第29話 三者三様の戦い 3
結局終わりませんでした……orz
次回こそ、模擬戦は終わりです!!
(セイウェンの得意属性は風と水。そして派生として氷を使ってくる。だったら……)
俺は再び剣を防ぎながらも距離を取れる瞬間を探す。セイウェンは完全に俺との勝負だけを望んでここに居る、しかし俺はその先の事も考えている。俺のと戦いで全部出し切る気でいるセイウェンに俺も全力で立ち向かわなくてはいけない。
本来なら魔力の事を考えて戦わなければいけないが、あいにく俺は魔力の量はもはや測定不可能くらいに多いんでその事は問題ない。問題なのはどうやってセイウェンを倒すかだ
「イツキ君、どうしたっ!!」
「へっ、セイウェン。パンツ見えてるぞ?」
「な、なにっ//」
せこいと分かってはいながら、セイウェンの隙を作るためにウソを言う。その言葉に激しく動揺したセイウェンは戦っている最中なのに、自分から距離を取り服装を直そうとする
(今だっ!!)
『業火よ 悪しきものを消し去る烈火の象徴 集え赤星 全てを焼き消す焔となれ 烈火の焔』
莫大な炎の塊が目の前に作り出される。セイウェンも炎を見た瞬間自分が騙されたという事に気付き、一瞬にしてこちらへと近づいてくる。
しかしもう遅い。
「吸収」
『換装 獄炎業火』
握っている剣に炎が宿る。セイウェンはそれを見た瞬間水を剣に纏わせ、そのまま思い切り振りかざす。
しかし俺はその攻撃を避ける。そしてセイウェンの無防備になった腹へみね打ちで剣を振る
「がっ……」
「悪いなセイウェン。今回はどうしても勝たなくてはいけないんだよ」
そういいながら剣を左手に持ち、空いた右手でセイウェンを吹っ飛ばす。
魔力を込めた俺の一撃は完全にセイウェンの腹に当たり、炎を帯びながらセイウェンは吹っ飛ぶ。
「さてっ、これで……」
俺はティアの方へと向かう。急がなくてはアイリが大変な事に
「もらった!!」
「ッ!?」
ーガキンッー
とっさに左手にあった剣を力任せに一回転させると丁度俺の後ろにセイウェンの剣があり、ぶつかる。俺の剣には炎を宿していたままでセイウェンは水を縫わせてまま。もしこのまま俺の炎だけが消滅してセイウェンの水だけが残ったら完全にセイウェンは風の魔法を使って、俺ごと凍らせる気でいるぞ!?
どうする……どうするよ?
「フッ」
すると突然セイウェンが自分から攻撃をやめ、剣を下段に構える。
「さっきので私が戦える力はあまり残っていないみたいだ。だから次の一撃で勝負を決めるっ!!」
その言葉と共にセイウェンは残っている全ての魔力を開放し、剣に注ぎ込んでいる。剣の表面が薄い氷で覆われていくのが分かる。俺もニヤリと笑いながら剣を自分の後ろで下段にして魔力を込める。両者の剣が赤と青にそれぞれ薄く光る
「行くぞっ!!」
「火龍一閃!!」
ードンッー
●紅の術者
第29話 三者三様の戦い 3
side:ティスティア
私が全力で上級魔法を放った場所は、土煙とが舞い上がっておりヨミが居るかどうかが分からない。
(まずいわね、ヨミがあの攻撃を避けていたとしたら……いや、それは無いか。あのヨミでもさっきの攻撃は避けられるはずは無い)
そう思いながらも万が一の時に備え無詠唱魔法を停滞させておく。
一向に動きの無いヨミ。ここは私が動いた方がいいのか? 危険を冒してでも攻撃しにいくべきか? そんな自問自答をしているティアは気付かない。集中力を周りに配っていたのを考える事に集中してしまったら周りが見えなくなるのは必然的な事だ。
「お嬢様、戦闘中に考え事とは余裕ですねっ!!」
「ヨミッ!?」
突然自分の死角から現れたヨミに対処するのが一瞬遅れる。それはコンマ何秒かの事だった。普通の戦いであれば反応が早いくらいだが、この戦いは違う。Sクラスの中でも上位の人間同士が戦っている。それにヨミは完全にスピード型だ。速さが命の彼女にコンマ何秒の遅れは命取りとなるのは確実であった。
「がはっ!!」
「まだです、お嬢様!!」
剣の塚を思い切り振りかざしティアの腹にめり込ませ吹き飛ばすヨミ。当然瞬時に飛び出てきた攻撃にちゃんとした防御など取れるはずも無く、常時展開させている障壁が破壊され物理ダメージをもろに喰らっている。
しかしヨミは攻撃を止めない。さっきの一撃を喰らっている手前、再び距離を取られでもしたらどんな一撃を喰らうか分かった物ではない。
風速瞬動を使い再びティアに近づく。本来ならお嬢様を護る役目も担っているが、ここは傷つけてしまうがしょうがない。イツキとデートされるなら少しぐらい怪我をされても止めるのが自分の役目だと
「これで最後です!! お嬢様!!」
魔力ダメージによるノックアウトを狙い、短剣に魔力を込めそのままティアがいる場所に近寄る。
そして力いっぱいに振りかざしーー
「ーー発動」
「ッ!?」
ヨミがギリギリの所まで近づいて来た所でティアがニヤリと笑いながら杖を構え言葉を唱える。
すると中級魔法位の威力の炎と雷の塊がヨミに襲い掛かる。ぶつかる短剣と炎と雷の塊。風速瞬動を使っているヨミが、その威力を全て使い塊を叩ききる。
しかし目の前にはティアはおらず、離れた所にティアが笑いながら魔法陣を展開させている。
「私も成長しているのよ、ヨミ?」
「遅延魔法……」
その言葉を言った瞬間魔法が発動してヨミに襲い掛かる。完全に自分の負けを自覚し防御用の魔法を発動させるのを諦める。
ードンッー
ヨミがティアの攻撃を喰らい、意識を手放す。
その姿を見てティアも両膝を床につく。さすがに緊張の糸が解けたのだ。ヨミとの直接戦うのは1ヵ月ぶりなのだが、ここまで激しくやった事はなかった。
それに遅延魔法という初めて使う魔法を使用した事による魔力の消費で倒れこむのだった。
「さてっ、アイリの援護にでも……」
ーバンッー
「なっ!?」
ティアが再び立ち上がろうとすると、地面から鎖のような物が手足を拘束し動けなくなる。
こういった魔力を練った物理捕縛は、解除するのに最低でも数十秒かかる
「お嬢様……」
「ッ!? ヨミ!?」
さきほど意識を手放したかに思えたヨミが倒れこみながらも、補助魔法である拘束魔法を発動させながらこちらを向いていた。
「確かに先程の一撃はお見事でした。ですから今度は私の一撃も喰らってください」
そういって残り少ない魔力を全て使い、私に攻撃を放とうとしてくる。
(このバインド、魔法妨害が組み込まれてる!? 障壁が発動できない!!)
「行きますよ? お嬢様」
魔法陣が展開され、攻撃のすべてがティアに向けられる。防御が取れなく攻撃が避けられない今、ティアはこの攻撃を全て受けるしかない。
その事実が分かった事により、ティアは再び笑う
「ホント、言うようになったわね。ヨミ!!」
その言葉を合図にするかのように全ての魔法が放たれる。
side:アイリ
『鋭石よ 彼の地にそびえる巨人の手 それは如何なる物も粉砕する鉄槌 巨人の一撃』
ヤスラ先生の近くに魔法陣が発動され、土で出来た腕がヤスラ先生を押しつぶそうとする。それもかなりの強度で大きさなどヤスラの何倍もある大きな手だ。
「確かに使えてるわね」
ヤスラ先生は驚くそぶりも見せず、ただその場の状況を客観的に見ている。
自分に巨大な石の手が降りかかっているにも関わらず。
ードンッー
巨人の手がヤスラ先生の居た辺りの場所を潰す。
(やった!?)
防御用の魔法陣を発動したそぶりも見せなかったヤスラ先生。ボクが上級魔法を使った事が予想外すぎて防御するのを忘れたのかな?
いや、それは無い。巨人の腕が出てきた時も余裕の表情だったのに防御を忘れるはずが無い
だったら……
「今後の課題は魔力の制御と上級魔法の練習だね。それが出来れば封印用の術式をワザワザ使わなくても、普通のカラーコンタクトで生活が出来ると」
「予想はしてたけど流石に……」
土煙を握っている黒い剣の風圧で消し去るヤスラ先生。傷など微塵も付いてはおらず、後ろにある巨人の腕が綺麗に真っ二つにされていた。
「さて、アイリちゃんのこれからの課題も分かった所だしそろそろ本気を出しますかね」
「その言い方だと本気を出していなかったみたいですね、ヤスラ先生。ボクの取って置きを意図も簡単に破壊しておいてそれですか?」
「ふふっ、今のあなた達には負ける事によって学ぶって事も大切よ?」
そういって闇で出来た黒い剣を投げる。ヤスラ先生にしては単純な攻撃すぎる。さっきまでの上位魔法の数々はなんだったんだろうと思うくらいに簡単な攻撃だ。
ただの黒い剣がボクをめがけて一直線に飛んでくる。弾丸のように誘導がかかっているわけでもないただの剣が飛んでくるのを避ける事なんて
そう思いながら私は左に飛ぶ
「ーー爆ぜよ」
「えっ?」
ヤスラ先生が静かにそう唱えると剣の形をしていた物が、一瞬にしてただの闇となりボクに向かって来る。当然、今さっき回避行動に出たボクがこの攻撃を避けられる訳が無い。
普通であればだが
「空中での回避方法はちゃんと分かってるみたいね」
「ボクだってここまで来るのに色んな事がありましたからね。これくらいは普通ですよ」
「あ~ら残念、ホントだったらもう少しアイリちゃんの実力を見ていたいのにね。早くしないと他の2人が危ないみたいだから……」
先程までの攻撃が遊びだったかのようにおびただしい数の闇がボクの視界を黒く染める。防御をする事もバカらしく思えるくらいの質量の攻撃。
ボクはもう……
「吸収」
『換装 常闇暗黒』
「えっ?」
side:イツキ
「えっ?」
銃を落とし、絶望したような顔をしたアイリの目の前に縮地で割り込み魔法喰らいで攻撃を無力化、吸収する。
その奥に立っているヤスラ先生は少し驚いた顔をして、セイウェンと俺が戦っていた場所をちらりと見てから納得したような顔をする。
「やっぱりセイウェンちゃん1人じゃダメだったか。あの子は結構成長したと思ったんだけどなぁ」
「強かったですよ? 最後の一撃の威力が俺の方が強かっただけで」
そう言いながらアイリの方を見る。気絶はしてないみたいだな、ただ膨大な質量の攻撃を前に戦意を失ったって所か。
考えながらアイリを見ていると……うわっ、視線そらされた。なに? アイリ赤くなっちゃって?
一応助けに来たんだからさ、泣きそうな顔になるのは止めてくれないかなぁ……
「あの~アイリさん?」
「ふぇ……ひぐっ……イツキぃーーーーーー!!」
「あっ、オイちょっと」
やっぱり案の定アイリが泣きついて来た。ってか一瞬笑ってなかったか? コイツ
「アナタ達、今模擬戦の途中……」
えぇ、分かっていますよヤスラ先生。でもね、アイリが全然離してくれないんですよ。
先生も諦めて攻撃しようとしてるし……
「アイリ、立てるか?」
「ふぇ? う、うん!!」
そういいながらヤスラ先生のほうを1度見て、俺が言いたい事が分かったらしく地面に落ちていた銃を握り締めすぐに撃てる体勢になった。
「お楽しみの所悪いんだけど、コレも一応模擬戦なのよね。それにイツキ君には敗北の意味を体で分かってもらわないといけないから……」
(来るぞ、アイリ)
(後ろは任せてっ!! イツキは前を)
(了解!!)
短く念話を済ませると俺は縮地でヤスラ先生に近づく。もちろん向こうは遠距離が専門らしく、次々と闇の槍を飛ばしてくる。
しかし俺は立ち止まらないし、回避する必要も無い。後ろにアイリがいるから俺を攻撃しようとする物を片っ端から相殺してくれる。
「アイリちゃん、やるわね!!」
「ボクは言ったはずだよ? 先生を撃ち抜くまでは倒れないって」
片っ端から相殺されていくのを見てヤスラ先生は攻撃をやめ、何かを詠唱している。
しかし俺がその詠唱を止める事は出来ず、気が付いたアイリも攻撃をするが闇に阻まれ攻撃が通らなかった。
「「こっちよ、イツキ君」」
「ふ、2人!?」
突然ヤスラ先生の後ろからもう1人のヤスラ先生が現れ、二手に分かれる。魔力の密度は一緒になっているからどっちが本物か分からない
「落ち着いて、イツキ。片方はヤスラ先生の影で作り出した分身」
「でもな、魔力の密度がほとんど一緒なんだぞ!? どうやって本体と見分ける!?」
その言葉に黙り込むアイリ。俺がパニくってるのを抑えようとしてくれたのは分かる。
さて、問題なのはヤスラ先生の対応だが……やっぱり1人をやるしかないか
「アイリ、右は頼んだ。俺は左を叩く」
「了解」
その言葉を聞き、俺は左の先生の方に近づく。
表情からしぐさまで全部ヤスラ先生だな、オイ。こっちが本体か?
そんな事を考えてる俺にはお構い無しに、ヤスラ先生は闇で作った剣で俺を本気で倒しに来る。なんで本気って分かるかって? 狙ってくるところが全部急所だからだよ。ガンドロフをそのままにしといてよかった
「先生はどうして俺を負けさせようとしてるんですか!? 実力を見るんじゃなくて敗北を体で覚えろって……」
「簡単に言えばアナタの為よ、イツキ君」
「俺の為……?」
剣と剣を交えながら会話する俺達。その間にもヤスラ先生は確実に急所を付いてくるし、俺は闇の剣を振り払おうとしている。
「結局ね、負ける事を知らないモノは成長しないよ。いくらイツキ君が強くても、成長が止まってしまったら意味無いでしょっ!!」
俺が敗北を、負けという物を知らない? いやヤスラ先生、俺の人生負けっぱなしですよ?
まなかや大輔に比べたら勉強も運動も負けていて、男の子を助けたら意味無いとか言われて、挙句ここでも負けてくれってか?
敗北を知らないモノは確かに成長できないかもしれませんよ。自分が強いと思ってしまったら、その上を目指そうとする人間は少ない。その場所でいいと思う人達が多いだろう
でもね、俺は違うんですよ。
やっと神様から能力貰って、色んな仲間と前の世界には無かった魔法って力をもっと学びたいと思ってるんですよ。
それに俺は昔っから負けず嫌いなんで、この戦いも負けるわけには行かないんですよっ!!
「そこっ!!」
「甘いですよっ!! 先生!!」
とっさに投げてきた短剣を避ける。何故こんな短剣を投げたのかは分からないけど……
しかし投げた後にヤスラ先生に隙が出来た
「先生、言った割に隙が出来てるじゃないですか!!」
そう言いながらヤスラ先生に近づいて行こうとする。しかし体が動かない。腕や顔などは動くのに、その場から動く事が出来ない。
「私のオリジナル魔法、影縫いよ。アナタの影を闇で縛り付けさせてもらったわ」
「ガンドロフ、銃を!!」
(承知した、主よ!!)
瞬時に手に銃が現れ、俺は自分の影に刺さっている闇の短剣を破壊しようとする。
しかし……
「どうしたの、イツキ君? 私はこっちなのよ?」
「くっそ」
なんとか動く手に握られている銃でヤスラ先生と応戦するが、やはりその場に固定されているのでは防げない攻撃はある。
1つ、2つと傷が増えていく
「悪いけどイツキ君はここで負けてもらうわね。アイリちゃん共々」
「俺は諦めませんよ」
「ふぅん、でもこれで終わり!! いくらイツキ君でも、魔力によるダメージの累積は耐えられないっ!!」
黒い光が集まっていく。そしてソレは完全に俺を狙っている。
この状態で防げる確率はほぼ無い
「これで……終わりっ!!」
ヤスラ先生の攻撃が、放たれた
紅 魔法辞典
烈火の炎
炎のみで形成される純粋な炎の塊。上級属性だがそこまで戦いの決め手となる一手ではない。しかし純粋な炎の為に換装した時の威力が高くなる。
使用者:イツキ・ジングウジ
遅延魔法
魔法詠唱をした後に魔法陣をすぐ発動させて魔法を使うのでは無く、術者のタイミングで魔法を発動できる補助魔法の一種。しかし誰にでも使えるわけでもなく、かなり難易度の高い補助魔法。
術者のタイミングで発動できるが、多くの術者は何かしらの言葉を言ったときに発動できるようにするのが多い。
使用者:ティスティア・ナフィー
巨人の一撃
土を魔法により岩石の何倍も硬くすることにより、破壊力を増大させている魔法。上級魔法ゆえに大きさも桁違いで、威力と攻撃範囲は対多数用の魔法。
しかしアイリはこの魔法をヤスラに使う事で高威力かつ広範囲の攻撃を行おうとした
使用者:アイリ・クラン
そろそろ物語が動き始めるかもしれません。ってか動き始めないと、このままイツキのハーレムラブコメで終わってしまうのでww
新キャラも考えていますからお楽しみに
さて、そろそろこの小説の主要キャラに絵が付いてもいいかなぁ~なんて思っている作者ですが文才も無いのに絵なんかもっと書ける訳ありません。
読者の中に描いてくれる人居ないかぁ~(半分冗談ですけどww)
もし書いてもいいって言う人は感想か、ダイレクトメールでお願いします
まぁ半分冗談ですから、この作者何言ってんだ? くらいでいいです。では、また次回