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紅の術者  作者: 結城光
キャラクター紹介
4/66

第1話 旅立ち

「いつつ……」


気がつくと訳のわからない白い部屋に居た。俺の記憶としては、子供を助けようと飛び出して車に引かれると思ったらーーー

そこからの記憶がない。とりあえずトラックにひかれると思って目をつむったらここに居た。

とりあえず周りを見渡すが何も無い、ただの虚構空間みたいな感じだ。



「とりあえず気づいたみたいだな」


「ーーッ!!」


突然後ろから声がしたので驚く。確かにさっき見たときは完全に誰も居なかった。何処までも続く白の世界だけだったのだ。しかし今はどうだろうか? 見たところ外国人のような少女が俺の前に立っている。金色の美しい髪が腰の辺りまであって、瞳は澄んだ青色。胸もそこそこあって……

って、今はそんな事を考えてる場合じゃない



「アンタは誰ですか?」


「私か? 言わずとも分かっていよう? しかしあえて言わせてもらうなら「神様? ですよね」ううっ…… なぜ、私の出番をとるのだ?」


「いや、なんか上から目線にブチッときちゃいまして。でも、今俺が言った事は本当なんですか?」


「私が神という事か? 本当だよ。少なくとも今君の目の前に居るのは、本物の私じゃないけどね」



話がぶっとんでるよ……?

確かに俺にはこの人の言ってる事が分かる。俺がトラックにひかれることであの世行き。そしてここはそういった人たちの通過点みたいなものだろうな。



「少し違うのだけど……」


「はぁ!? アンタ、俺の思考読めんの!?」


「いや、口に出してたし」


「まぁそれは、あれだ。で、少し違うってどういうことだ?」


「うむ、説明しよう」



そう言いながら神様は何かの球体を懐から取り出した。俺はその球体を覗き込むが……

なにも起きない



「オイ、なにも起きねぇじゃんかよ」


「それは映像を映し出す水晶だ。だれが覗き込むものだといった?」



……はい。

どうせ俺のはやとちりですよ。なにが悪い? 水晶って覗き込むもんだろ。占い師の人が水晶持ちながら適当な呪文唱えて、見える、見えるって

そんな愚痴をこぼしつつ前を見ると、水晶から出た光が明らかに空間に映っている。普通なら何も無いところに映写は出来ないはずなのに今、目の前にそれをやってのけている。

本当に神ってご都合主義かよ?



「これはお前がコンビニから出てくるところからの映像だ」



そういって目の前を見ていると……

確かにさっき行ったファミ〇から大輔の荷物を持って出てくる俺達が映し出されていた。その後も、楽しげ…… ではないが、会話をしている。が、やっぱり俺が話を止めた。そして見つめている視線の先にはさっきの赤いボールと男の子が立っている。


「こんなの見せられたって、俺には今さっき起こったことだぞ?」


「まあ見てれば分かるよ」



そういわれて画面をもう一度見てみる。

やっぱりトラックが突っ込んできていて、俺が男の子を…… 突き飛ばしに行かない!? なぜだ!?

俺はあの時、男の子を突き飛ばして死んだんだろ?

そんな事を考えて神様の方を向く。しかし彼女の目は、しっかり見ていろ。としか言っていないようにしか見えなかった。仕方なく俺は見る事にした。


トラックが突っ込んできて、俺達は唖然としている。まなかに至っては、悲鳴を上げているくらいだ。そして数秒後、男の子はひかれ……なかった!?

突っ込んできたトラックは男の子に当たらず、ギリギリの所で停止していた



「どういうことだよ!? なんで俺が助けなかった時は、誰1人怪我してないんだよ!?」


「説明してやるから落ち着け」



ありえない。完全に歴史が変わっている。確かに俺はトラックに衝突する直前に目を瞑ってしまったから、本当にトラックが俺に当たったかなんてのは分からない。しかしスピードから考えて、俺やあの子の前で止まれるはずは無かった。



「つまりな、本来であればお前はあの男の子を助けなかった。実際助けなくっても彼は怪我1つしなくて生きていたのだ。しかしなぜかお前はあそこで“助ける”という行為をした。これは私達の中でも異例の事だったのだ。」


「つまり俺はおせっかいだったって訳か?」


「いや、そうでもない。確かにお前が助けなくっても彼は生きていた。しかしお前は私達が予知していた未来を変えたのだ。これは初めての事であり、同時に君に可能性を見つけ出したのだ」


「可能性?」


「今は詳しい事は言えん。向こうの世界で時が過ぎればいずれ分かるだろうが」



とりあえず俺が歴史を変えてしまいました的な感じでいいんだよな。てか、神様は否定したけど俺ってただのおせっかいで死んだんですか? なんとショボイ死に様…… まぁ諦めるか

そして、こいつは今サラッと変な事言いやがったぞ?



「向こうの世界ってどういうことだ?」


「おお、気づいておったか」



当たり前だっつーの。なにが向こうの世界だよ。俺は死んで転生でもさせられるのかよ? これ、なんてゲーム? 制作会社に訴えたいわ!!



「さっきも言ったが、君は1つ大きな認識の間違いをしている」


「もったいぶらずにさっさと言え」


「つまりな、君は死んでいないんだよ」



なんたる事か。俺が死んでいない? だったら元の世界に返せよ。なにこんな所に連れ込んじゃってるの? いくら神様とはいえ、普通に誘拐でしょ。しかも平然と言ってるとか、あんた実は常習犯だったりしちゃいます?



「さっきも言った通り、君は未来を変えた。この何千年と過ぎた時間でこんな事をやったのは君だけだ」


「そりゃどうも」


「しかし、そんな人間が死んでしまうのは惜しい。だから、死ぬ直前に私がこの虚構世界に君を転送したのだよ」


「だったら元の世界に返してくれ」


「それだけは出来ないの。少なくとも今は……」


 

それ以上神様は喋らなかった。今は返せないという言葉にはすこし疑問を抱いたが、どうせトラックにはねられて死んでいたはずの命を助けてもらったから深くは聞かない。それにあの言い方だと、時間が経てば戻れそうな感じだったからな



「とりあえず君のいた世界では、君は行方不明という形になっている。なにか書き置きでもしていくか?」


「いや、いいよ。アンタの言い方だと、戻れる方法はあるんだろ? だったらその方法を探して、戻ってから全部説明する」


「それもよかろう。さて、一通りの説明も終わった事だし、次はこれからの事について話そうか」



あぁ…… やっぱりこういうフラグだったんだな……

俺をこんな虚構世界に転送して、向こうの世界とかなんだかんだ言ったらあれしかないですよね?



「君は私の管理している別の世界に行ってもらう。もちろん並行世界などではなく、以前まで君の居た世界とは全てが異なるいわば異世界だ」


「大体予想はしてたさ。そんな事改めて言われても驚きゃしねぇよ。」


「理解力があって助かる。それでその世界なんだが、とりあえずファンタジーみたいな世界だ」



いや、ファンタジーみたいな世界だとかアバウトすぎるでしょ。剣とか銃とかが当たり前に使われてて、魔法とかもバンバン飛んでくる。敵はスライムから始まって、ゴーレムやらなんやで最終的にはドラゴンと直接対決的なものですか。



「その世界の名前はユーリス。ここでは主に魔法文化が発達しておる」



はい、予想通り!!

もれなくマガ〇ン1年分贈呈とかしろや、ゴラァ



「まあ詳しい事はこの少女に聞けば分かるだろう」


「はっ? この少女って誰の事だよ?」


「おお、言っておらんかったな。私の今の姿は、お前がユーリスで出会う最初の人間なのだ」



神様は意外にヘンタイでした。俺の予想していたひげ面で白い服着て杖持ってるじーさんじゃないなとは思っていたけど、こんな趣味をお持ちだったとは。彼女(彼?)の言い分では、神とは実体の無い存在なので、俺に話をしにくいだろうと思ってこの姿になったんだと。何処までが本当か怪しいが



「つまり、アンタと同じ容姿をしている少女が俺に何かしらで関わってくるから、そいつに聞けと?」


「現地の住民の方が分かりやすく説明してくれるだろうしな」


「で、もう1つ何かあるんじゃないのか?」


「えっ?」



いや転生ってか異世界モノにはつき物のあれだろ、アレ



「俺がその世界にいって不便な事にならないように、チートな能力くれるんじゃないの?」


「そうだったな。でもそんなにお前の言う事を聞けるわけではないぞ?」


「そんなの上等」


「では言ってみろ。可能な限り叶えてやる」



そういって神様は何かの杖を取り出した。あれで俺の願い事を叶えてくれるのか? 思ったよりもボロッちくないからただの飾りかと思ってしまうぞ



「1つ目は身体能力の強化。2つ目は魔法世界なんだから、魔力の最大値を普通の人よりもかなり多くする事。3つ目は俺の思考を現実とすること」



1つ目のは、まぁ異世界に行くんだから当たり前の事。2つ目は、魔法文化が発達しているのだから俺も魔法を使う事が出来るだろう。その時に魔力がなくなりましたでは話しにならないからな。

そして3つ目は、やっぱチートな能力欲しいじゃん? ただそれだけです。



「前2つのは言わなくってもつけてやろうと思っていたから、結果的には1つしか叶えてやらん事になるがいいか?」


「3つ目が本命なんだからいいに決まってんだろ?」


「いいだろう。しかし、その能力にも限界があるぞ? 例えば自分を女にするとか、人の存在を消去するとかは出来んから」


「まぁ、いろいろ使ってみて考えるわ」


「ふっ、つくづくお前は面白い奴だ」


「なにがだよ?」


「いや、こっちの話だ」


そういって神様は杖を振りかざす。そして、白い何かの球が俺の体に入り込んでくる。ズブズブと入っていくのは何か変な感じだが、全て入ってしまうと全く違和感を感じなくなっていた。



「髪の色やなんかは…… 大丈夫そうだな。その姿でも、十分やっていける」


「わりぃかよ!? 髪の毛はもともと赤なんだっつーの」



人の髪の毛の色までケチ付けられる覚えは無いぞ!?

顔までなんか言われたって、こういう顔なんです!! 生まれつきなんです!!



「さて、おそらく次にお前に会う時はかなり先だろう。その時までに、色々と強くなっていろよ? 肉体的にも、精神的にも」


「んな事は分かってるわ」


「では……」



神様がまた杖を一振りする。すると俺の目の前には大きく立派な扉が現れた。



「旅立て、神宮司 斎よ!! そして、しばしの別れだ!!」



その言葉を合図に扉が開く。その向こうに待っているのは、まばゆいくらいの光

この扉をくぐってしまえば、ここに戻ってくる方法かもと居た世界に戻る方法を見つけなくては帰れなくなる。つまり後戻り不可能点ポイントオブ・ノーリターンだ。

でも、俺はそんな事は考えていなかった。これから始まる新たな日々に期待を持っていたから



「じゃあな、神様」



そして俺は扉をくぐった





「ふぅ…… 行ったか」



異世界への扉を閉めて、一息する神様。

本来、この世界と別の世界をつなぐ事はできない。それを神と言う立場、凄まじい魔力によりそれを可能とさせていたのだ。しかし、神とて魔力は無限ではない。



「創造する能力か。アイツはつくづく面白い奴だった」



奴の行った世界で、その能力はどういったものかも知らないで……

いや、これもある意味運命と言うものだろうか? これからの彼に起こる物語の中の1つのピースでもある能力。



「強くなれ、今はそれだけだ」



その言葉を最後に、神は元居た場所へと消えていった



主人公とかの容姿とかをもう少ししたらまとめようかと思います。

それまでは文章内での説明が続きそう……

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