掴んだ。

 槍の先端には黒光りする石片が付けられ、鉄の槍より痛そうな感じがした。


『来イ。族長、会ウ』

「分かったよ」


 スーは槍を突き出してクロノに命令した。

 竪穴式住居から出て、クロノは周囲を見渡した。

 蛮族……ルー族の集落は垂直に近い山の斜面、そこから突き出した崖の上にあった。

 猫の額ほどの面積に竪穴式住居が肩を寄せ合うように並んでいるのである。


「本当にアマゾネスなんだな」


 右を見ても、左を見ても、女ばかりで男がいない。

 ついでに言うと、子どもの姿も見えない。

 ワイズマン先生から教わった狩猟採集という部分は正しかったらしく家畜はいない。

 その代わり痩せた犬がいた。

 犬は人類最古の友と言うくらいだから、ルー族にも猟犬を飼う習慣はあるらしい。


『……歩ク』


 スーがクロノの背を槍で突いた。

 マントも着ているし、鎧も身につけているので、痛くはない。

 槍で突かれて連行された先には円錐形のテントがあった。

 テントは革製で、竪穴式住居に比べると規模が大きい。


『……族長』

『入レ』


 テントに入ると、女がイスに座っていた。

 年齢は三十くらいだろうか。

 スーや他の女と同じように肌は浅黒い。

 髪は上半身に絡み付くほど長く、前髪の間から覗く双眸はカミソリのように鋭く、ギラギラと飢えた獣のように輝いていた。

 細身ながら出る所はしっかりと出ていて露出度が高いこともあり、ちょっと目のやり場に困る。

 スーと同じように胸と腰を帯状の革で覆っているが、族長だからなのか、腰の革はパレオのように長い。

 族長の座るイスは木と革を組み合わせて作られているようである。


『何故、連レテ来タ?』

『ルー族ノタメ。オレ達、新シイ血、必要』


 くっ、と族長は苛立ちを堪えるように髪を掻き毟った。


『我ラガ一族ニ汚レタ血ヲ混ゼルト?』

『オレ達、活力ナクシタ。新シイ血、必要。ルー族、ナクナル』


 よく分からないが、ルー族は一族存亡の危機に瀕していて、新しい血を必要としているようである。


『モウ良イ』

『……オレ、間違ッテナイ』


 スーは涙を堪えているような声音で言い、クロノの背を槍で突いた。

 元の竪穴式住居に戻り、スーは土器から粉を取り出し、水で捏ね始めた。

 スーは出来上がったそれを囲炉裏に投げ込み、ほどよく焼けた頃、取り出してクロノに投げた。


『食エ』

「その前に縄を解いて欲しいな」


 ムッ、とスーは下唇を突き出した。

 しばらく悩んだ末、スーは石製のナイフを口にくわえ、クロノの縄を解いた。

 クロノが暴れたら首を掻き切るつもりだったのかも知れない。


「あ~、肩が痛い」

『……』


 スーは再び対面に座ると、今度は土器から棒状の何かを取り出してクロノに投げた。

 どうやら燻製か、干し肉のようである。

 クロノは謎の粉で作られたビスケットと干し肉を交互に囓った。

 ビスケットは薄味でパサパサ、肉はやたらと塩辛い。


「このビスケットって、どうやって作るの?」

『木ノ実、砕ク。水、浸ケル。渋ミ、ナクナル。モット、砕ク』


 無視されると思ったが、スーは律儀に答えてくれた。


「……血が活力をなくしたとか言ってたけど、どういう意味?」

『……』


 プイとスーは顔を背けた。


「理由を教えてくれたら、協力できるかも」

『……』


 スーはクロノを睨み、獣のように唸った。


「答えたくないなら別に良いけど」

『……』


 スーは食事を終えると、再び干した草を石で磨り潰し始めた。

 やることもないので、クロノは胡座を掻き、スーに質問してみた。

 その結果、ルー族の族長は女性が務めること。

 呪医とは薬や毒を調合したり、刻印術を施したりする仕事であると分かった。

 族長も薬草と刻印術の知識を持っているらしいので、知識や技術を絶やさないための側面があるのかも知れない。


『オマエ、オシャベリ。少シ、黙ル』

「は~い」


 仕方がないのでゴロゴロしていると、ルー族の女が入口からクロノを見ていた。

 マジック・アイテムと思しき粘土板を首から提げていないので、コミュニケーションは取れなさそうだ。

 興味津々……男がいないので好奇心というヤツかも知れない。

 思い切って手を振ってみると、ルー族の女性は驚いたように身を隠した。

 その後もルー族の女はクロノを見学しに来た。

 何故か、スーの機嫌は加速度的に悪くなっていく。

 陽が傾いた頃、ようやくルー族の女は来なくなった。


『……オマエ、オレノ、獲物』

「なるほど」


 スーにとってクロノは獲物のようである。


『夜、寝ル』

「やっぱり、縛るのか」


 スーは手慣れた動作でクロノの手足を縛り、毛皮の上に横になった。

 マントの存在がありがたかった。



 翌日、クロノは夜が白んできた頃に叩き起こされた。

 縄を解かれ、槍で突かれながら向かった先でクロノは木に縛り付けられた。


『オレ、薬草、取ル。オマエ、待ツ』

「もう一眠りできそうだな」


 木にもたれかかり、クロノは薬草を採取するスーの姿を眺めた。


「……下着を履かなくて大丈夫なんだろうか?」

「クロノ様、随分と余裕があるように見受けられますが?」


 ボソリとマイラが耳元で囁いた。


「よく分かったね」

「蛮族が何処に住んでいるのか常に把握しておりますので」

「縄は切らなくて良いよ。幾らマイラでも僕を連れて逃げ切るなんてできないだろうし」


 スーを殺すのは最後の手段にしたい。


「内部の状況は?」

「文明レベルはジョウモンジダイ、族長は女で、集落に男はいない。血が活力をなくしたとか言ってて、僕を攫ったのもそれが理由みたいだね。ジョウモンジダイについてはレイラに聞いてね」


 ジョウモンジダイ、ジョウモンジダイ、とマイラは繰り返した。


「もう少し探りを入れてみるよ。もしかしたら、交渉の余地があるかも知れないし」

「クロノ様、我々は殺し合いを続けてきました」

「分かってる。僕だって、こんな所で命を賭けるつもりはないよ」


 マイラの気配が消える。


『次、塩、取ル』


 スーは薬草で膨れた革袋を槍に括り付け、クロノの縄を解いた。

 次に連れて行かれたのは洞窟だ。


「岩塩が取れるんだ」

『オマエ、待ツ』


 スーの体に漆黒の模様が浮かび上がる。


「縛られてないけど、逃げたら遭難するね」


 岩塩ね。ルー族と友好的な関係になれば養父は高い塩を買わなくて済むし、ドラド王国と交易もできるようになるんだろうけど、とクロノは空を見上げた。


「仲良くすれば良いと思うのは僕が当事者じゃないからだろうな」


 謁見の間での出来事を思い出し、クロノは歯を食い縛った。

 最初から最後まで仕組まれた戦争。

 頭を吹き飛ばされたレオ。

 炎に呑み込まれたエルフ。

 目を見開いたまま死んだホルス。

 たった一人で敵陣に乗り込んだリザド。

 大勢が死んだ。

 彼らの死を思うと、クロノは怒りで気が狂いそうになる。

 あの時、アルフォートを殺せた。

 自己満足だ。

 死者は何も望まない。

 それでも、自己満足だと分かっていても、思い知らせてやりたかった。

 クロノは髪を掻き毟った。

 分かってる。

 感情で、全てを投げ出しちゃいけないのだ。

 そう頭では分かっているのに心は容易く憎悪に捕らわれてしまう。

 あの時、エルナト伯爵が頭を押さえつけてくれなければクロノは部下と領民を巻き添えにして破滅していただろう。

 過去の遺恨を捨てて仲良くして欲しいと思っている自分が憎悪に捕らわれている。

 その矛盾にクロノは自嘲した。

 しばらく待っていると、スーが二つ目の袋を槍に括り付けて戻ってきた。


『戻ル』

「持つよ」


 スーは真意を推し量るように沈黙し、クロノの縄を解いた。それから槍から袋を一つ外し、クロノに押しつける。


『進ム』

「槍で突かなくても大丈夫だよ」


 体を鍛えていて良かった、とクロノは袋を抱えて山の斜面を登った。

 土地勘がないので、見当違いの方向に進みそうになって槍で突かれたが。

 ルー族の集落が見えてきた頃、クロノは口を開いた。


「そう言えば、血が活力を失ったとか言ってたけど、どういう意味?」

『……』


 肩越しに視線を向けると、スーは不機嫌そうに俯いていた。


『……昔、男、イタ。ケド、女、孕マナイ、生マレナイ。悪イ風吹イタ。男、死ンダ。オレ、一族、最後ノ子』

「どうして?」

『分カラナイ。皆、オレ達ノ血、活力、ナクシタ、言ッタ』


 スーは今にも泣きそうな声で言った。

 それはそうだろうとクロノは思う。

 人は死ぬ。

 病で、老いで、傷で、魔術だろうが、神威術だろうが、刻印術だろうが、死そのものを克服することはできない。

 ルー族は数を減らしていく。

 きっと、最後に取り残されるのは一番若いスーだ。

 それが分かっているから、やがて、訪れる孤独にスーは怯えているのだ。


「今まで、どういう風に子作りしてたの?」

『昔、ルー族以外、交流アッタ。今、ナイ』

「……」


 クロノの脳裏を過ぎったのは劣性遺伝の法則だった。

 ここで言う劣性とは表面的に現れない遺伝的形質のことで、表面的に現れる遺伝的形質は優性と呼ばれる。

 優性、劣性遺伝の法則だけに注目するのではなく、もう少し大きな観点……生存競争から見ると、生存に有利な形質を持つ個体は残り、不利な形質を持つ個体は淘汰されるというルールが加わる。

 個体数の多い集団であれば問題はないだろう。

 だが、個体数の少ない集団だったら、淘汰されるはずの遺伝的形質が保存され、生存に不利な形質が発現する可能性が高まる。

 アレオス山地という閉鎖された環境と戦闘で多数の死者を出したことによって近親婚か、それに近い行為を繰り返した結果、ルー族同士では子どもが生まれなくなったのではないだろうか。

 もっとも、これはクロノの想像に過ぎず、ルー族そのものから子どもを生む能力が失われている可能性もあるのだが。


『ダカラ、子種、出セ』

「いや、僕が協力しても次か、その次の世代には元の木阿弥じゃないかな?」

『ルー族、終ワリ』


 スーは立ち止まり、力なく肩を落とした。

 痛々しい姿だ。

 僕には関係ない、と突っぱねられなくなるほどに。

 ブンブンとスーは頭を振った。


『モット、攫ウ』

「いやいや、そうじゃなくてさ。帝国と仲良くすれば良いんだよ」


 ピュンと槍が旋回し、クロノの喉元に突き付けられた。


『……オマエ達、オレ達ノ土地、奪ッタ』

「でも、このままだとルー族が滅びるよ。帝国と仲良くして、友好的な関係を築き上げれば男を攫わなくても済むし、血が活力を取り戻す」


 スーの葛藤を示すように槍の穂先が揺れる。


『無理ダ。オマエ、無理、言ッテル』

「難しいかも知れないけど、やるしかない」


 パチパチとスーは瞬きを繰り返した。


『……何、スル?』

「取り敢えず、仲良くしている所を見せよう。それと僕に通訳用のマジック・アイテムをくれないかな?」


 自己保身もあるし、ルー族を切り崩す意図もある。

 少しばかり自己嫌悪に陥りながらクロノはスーに向かって微笑んだ。

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