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紅の術者  作者: 結城光
第1章・2節 学年別トーナメント編
47/66

第41話 予想外

テンションが物凄く低いです。台風怖いです

活動報告に詳細は書きましたが……。


「皆さん、行きましてよッ!!」


そう言って先制を取ったのは、意外にもブラッドムーンの面々だった。イツキ達が仕掛けるよりも、更に早くシルビア達が攻撃を始めたのだ。これは彼女達の作戦か、それとも担当の先生の指示か……。どちらにせよ、今までの戦いを見てからの分析でだと思う。

今の彼女達では、互角に戦う事なんて叶わない。だったらどうやって勝つか? それは先制攻撃で主導権を握り、通常の作戦よりも更に上の奇策とも呼べるものを繰り出すより他無かった


「とりあえず、防御だ。下手に攻撃して、バラバラになったら相手の思惑通りになるだろうし」


「そうね」


しかし紅は皆冷静だった。別に慌てふためいて動くわけでもなく、その場で各自防御魔方陣を展開してそのままやり過ごす。しかし飛んできたのは、シルビアのロングボウの矢だけだった。


『業火よっ!!』


4人が一斉に魔方陣を展開する。そして残りのシルビアは、ただロングボウに触れて目を瞑るだけ。そう、それだけなのだが俺達の周りには何故か大きな炎が燃え盛っている。これがシルビアの言っていた特殊な魔法ってヤツか。

あの時は後ろを向いててあまり見えなかったけど、確かにこれは有効性が高い。工夫して使えば、かなり厄介な武器だな


「さてっ、こんな感じで炎に絶賛包まれなうですが……。どうする?」









●紅の術者

第41話 予想外









ニヤリと笑いながら、皆に問いかける。ヨミは短剣を抜き、セイウェンは大剣を前に構えている。ティアとアイリは既に魔法を発動しかけていたようで、展開をやめている。

まさかこんな風に先制を取られるとは思っていなかったな。


「風で全部向こうに持ってきましょうか?」


「それとも空間ごとここを凍らして見るかね?」


ヨミとセイウェンが間髪を入れずに、そう答える。2人ともお怒りの様で、かなり凄い事を考えていらっしゃる。どっちの案でもいいのだが、より効率的な事を考えるともう少しなぁ

でも急がないと、向こうに時間をやるだけだしなぁ


「よし、んじゃ俺とアイリとヨミでこの炎をぶっ飛ばすから、ティアとセイウェンで残りはよろしく」


了解ヤー


「えっ!? ちょっと待ちなさいよ!?」


手短に作戦を伝えて終わらせようとした矢先に、ティアが困惑した顔でこちらに迫ってくる。別にティアを困らせるような指示は出してないはずなんだけど?


「今の作戦だと、アイツらに攻撃を負わせる事が出来ないじゃない!!」


「いや、意外と炎に当たってくれないかなぁって」


「無理に決まってんでしょ!! 仮にもSクラスよ。そんな攻撃当たるわけ無いじゃない!!」


確かに当たらないかもしれないけど、俺はこの状況を打開する事を最優先に考えている。正直攻撃なんぞ後回していいと思ってるくらいだからな。

しかしティアはそうは思ってないみたいで、少し考えながらもセイウェンに視線を送る


「ねぇ、セイウェン。悪いけど1人で凍らせてくれる?」


「ふむ、別に構わないが何をするつもりだ?」


確かにセイウェンの魔力や技術では、楽に凍らせる事が出来るだろう。で、おそらくティアが考えている事はその次の手を打つことだろう。正直に言えば、俺はティアを攻撃に回そうと思っていた。

でも、ティアの試合前の事を考えるとやっぱり慎重になった方が良いと判断してこういう風にしたのに。


「私が攻撃魔法を出すわ。絶対にダメージを与えてみせる」


「ふむ」


本人がやる気になってるから、確かにそっちの案の方が効率的だ。でも、はっきり言ってティアだけに任せるのは不安だ。もう1人くらい、その攻撃の方に回せればいいのだが……


「オイ、クソ虫ことイツキ」


「こんな時までそんな事言うっ!?」


ヨミがジト目をしながらこちらを睨んでくる。試合の時だけは、ちゃんとしてくれると思った俺がバカだったみたいです。ヨミの仲での俺の地位は、何処かのカースト制度の奴隷に位置してるんじゃないんですかね。とりあえず試合中に仲間からブスリって事にならなければいいけど


「お前が居やがると、私とアイリさんの連携が取れません。だからお嬢様の手伝いに行っちまえです」


「はっ?」


何言ってるんだって思うだろ? 今の俺がそんな状態だ。コイツは何、ティアを手伝えって言った?

いつもなら、私が抜けてもお前らでやれって言うヨミさんが? なにこれ怖い。突然矢とか降ってくるんじゃないかな、空から。

でも結局の所、コイツもティアの事を心配してるんだな。あんな風になること自体が珍しかったんだろう。


「だから私達だけで十分だと言ってる。さっさとしないと、向こうが攻撃してくるかもしれない」


「そうだな」


まだ少し動揺を隠し切れないが、俺はティアと一緒に並ぶ。前にはヨミとアイリ、そしてセイウェンが居る。正直早くしないと、炎も迫ってきているから色々ヤバイのだが


「いい、イツキ? 私が魔法を使うから、アンタは適当に魔法使いながらそのまま正面に突っ込みなさい。みんな援護してくれるから」


「まぁ言われなくてもそうするわ」


そういうと、ティアは目を瞑りながら静かに杖を前に向ける


『雷撃よ それは一筋の道にして 我が道を阻むモノを拒む力 雷撃一針』


「行くぞ……」


ティアの詠唱も終わり、俺達は構える。わざと中級魔法を詠唱したのは、ここも中継がされているから。やっぱり先輩達との試合までは、上級魔法とかは使いたくない。

さてっ、俺はガンドロフに剣を出してもらいそこに炎を纏わす。そして……


「今ッ!!」


そう叫んだ瞬間、ヨミとアイリが風を作り出し辺りに撒き散らす。普通なら別に炎は何事も無いようにしているのだが、2人の風の威力が高すぎて吹っ飛んでいく


『凍れッ!!』


何故かセイウェンはそのまま短縮魔法で炎を凍らしてしまう。そこは少し考えて欲しかったが、まぁしょうがない。何気にシュウとマノヒの停滞させていた魔方陣が、炎と一緒に凍ってやがる。こっちが上から跳んできたら、そのまま発動する予定だったんだろう。それにしたってセイウェン、少し範囲広くないですか? 運が良ければそのまま凍らせるつもりだっただろ?


「行くぞ、ティア!!」


「分かってるわよッ!!」


俺が飛び出すのと同時に、ティアが先程詠唱していた雷撃が繰り出される。そしてそのまま俺は剣を前に突き立てて、その炎を大きくする。そしてそのままティアの雷撃を吸収する


「ちょっと!? 私の雷撃を吸収しないでよ!?」


「ティア、援護よろしく!!」


「もうっ!!」


怒りながらも杖を出しながら、こちらに魔法の援助をするティア。しかしここで、予想外の出来事が起こる。


「ふっ、何処へ行きまして? ティスティア!!」


「イツキも同じやで!!」


「「なっ!?」」


俺は確かにキヨルの所へ向かおうとした。しかしティアはマノヒの所へという手はずだったのに、今は完全にティアにシルビアが付いている。逃げようにもピッタリくっ付いていて、ヨミとマッチアップを変わる事は難しいだろう。そして、もう1つ。何故かシルビアとキヨルが、セットで現れた事。

別にキヨルとシルビアのポジションが同じわけではない。キヨルはどう見たって、手にメリケンサックの様なモノをはめている時点で近接タイプ。シルビアはもちろん中~遠距離。だったら考えられるのは1つで……


(イツキ君!!)


(どうしたセイウェン?)


そう結論を出そうとした時に、セイウェンの念話が頭の中に響き渡る。振り向こうにも、2人が目の前に居る時点でそんな事は出来ない。なので、とりあえず念話に集中する。状況によっては、ティアに任せないといけないかもしれないから


(いや、こちらで何とかなるから大丈夫だが……。少々予定が狂った)


(そっちにマノヒが行ってるんだろ)


(あぁ。それに3人組でけしかけて来ている)


やっぱりそういう事か。


(こっちは何とかするから、セイウェン達はそっちの相手を頼む)


(だが、ティスティア君はどうするんだ?)


(……俺が何とかする)


(分かった)


そう短く切ると、念話をやめるセイウェン。やはりこのチームは、今までのチームとは別格だ

俺達の作戦をことごとくかき乱してくる。相手の先生が策士なのか、それとも……

いや、今はそんな事よりも目の前の2人だ


「どうかしら? 少しは私を見直しましたか?」


「えっ、今までの作戦って全部シルビアが考えたの?」


「んなわけあれへん。実はマノh「私が考えましたのよ!!」そうなんです、シルビア嬢が考えはったんです」


マノヒか。正直外見では1番ひ弱で、戦いに向いていないタイプだと思ったのに……。策士か、先に倒しておいた方が無難か? いや、確かに作戦は大切だがそれはあくまで作戦。本番は何が起こるかわからない。


「で、お前らは2人セット。アッチは残った3人で戦うってわけか」


「せやで。正直お前らとの実力の差はかなりある。それは十分承知の上や。それで俺達がどう勝つか。個人で負けるんやったら、束になってかかってくしか無いやろ?」


「いや、それは1対多数でやるもんだろ普通」


そう言った瞬間、キヨルとシルビアがニヤリと笑った。そして次の瞬間、俺のほう目掛けてキヨルが突っ込んでくる。


「せや、確かにイツキの言う通りや。でもな、正直2人居ってもコンビネーションが取られへんかったら意味無いやろ?」


そういいながら、右手を振り上げるキヨル。次の瞬間には、そこに火と雷の魔法が付与されていた

これがコイツの言うコンビネーションなのか? だったら笑わせる。ただ振り上げた右手に、魔法を付与するくらい誰にでも出来る

だよな、ティア?


「はぁ!!」


振り下ろされた右手を、俺は剣でなぎ払う。しかし雷まで付与されているので、俺は少なからずダメージを受ける。元からこれが目的だったのか


(ティア、いつも通り。いや、あの旧館の事を思い出してくれ)


(大丈夫、分かってるわ。私はアイツに負けられないの。絶対に、絶対にね)


やっぱり、ティアはいつも以上に力が入ってる。シルビアに負けたくないのは分かる。別にそういった気持ちを否定しているわけではない。でも、そのせいでやっぱりどこか変な方向にスイッチが入っているのは確かだ。さっきまでは別に大丈夫だったのに……


「来ないんやったら、こっちから行くぜ!!」


再び振り上げた右手に、炎と電撃が走る。しかし俺はその攻撃を見ながら、剣を後ろへと下げる。そう、ティアを信じて。どんな状況でアレ、アイツはやってくれる。最悪失敗しても俺がダメージを受けるだけだ。

俺はティアを信じて、そのまま剣を振りかざす。今までのアイツなら、間違いなく……


「なっ!?」


悲鳴をあげたのはもちろん俺ではない。キヨルの方だ

俺の剣には、先程まで出していた炎と後から付けられたと思われる風の魔法を乗せていた。もちろん手につけているだけで、ほとんど素手のキヨルにこの攻撃は防ぎきれない。そのまま体ごと、後ろの方に吹っ飛んでいく


「もうっ、何でアンタはそうも勝手に行くのかしら?」


「お前を信じてたからとか言わねぇからな?」


「そんな事言われても嬉しくないわ」


不敵な笑みを浮かべながら、ティアは俺の方へと近寄ってくる。大丈夫、いつものティアだ

もう焦ったりはしないだろう


「さぁ、始めようぜ? どっちが強いかを決める、この戦いを」

紅魔法辞典


雷撃一針


鋭い雷撃が、敵を目掛けて何本も走る魔法。一撃の威力はそこまで高くないが、瞬間的に相手の筋肉や神経などを麻痺させる事が出来る。どちらかといえば、足止め用の魔法


使用者:ティスティア・ナフィー



はい、いかがでしたでしょうか?

チームブラッドムーンは色々と策を練ってきているようですが、やっぱりイツキ&ティアのコンビは最強です。この先ずっと最強です!!


さて、これからは2チームに分けて戦っていきます。彼らに何が待ち受けいるかは……

秘密です!!

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