第38話 いざ、試合へ
連日投稿になるとは思わなかったって?
HAHAHA! 俺もだ!!
とりあえず係員が呼びに来ると言ったので、俺達は控え室で各々くつろぐ事にした。アイリは自分の拳銃を手入れしているし、セイウェンは大剣を磨いているし。
ヨミはいつも通りティアの後ろに立ってて、何故かティアは紅茶を飲んでる
「何でお前は紅茶なんか飲んでるんだ?」
「あらっ、知らないの? これはソルン草という葉から作ったお茶なの。紅茶とはまた違うけれど、気分が落ち着くわよ」
「あっ、ボクもそれ欲しい!!」
「大丈夫です。人数分用意してあります」
そういいながらカップを用意するヨミ。もうこの段階で俺の分が来ない事は覚悟しておこう。どうせさっきのを根に持ってくれないんだろうな。はぁ、なんか試合前なのに落ち込みそう……
「ほらっ、イツキもさっさと飲む」
「うわっ!?」
仕方なく部屋の隅っこで1人悲しく泣いてようかと思っていたとき、ヨミがえ~っとソルン草? で作ったお茶か紅茶かハーブティーか知らないけど、それを持ってきてくれた。何が起こった……?
さっきはヤスラ先生の前で俺を攻撃しようとしたのに、何で今になってこんな事して来るんだ
「不本意だけど、イツキが抜けたら戦力は大幅に減る。だからこれを飲んでここでは勝て。でもお嬢様には近づかせない」
「はいはい了解。ってかそう思うのなら、何でさっき俺を攻撃したんだよ」
「……アレはアレやねん」
うん、まだ続いているのかよ。どっかの訛りってのは分かるけど、やっぱりここは何処か地球と似ている。
ってかヨミはツンデレなのですか? いや、俺にはデレと言うかただの誤魔化しだろうけどさぁ。本気で殺しにきてはいないんだけどな
●紅の術者
第38話 いざ、試合へ
コンコン
それからしばらくしてドアがノックされた。一瞬みんな作業をやめて扉を見るが、一向に入ってこない
「そういえばここってオートロックになってなかったっけ?」
アイリの一言で視線が俺に注がれる。係員ならそういった鍵を持っているはずなんだけどなぁ
まぁよく分からないけど、とりあえず俺に出ろって言いたいのね。しかも全員が一致で。セイウェンぐらいが自分が行こうと言ってくれると思ったのだが
コンコンッ
「ほらっ、呼んでる。イツキがさっさと行く」
「はいはい。今出ますよぉ~っと」
ヨミにせかされさっさと席を立ち、扉の前の鍵に学生証をかざす。すると甲高い音と共に扉の鍵が外れる音がし、ゆっくりとだが扉が開く。
「もう時間ですかね?」
「何の時間ですの?」
後ろからうげっと言う声が3つほど聞こえた気がする。後ろを振り向かなくてもどうなってる分かるからどうでもいいや。ってか余計な事をすると、またごちゃごちゃした事になりかねん
ここは少し喋って、適当に追い返すしかないか
「どうしたんだシルビア。お前もチームとして出るだろ? さっさと自分の場所に戻ったほうが良いんじゃないのか?」
「大丈夫ですわ。全員引き連れて参りましたので」
後ろをチラリと見ると、確かに4人程扉の前で待ってるな。1人はクロッドだけど、他の3人は知らない。ってか何気に今気が付いたんだが、シルビアって男だけのチームに編入させられたんだな。
なんか色々と凄いよ。何かもう少しおしとやかな人が入ってたら、絶対チーム変更を頼んでるだろ
「ふんっ、ティスティア様に会えなかったらこんな所には来なかったんだぞ。でもシルビア様がどうしてもって言うから……」
相変わらずクロッドは長いものに巻かれてるのね。お前は将来自立した意見の無い、残念なボディーガードになるんじゃないのかなぁ。まぁその時には俺はこの世界には……
「俺はシュウ・エンドルト。このチーム『ブラッドムーン』に所属しておるのだ」
うわっ、何か微妙にメンドクサイ喋り方だなぁ。別に個性なんか喋り方に出さなくても良いからさ
なんて言うかもう……ツッコミを入れる気が無いわ
「ワイの名前はキヨル・サルビン。以後よろしゅうなぁ~」
こっちもか……。しかもさっきまでヨミが使ってたエセ関西弁を使ってやがるし
あーもういいや、ツッコミタイム入りま~す!!
「なぁキヨル?」
「なんや? え~っと、お前の名前は……あの女ったらしで、色々と事件を起こしてばっかりのぉ」
「イツキだ。イツキ・ジングウジだ」
「あぁイツキか。で、なんなんや?」
何処か大輔と同じような匂いを感じさせる雰囲気で、何にも含みの無い笑顔を振りまいてくるキヨル。
まぁこいつにはあんまり悪い気はしないな
「その喋り方はなんなんだ? 何処か特有の喋り方なのか?」
「あぁこれか? これはなんちゅうか、ブラッシュの中でもかなり田舎の場所の喋り方なんや。なんか魔族の方に影響されてるっちゅうのを聞いた事はあるけど」
ブラッシュ……。闇の国か。以前俺達が初めてのクエストとして行った場所だな
確か魔界とのつながりがある国だっけ?
「そうか。なんか悪いな、変な事聞いて」
「かまへん、かまへん。その代わりに1つだけ聞いてもええか?」
そういってセシリアを置いて、俺と部屋の隅に来るキヨル。別にあそこで話せば良いのに、何でわざわざこっちまで来たんだ? しかもしきりに後ろを確認してるし
「あんな、正直お前んとこのメンバーの胸ってどれくらい大きいん?」
「ぶっ!?」
イキナリ何を言い出しやがった、コイツ!? お前はただのバカなのか!?
一応恐る恐るだが後ろを振り返ってみるが……。うん、誰にも聞こえてないみたいだ
「ワイのチームに女なんてシルビアしかおらへんやろ? 胸はそこそこ大きいけど、あんなんの風呂とか覗いたらクビが吹っ飛ぶのは分かりきっとる事やん? せやからワイは彼女が出来るまで、イツキのムフフな事を聞いて我慢しようと考えたんよ」
「あぁ分かるぞ、その意見。シルビアの後ろには名家であるフォンレットってのが付いてるらしいからな。でもなキヨル、ウチのチームはもっとヤバイ奴らばっかりなんだ。お前よりもそんな事を確認する事が難しいんだよ」
「ウソ言ったらあかんよ。噂は色々聞いとる。同じチームはもちろんの事、2年生徒会のセシリア先輩とかとよろしくやっとるんだやろ? ファンクラブもあるって言う噂やし」
「あんな、それは全部ウソだっての。俺も正直拝みたいよ!! 生のをさぁ!!」
「ん? 何を拝みたいですって?」
おっと後ろからティアが近づいてこようとしてる。少し興奮して大きな声を出してしまったのがいけなかったな
これ以上会話を続けて何かあるといけないし、ここはひとまず終わっとくか
「ほらっ、俺の携帯の番号教えてやるから今日の所はひとまず終わりにしようぜ?」
「さようか!! ならワイのも教えとかなあかんな。なんかワイらえぇ友達になれそうな気がするわ」
「あぁ、俺もそんな気がする!!」
ガシッと男と男の熱い友情(おっぱい的な)をい交わし、メアドの交換をする俺たち。何気に今気付いたんだが、キヨルがこっちの世界に来て初めての男の友達じゃないか? こっち来てすぐにおっさんにいちゃもん付けられるわ、クロッドからは決闘申し込まれるわ、色々あったなぁ。イオリ先輩達は友達って言うよりもやっぱり先輩ってイメージが強いから、初めての友人って事になるな
「ねぇ、何やってたのよ?」
俺が隅っこから戻ってくると、怪訝そうな顔をして俺に聞いてくる。まぁ大丈夫だ。ここで正直な事を言って、血祭りに挙げられるほど俺もバカじゃない。
しかし下手にでっち上げてもボロが出てしまえばソレで終わり。頼りにしてるぜ、キヨル
「いやな、キヨルの喋り方が昔の知り合いと似てて話してみたら気が合うからちょっとな」
「せや。ワイらは友達、いや親友になったんよ!! ティスティアさんやったか? イツキ君とはこれから仲良うさせてもらうわ」
コイツ特有の満面の笑みでウソに近い本当のことを言う。ティアも少し困ったような顔をしつつ、とりあえずは主人として喋り始める
「コイツは私が雇う前からあまり知人が居なくて。それでこの学園に入っても……仕方ない事だけど、女の子としか知り合ってないの。だから主として、コイツをよろしくね」
そうだけ言うとさっさと部屋の奥に行ってしまう。一瞬だけシルビアを見て舌打ちをする所見ると、やっぱりシルビアの事が嫌だから逃げたんだろ
「何か僕の説明はどうでもよくなってるみたいだけど、一応自己紹介だけ。僕の名前はマノヒ・イーデ。マノって呼んでくれると嬉しいかな」
そういった少年はどう見たってBとLが並びそうなジャンルの、防御に回る方々と同じ匂いがする。正直本当にSクラスの実力があるのかどうか分からないほど弱々しい。
まぁ戦ってみれば分かる事だろう
「一応私のチームの紹介はしましたわよ? だからこの試合に1つ条件を付けさせてくださいませ」
「意味分かんないから聞かなくて良いわよ、イツキ」
正直俺も何が言いたいのかが分からない。自己紹介くらいなら俺達もやるから、その変な条件を付けようとするのやめてくれ。
しかしこのシルビアというお嬢様は、いくら言っても自分の行動を曲げないので有名だ(俺の中では)
「本当はイツキさんをこっちのチームに欲しいと言いたい所ですが、私このチームがあまり気に入りませんの。何故女が私1人なのか未だに納得できてないんですからね!!」
あっ、やっぱりダメだったんだ。シルビアなら気にせずに居ると思ったんだが
「ですから私とそこでカップを持ちながら優雅にくつろいでいるティスティアを交換してくださいまし」
「はぁっ!?」
「ティスティア様がぁ!?」
2人が2つの意味で叫んだ。ティアの方はもちろん意味の分からない事を言い出した事や、なぜ自分がそんなチームに変わらないといけないのかという事で怒ってるんだろう。
対してクロッドは……言うまでもない。後ろで気絶してるよ
「あら? 何ですか、ティスティア。私に負けるのが怖いんですの?」
うわー、見え透いた挑発ぅ。こんなのに絶対乗らないよ、ティアは。
やっぱりシルビアはあんまり頭がつかえないのか?
「残念だったなしるb「分かったわよっ!!」……えっ?」
「いいわ、分かったわよ。アンタ達に負けたら潔く変わって上げるわよ!! でもねぇ、もし負けたらイツキには今後絶対近寄らないで!!」
「それは出来ませんわ!!」
心の中で全員がずっこけた。普通の所なら絶対「えぇ、良いですとも!!」って返事をするのが普通なのに
「はぁ? だったらアンタ何をかけるのよ? 私だけ不利じゃないの?」
「私の持っている所の会社と、アナタが経営している会社の提携を結ばせてもらいますわ。それでよくって?」
「いや、だからかけてるモノが違うっての……」
そう言いながら、何故か後ろからのヨミに何か小さな声でこそこそ言われている。時折驚いた顔をしたり、少し小さな声だがそれでも「うそぉ!! 」とか言ってる辺り何かがおかしい
シルビアの方を見ると、いかにも悪巧みしてそうな顔をしてやがる
「……クッ、分かったわ。その条件を呑みましょう」
「そう来なくては」
オイオイ、なんでそんな簡単に条件を呑んだ!? いつもならもっと冷静に対処してるはずなのに
「ヨミ、どういう事だ?」
「アナタに教える事は何もありません」
「ほらっ、お金上げるから」
「悪いなぁ。最近ウチもお家賃払えんくって困ってたんだよ」
だからなんで最近、お前は俺とのお笑いを入れてこようとしてんだよ?
仲良くなってくれる事は良いけど、それで終着点は漫才コンビですか
「で、ホントは何だよ」
「ふん。お嬢様は旦那様から小さいですが企業を任されてるのです。そこが何故か知りませんが、不景気になり買収されかかっているのです」
「絶対裏で手を回しただろ。シルビア」
「ここ1ヶ月訓練漬けで、確認を怠った私の責任だと言ったんだけど。お嬢様は自分の責任だって言って……」
一応小さな企業でも、そこで働いてる人は働いてるから責任を感じてるんだろうな。シルビアの会社と提携を結べば少しはましになる、か
「それじゃあ約束しましたわよ? 対戦するのは決勝になりそうですから、それまでにくれぐれも負けないようにしてくださいまし」
そういってみんなを引き連れて歩いていくシルビア。そしてそれを不思議に見ながら、係員の人が入れ違いに入ってくる
「え~っと、『紅』の皆さん? 第一試合が始まりますので準備をお願いします」
この大会に開会式は無いのかとかそういうツッコミは今回はなし。
後ろを見ればさっきの話を聞いた2人が武器を構えてこちらを見ていた
「今回の試合は戦う理由が多いなぁ、オイ」
少し冗談交じりに言うと、そのまま俺は開いた扉に立っているティアの肩に手を置く
「絶対に勝つ。俺はイオリ先輩との約束を果たすために。でもそれだけじゃない。みんなこの試合に色んな事をかけてるんだろ? だから絶対に勝つぞ?」
返事を聞く前にそのまま扉をくぐり、会場の入り口に立つ。
そして深呼吸をして、そのままゲートをくぐっていく。後ろから走るみんなの音を聞きながら
新たに男のキャラクターを3人追加しました!!
みなさん男ですよ!! 男!!
彼らにはちゃんと重要な役割を、学年別トーナメント後にも持たせているのでちゃんと忘れないであげていてください
というわけで次回から学年別トーナメントが始まります。
8チームしかありませんが密度の濃い試合になるのか、それともイツキのチートで決勝まで不戦勝になるのかは分かりませんww
という事でまた次回!
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