表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅の術者  作者: 結城光
第1章・2節 学年別トーナメント編
49/66

第43話 結局謎とか戦闘とか

はい、テスト終わってさっさと書きましたよ!!

ホントダヨ? アソンデナイヨ?

色々と違うプロットを書いているので、忙しいわけなので


それよりもなのです。150万、150万ですよ!!

詳しい内容は後書きで!!

「ねぇ、セイウェン。ボクに1つ作戦があるんだけど?」


いつ向こう側が攻撃してきてもおかしくない状態で、アイリがセイウェンに話しかける。試合中にも関わらず、こうやって普通に話していられるのは先程のやり取りがあったからだろう


「ん? 聞こうじゃないか」


剣を構えた姿勢を崩さず、セイウェンが肯定する。その様子を見ながら、ヨミは何かしらの呪文を唱えている様だが気には止めない。彼女は魔法を発動しながら戦うのではなく、補助魔法を駆使して戦う方が大きい。

だから今は、その捕縄魔法の準備をしているものだと思う


「この前使ったあの氷の魔法使える?」


「ふむ。あの旧館の時に使ったアレか?」


そう言いながら、セイウェンはアイリから敵の方へ視線を向ける。まだ3人も相談しており、戦うそぶりは見せて居ない。試しに1発攻撃しても、余裕で通るのでは無いかと思えるほどだ


「了解です。確かにその方法で戦った方が、早く決着が着きそうです」


「にゅはっ♪ ヨミちゃんもそう思う?」









●紅の術者

第43話 結局謎とか戦闘とか










先程まで視線すら合わせていなかったヨミが、突然応答をする。これと言って驚くことは無いが、あの呪文詠唱中に話を聞いていたのだろうか? それは凄い集中力を要する事だ。だから単純にセイウェンは彼女の凄さを実感している


「魔族ですらあそこまで反応出来なかったのです。ただの一学生である彼らに、そんな術を見分ける事が出来るわけないです」


ニヤリと笑いながら、ヨミはそう告げる。確かに彼らは学生であり、自分達と比べると明らかに戦闘の経験が少ない。その状態でソレを見抜けるかと言われれば、否定を述べるのが妥当だろう。

しかしセイウェンは考え込む。自分の攻撃を、あそこまで的確な射撃で防いだマノヒ。彼はまだ他に何か持っているのでは無いかと言う疑問


「ん? どうしたの、セイウェン?」


そう考えている内に顔に出ていたのか、アイリが心配そうに顔を覗き込んでくる。一応試合中なので、銃を前に構えたまま。


「いやな、妙な勘が働いてしまって」


「やはり、彼についてですね?」


そう言いながら、マノヒの方に剣を向ける。この中で1番戦闘、いや戦場に出てきてはいけない部類の人間。そのはずなのに……


「セイウェン、考えすぎだよぉ~」


「そうですね」


2人とも力を抜いて、自然な形で笑みを浮かべる。その様子が理解できないセイウェンは、疑問を浮かべながら彼女達を見る。そんなに自分の考えている事は愚かだったのか? 2人はそんな事を考えずに、行動できるのかと

しかし


「言いたくありませんが、ウチのクソ虫――おっと口が滑りました。ウチのイツキがもしこれを聞いたら、なんて言いますか?」


「考えて全てうまく行くなら止めないけど、ボク達はそんな事をしてきたわけじゃないよね?」


その言葉にセイウェンは目を見開く。もしここに彼が居たのならば、迷わずにやれと言うだろう。確かに肝心な所で、考えるよりも行動に出すのが私達だ。今だって、下手に考えずに臨機応変に対応した結果がこれなのだ。それだったら自分達に最適な方法で、この場を切り抜けるより他に何があるというのだろうか?


「ククッ……フハハハッ」


「セイウェンがイツキみたいに壊れた」


「いやいや。やっぱり私もまだまだだと思ってな。でも、そうだな。それでこそ私達『紅』だ」


そう言いながら一呼吸置いて


「2人とも、敵の視界を遮ってくれ。10秒、いや5秒でいい。完全にこちらに向かないように」


「「了解ヤー」」


そう言った瞬間、彼女達は動き出していた。アイリは瞬時にバレットを展開。魔力を流し込みながら、何発も地面へと魔力弾を撃ち込んで行く。そうする事で出来るのは……土煙による壁

そしてその壁を壊さないように、しかしながら迅速にヨミは3人の元へと近づく


「フン。俺達の意表をついたつもりであるか?」


彼らも予想していたのか、驚く表情を見せる事無く構えを取る。しかしヨミは、その程度の事で焦ったりはしない。

手に持っている短剣に魔力を注ぎ込みながら


『加速 属性付与・風』


そう呟くと、瞬時に彼女の姿が消える。風速瞬動程の速さでは無いが、普通の人の認識できる速度を超えている。おそらく一般人が見たら、残像しか残っていないのでは無いだろうか?


「フッ、見え透いた攻撃を」


そう言いながら、シュウは左後ろにステップしながら体を捻り、右へと剣を振るう。彼とて全てが見えている訳ではない。しかしヨミがどちらの方向に向かったかは見えている。だから最後に見た情報を頼りに、後ろへと剣を振るう


「風は穏やかな時と荒ぶる時がある。それ故にいつも風は向きを変える」


感覚で捉えていたヨミの気配が消える。確かに剣が当たる瞬間までは、ヨミは自分の後ろに居たはずだ。しかし今そこには無く、自らの剣は虚空を裂いているだけだ


「何処だ!?」


「前ッ!!」


マノヒの叫び声に、シュウは急いで視線を戻す。そこには先程と同じ構えをしたヨミが、目の前でニヤリと笑っていた


「そんなバカな!? 俺は先程まで確かに……」


「私は風です。以上」


それ以上言葉にしたくないのか、ヨミはそのまま短剣をシュウの正面へと持っていく。彼は間に合えと祈りながら、1度後ろまで持って行った大剣を前へと振り戻す。

しかしだ。その動作をした瞬間、ヨミの顔に更なる笑みが生まれる


「間に合って、この一撃を防いだとして……。どうなるんです?」


横目でマノヒを見るが、今回はギリギリ間に合うかどうかと言った所。一撃受けてでも、彼女に攻撃を当てるべきだろう。

この疑問の指す意味を理解できていない彼は、そんな事しか思っていなかった


「セイウェンが言った事、忘れちゃったのかなぁ??」


その瞬間、土煙を巻き上げるかのようにアイリが飛び出してくる。シュウを除く全員が、その登場に驚きを隠せず、一瞬だけ気を取られてしまう。そう、その一瞬が命取りになるのだが


「ハッ!!」


「グアッ!?」


「しまっ」


意識をアイリに持っていかれたマノヒは、的確な射撃が出来ず結果シュウの鳩尾にはヨミの短剣の柄の部分がめり込んでいた。そしてそのままヨミはシュウを横へ吹き飛ばす


「にゃっはは。ボクの存在も忘れないでよん」


そして次に、シュウが飛ばされた事に一瞬でも気が行ってしまったクロッドの前にアイリが立つ。そしてそのまま加速。接近してくる


「クッ。僕だって、ここでいい所見せておかなければ……」


「あー、残り2人はいいんだけど君はちょっとねぇ。ティアちゃんのストーカーやめてくれるなら、今すぐノックアウトなんだけど」


「なっ!? 誰がティスティア様のストーカーなんか!!」


赤くなりながら否定するクロッドは実に惨めである。いたたまれない。しかしティアの事でムキになっている彼は、今ここが試合中だと言う事を忘れてしまっている


(まぁ、イツキが使う手口だしいいよね)


罪悪感の欠片も無いアイリは、そのままクロッドに接近して


「喋ってると、舌噛むよ!!」


「あぁ!? しまった!?」


後悔してももう遅い。元々はマノヒに対して使う予定だったのだが仕方ない。だってマノヒよりも、どう考えてもこっちの方が仕留めやすい。参謀である彼を潰すのもだが、人数が減る事もかなり大きい。だからこそ彼女は引き金を引く


『オープンバレット ドゥーエ』


そう叫ぶと、いつも属性変更する時と同じようにバレットが展開される。しかし今回はいつもと違い、その中からいくつかのバレットが、そのまま魔方陣としてクロッドの体の至近距離で展開されているのだ


「んじゃね」


「障壁展開ッ!!」


あえて障壁を展開する時間を与えてからの砲撃。引き金を引くと同時に、零距離での砲撃が彼を撃ち抜く。その威力は凄まじく、防御をしているとは言えクロッドは地上から10m以上浮かせるほどの威力だった


「いいんじゃないかな。ボクの新技」


そう喜びながら、アイリはマノヒへと銃を向ける。気付けばヨミも後ろに居て、いつでも攻撃が出来る状態だ。


「クッ」


3対1だ。今の攻撃でどう考えてもクロッドはやられたし、シュウはダメージが大きくて今立ち上がろうとしているが少し時間がかかるだろう


「こんな所で使う事になるとは……」


そう呟いた時だった


「2人ともッ!!」


煙の向こう、そこで剣を地面に突き刺し呪文を唱えていたセイウェンから声がかかる。その声を聞いて、アイリは笑顔になりながら、ヨミと共にその場を離れる。

地面に風の弾丸を何発も撃ちつけ、先程と同じ様に土煙を起こしながら。

実際このままマノヒを倒しても良かったのだが、先程セイウェンが言ったチームという言葉を覚えていたのだろう。彼女が何もしないままで終わるよりも、この時間稼ぎを使って繰り出す魔法で倒したほうが良いと思ってしまったのだ。マノヒが笑っている事も気付かず


「セイウェン!!」


「あぁ、行ける」


駆け寄ると、セイウェンは確かな返事をした。そして剣に触れながら


『疾風よ 濁流よ 凍てつき形を成すモノは かの者達を惑わさん 氷石幻影』







◇◇◇◇







「なぁ、ティア」


「なに、よっ!!」


必死でシルビアの攻撃を防ぎつつ反撃をするティア。いや、向こう側からしたら逆なのか?

正直ここまでシルビアが変わっているなんて思っても居なかった。ここに着てからまだ何週間も経っていないはずだ。それなのに


「ほら、どうしまして? 今度は後ろですわよ!!」


「クッ……」


後から魔法を付与することの出来るシルビアの能力は、もちろん俺達にとって厄介だった。普通の矢が自分の後ろを通ったかと思えば、方向を変えてまた戻ってくる。よって術式を破壊するか、矢そのものを破壊するより他方法は無い


「ほらイツキ。そんな女の子心配する余裕が自分にあるんか?」


そう言ってキヨルが接近戦を仕掛けてくる。これだとチームを組んで、俺達を隔離した意味が無いような気がするのだが。しかしそれでティアが苦戦しているのは確かだ。

接近型であればもう少し優勢に行ける筈だが、ティアは中・遠距離を得意としている。だから余計に反応が遅れる


「知ってるか? キヨル。接近戦の弱点を」


「は? そんなもん探し出せばようさんあるだろ」


そう言いながらキヨルが拳を振りかざす。その攻撃に俺は剣を下げた


「はっ、ようやく攻撃が受けきれんようになったんかッ!!」


自分の攻撃がようやく俺に効いたかと思い、満面の笑みを浮かべながらその拳を向けてくる。属性付与により風と炎がうごめく拳。当たったら皮膚が焼けるのは間違いないだろう。

しかし、当たればの話だ


「近距離の攻撃はいつも一定の方向へと、自分の体重を乗せた力を振りぬく。確かにソレは有効な一撃になりうるが、同時に決定的な欠点を産む。

それはな」


そのまま俺は剣を置いてキヨルに接近し、拳を正面に持ってくる。熱風が伝わり、髪の焦げる臭いが鼻を通っていく。吐き気がするが、それでも俺は前へと進む


「1度振りぬくとその1点以外の場所の筋肉が緩む事。そして振りぬいた瞬間、次の動作に移る事が出来ない事」


そう言いながら、キヨルの拳をギリギリで避ける。驚きの表情を隠せないキヨルの顔を横に、俺は笑いながら拳を握る。そして魔力を右手に感じながら、俺はその手を思い切りキヨルのわき腹を殴る。

丁度、ティアとシルビアの戦っている真ん中に


「ちょおおおおおおお!? イツキなにすんねん!?」


「一応言っておくけど、今は試合中だぞ?」


「それでもやっていい事と悪い事があるやろう!?」


先程の攻撃はかなり効いたはずなんだけど、直前で障壁展開しやがったなアイツ。まぁそれだからあっちに吹き飛ばしたんだけどな


「シルビア嬢。ティスティアさんも攻撃やめてくれるよな……?」


『邪魔よッ!!』


そう言ってシルビアはロングボウを構えて魔方陣を展開する。それを見てティアはニヤリと笑いながら、杖を前に立て目を瞑る。


「「いっけぇ!!」」


「んなアホな!?」


空中に浮かんでいるキヨルに向かって、両方から攻撃が襲い掛かる。試合でなければ助けてやるんだけどな。


「何でこんな状況になっとるんや!?」


左右の状況を確認しながら、キヨルはそう叫ぶ。悪いが、キヨルはここで退場だろう。あの攻撃を避けられる方法は幾つかあるが、それをキヨルが取れる様には思えなかった


「でもこんな状況を打開したら、俺めっちゃもてるんやろうなぁ」


「はっ、最後の言葉がソレかよ」


「何言うとん?」


俺の顔を見ながら、キヨルは笑う。とても今両サイドを攻撃で囲まれている、空中浮遊男の言う事じゃない。しかしそんな事はお構いなしに、キヨルは右手を強く握り魔法陣を展開させる


「行くでェ!!」


そう叫ぶとキヨルはまずティアの方から飛んできた、炎の塊を殴る。その反動で少しだけだが、俺に殴られて吹き飛んだ威力が相殺される。そして魔方陣が発動される。普通であればそのまま殴り飛ばしてしまう魔力をそのまま拳に宿す。


「ワイの右手が真っ赤に燃えてる!!」


別に轟き叫んだり、お前を倒せとか言われんだろうに。

キヨルはそのまま体をねじり、シルビアの放った矢を炎でのみ消しにかかる。しかしいくら何でも瞬間的に矢は消えない

しかしキヨルはその事も考えながら、炎を矢に当てていく


「当たっても灰になりかけているのじゃダメージは無いやろ?」


右手に当たった瞬間、真っ黒な炭となってキヨルの右手につく。おそらく魔力の密度を高め、腕に近づけば近づく程熱量が高くなるようにしたのだろう。

何事も無かったかのように吹っ飛んでいくキヨルを見ながら、俺は確かに確信した。

この試合、まだまだ長くなると―――

紅 魔法辞典


オープンバレット ドゥーエ


アイリの新技。普段はバレット展開と言う掛け声と共に、属性選択をする魔方陣が現れるがこれは全く異なる。

オープンバレットと数の宣言によって、魔方陣の展開数を決定。その数だけの魔方陣から砲撃が放たれる。威力は調節可能であり、今回のように通常の魔力弾と同じ威力から、一撃必殺の砲撃級の攻撃も可能

ドゥーエと言う意味は、展開するバレットの数を表していて2個の魔方陣を選択している。

尚、数字はイタリア語の2(due)から引用


使用者:アイリ・クラン



氷石幻影


旧館戦時に使った術と、おそらく同じだと思われる。風と水の派生術式である氷の魔法を使い、自分達と同じ姿の幻影を作り出す術。光による幻影よりも物体があるので勘違いを起こしやすい。

しかし派生術式であるが故に、習得するのが難しく。発動しても制御が大変であるのは言うまでも無い


使用者:セイウェン・コウラリス






旧館戦以来の長さになってしまうかも……

はい、どうも。結城光です。色々あって投稿が遅れました。スミマセン


さて、前書きにも書きましたが今日確認した所(午後9時現在)

紅の術者が150万PVを超えました!! 総合評価も3700ptを超えて、読者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

連載を開始してから1年と少し。正直ここまで大きく展開するような事になるとは思っていませんでした。心からお礼申し上げます


多分記念にまた番外編を書きます。えぇ書きますとも!!

皆さん、要望があるならじゃんじゃん感想やらなんやらで下さい!! 可能な限り答えます!!

今の所は、前に要望があったヨミとの絡みをもう少し長いので1話番外編でやろうかと思ってますがそれ以外に何かありましたら、どうぞ言って下さい!!


それでは、ここまで読んでくださった全ての読者の皆様に感謝を述べつつ……

また次回!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ