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紅の術者  作者: 結城光
第1章・1節 学園編
30/66

第26話 またかよっ!!

いきなり時間軸を一ヶ月飛ばした

だって実はこの小説始まって一週間も経っていなかったんだもん(・A・)


生徒会メンバーと出会ってから1ヶ月。俺達はヤスラ先生の組んだ地獄の様なトレーニングを受けてきた。1人で100体以上の魔物と戦ったり、魔法を封じられて完全に自分の身体能力だけで与えられたミッションをこなすという事やらなんやら、本当に地獄のようだった。



「よしっ、みんなそこまで」



ヤスラ先生の掛け声で全員の手が止まる。見事に服がボロボロだ。

俺は一向に構わないのだが、他の4人は破れた服からチラチラ下着が見えるから……



「イツキ君、あんまりみんなの事エッチな目で見ちゃダメよ?」


「み、見てませんよ!!」



ヤスラ先生が変な事を言うから俺が慌てて否定する。しかし先生はジトッーっとした目で見てくる。

イヤ、先生はいいんだ、先生は。でもさ、なんか後ろから3人の視線が背中にズキズキッと刺さっているのが分かる。

俺、最近こういうの多いよな。なんかみんなから色々変な目で見られてさ、みんなの評価は下がっているはずなんだけど……



「まぁ、冗談はさておき今日はみんなにお知らせがあります」


「はぁ、もうなんですか……」



俺は半ば諦めつつヤスラ先生に話を聞く。後ろの方で3人が何かブツブツ言っているけど知らん。

ツッコミすぎはダメだと思うのだよ。



「『チーム紅』第2回模擬戦をしま~すっ!!」








●紅の術者

第26話 またかよっ!!








「えっ、またですか?」


「いやいや、今だからこそなのだよイツキ君。君達はこの1ヶ月なにをしてきたのかな?」


「魔法の基礎理論から応用理論、実戦を想定した訓練やらなんやらで……」


「正直地獄みたいだったわよね」


「さすがにボクも……」



ヤスラ先生の考えた訓練メニューは個人個人で全く異なっており、共通しているのはその内容が酷かったという事くらいだ。ある程度訓練を積んできたセイウェンやアイリですら思い出したくないような内容が含まれていた。




「まぁちゃんとした授業って意味もあるけど、本当の理由はもっと別の所にあるのよね」


「本当の理由とは?」



セイウェンが質問した瞬間、ヤスラ先生の目が光った。

あぁ、またなんかの地雷を踏んだような気がする。ヤスラ先生は近くにあった自分のカバンから一枚のプリントを俺達の目の前に出してくる。



「1ヶ月に1回行われる、クラス内の順位決め大会」


「えっと、なんですか? これ」


「簡単に説明するとね、Sクラスは他のクラスと違って授業自体が自由じゃない? それだから教えている先生によって生徒の伸びる割合が変わってくるわけよ。それだから1ヶ月ごとに各チームの能力を競い合って良かったチームの練習方法を参考にするってわけ」


「それと実戦のどこが関係しているんですか」


「だからとりあえずチーム内でもう一度戦ってみましょって話なのよ。1ヶ月前とは実力がかなり違うと思うから」


「じゃあまた個人戦なんですね」



またヤスラ先生とやるのか……

別に魔法喰らいエンペルゲレト以外の創造能力はあんまり使わないように決めたから、これ以上ヤスラ先生に何か言われる事もないと思うけどなぁ。

ここ1ヶ月は古代呪文の事は忘れて良いから、接近戦と魔法の使い方を覚えろって言われて必死になって

やって来たけどそこまで強くなっているのか?



「いやいや今回は3対3のチーム戦。さっき言った大会はチーム5人で一斉に試合をするの。だからどれくらい連携が取れるのかも重要な事なんだよ」



思った以上に大変な大会だな。

ってかこれって一般生徒はやらないんだよな? 



「ああ、一般生徒はSクラスの実力を見るって建前でみんな見学だよ? 良かったねぇ、1000人の大観衆の前で君達の実力がお披露目されるわけです」


「……先生、までもですか」



最近俺の心の中を読む人間が多い。

一応そういったものに対応するために、無意識で読心術の妨害魔法を展開しているはずなんだけど……



「で、チームの組み合わせなんだけど


イツキ、ティア、アイリVS私、セイウェン、ヨミ


でやろうと思うの」


「俺のチームは前衛が俺だけで、後衛が2人。それに対してそっちのチームは2人が前衛でヤスラ先生が後衛ですか? なんでこんなバラバラに?」


「イツキ君の戦闘力は異常だと思うの、このチームの誰よりもね。どうなるかは分からないけど、2人なら何とか戦えないわけではないと思う。それに私がちょっと本気を出せば後ろの2人を相手にする事は出来るだろうし」


「なるほど、それなら確かにいけるかもしれないな。イツキ君と本気で1度手合わせしてみたいと思っていた所だ」


「おもしれぇ。ヤスラ先生、少し本気出してもいいですよね?」


「別に構わないわ」



その言葉で俺を含めた全員が笑った。俺は単純に自分の力を使う事が出来るからなのだが、どうも他のやつらは違うみたい。

なんかコレで勝ったら……とか、イツキの……とか言ってたし。ってか俺がどうしたんだよ!?



「じゃあ各自作戦を立てたら、10分後にここに集合ね?」


「「「「「了解ヤー」」」」」









side:イツキチーム





「ん~、絶対気を付けないといけないのはヤスラ先生だよな」



俺達は練習場の近くにある教室? みたいな所で作戦会議をしていた。もちろん部屋にはロックの呪文と

この部屋以外には音が聞こえなくしておいた。なんでこんなに厳重かって? もちろん相手にヤスラ先生がいるからに決まってるだろ。



「確かにセイウェンとヨミも注意しなくてはいけないけど、それ以上にヤスラ先生の実力が未知数って言うのが不安よね」


「ヨミの事ならある程度ボクが対策を考える事が出来るけど、ティアとイツキはどう?」


「私の方も派生の方をある程度警戒していればなんとか……」


「「で、問題は……」」



ティアとアイリの視線が俺に移る。

一応前回の戦闘を思い出しているいるけど、最初っから本気だったわけじゃないし、上級属性の闇の魔法を使った時も一瞬で終わらせたからちゃんとした実力が分からない。



「なんとかお前達にヤスラ先生との戦闘に集中できる環境を作る予定だけど、俺からあの人の対策として言えるのは実力が未知数って事くらいだな」


「ボクはあんまり接近戦は得意じゃないけど、ティアちゃんは出来そうだから実質1-1-1の形を取る事になりそうだね」


「1-1-1?」



なんとなく戦術的な話だと思うが、さっぱり分からないのでアイリに質問を投げ返す。



「常に前線で戦うイツキに、中距離から魔法を放ちつつ前衛にもでるティアちゃん、そして後方で強力な魔法を放ちつつ前衛をサポートするボク。この形を1-1-1って言うんだよ」



なるほど、確かにこれは効率のいい形だ。

一箇所に固まっていたら、味方の邪魔にもなってしまうし強力な魔法を放ってきたら一発アウト。

それに比べてこの戦法は、1人1人にそれぞれの役割を持っていて広範囲魔法でも放ってこない限り1人は最悪でも生き残れる。しかし、今回の戦いで1番の負担になるのは俺だろうな

セイウェンとヨミを俺1人で相手にしなくてはならない



「最初から魔法喰らいエンペルゲレトでいくか」


「イツキには悪いけど、その方がいいかも。セイウェンとヨミのタッグは予想以上に強いと思うし」


「ボク達もできるだけサポートはするけど……」



2人も俺にかかる負担がどれだけ大きいのかを分かっているみたいだ。俺の顔を見ながら物凄い心配そうな顔をしているし

俺は2人の近くに行くと、頭をなでながら



「ふぇっ!? イ、イツキなにをやるのよ!?」


「ひゃい!? イツキ、まさか……」


「心配してくれてありがとな。でもさ、この作戦でいけば俺らは勝てるだろ? だったら俺の事なんか心配しないでお前達は自分のやる事をやってくれよ」


「わ、わかってるわよ//」


「勝ったらご褒美だからね//」



2人が物凄く顔を赤くしているが、何かあったのか?

とりあえず分からないけど、俺は2人の頭を撫でまくった。なんでかって? 女子の髪の毛ってさらさらしてたり、フワフワしてたり、いいにおいしてたりして気持ちいいじゃん?



「へにゃ~//」


「ほわ~//」



イツキの頭撫では、対女子用の最終兵器として言われ続ける事になる






side:ヤスラチーム




「最初に倒しておかないといけないのはイツキ君よね?」



イツキ君達が作戦を考えるとかいって出て行った後、私達はそのままの場所で話していた。イツキ君の性格からして私達を警戒して対策をしてくるのは確実。だからあえて私達はここで話をしていてもイツキ君達が入ってこない限り大丈夫だろうしね



「イツキ君は間違いなく前衛として出てくる。私とヨミ君がイツキ君と相手をしないといけないのは確実だろうしな」


「イツキはおそらくヤスラ先生を警戒してる。私達と1人で戦いながら、お嬢様とアイリにヤスラ先生をやらせようとするはず」


「さっすが2人共読みがいいわね。特にヨミちゃん読みがいいなんてね」


「「……」」



あらっ? 不評だったかしら?

結構イケてると思ったんだけどなぁ。



「とにかく、イツキ君の戦力をまずは封じて頂戴。確かにティアちゃんとアイリちゃんの戦力も侮れないけど、イツキ君はそれを遥かに凌駕しているわ」


魔法喰らいエンペルゲレトも注意しなければならないし、全属性が使えることも厄介だ」


「あなた達2人でもかなり厳しいと思うけど頑張って頂戴。私は私でサポートするから」


「「了解ヤー」」



イツキ君、アナタには悪いけどこの試合には負けてもらうわ。

負けを知らない者はある程度の成長で止まってしまうから

だから私も最初から全力で戦う。もしそれで君の心をズタズタに切り裂いてしまったとしても








side:イツキ





ふにゃ~とかへにゃ~とか言ってるティアとアイリを連れて行くのは大変だった。

良く分からないけど勝負に勝つためよっ、とか言ってもう一度頭を撫でろって言われたから撫でたらこんな感じになってしまったのだった。



「おいティア」


「にゃ~にぃ~?」


「アイリ?」


「ふぁにゃ~い?」


「ティア、アイリ!! パンツが見えてるぞっ!!」


「「うそぉーーーー!?」」


「ゴメンウソだ」



途端に2人の視線が虚ろだったのが正気に戻り、眼光が鋭くなる。




「お前らがアッチの世界に逝ってたから連れ戻したんだ。どうしたんだよ?」


「「そ、それは……//」」



またもや顔が赤くなってしまいうつむく2人。俺はそれをどうにかしようと思うが、その前に目の前に3人が立っていた



「さぁ、始めるわよイツキ君」


「えぇ、分かっていますよヤスラ先生」



ティアとアイリも普通の顔に戻っており、セイウェンとヨミもなにか言っている。

けどそれぞれこの戦いに色々な思いを乗せている事は確かだ



「ーー勝った方が」


「ーーイツキ君との」


「ーー1日デート券」


「お、お嬢様!?」



俺とヤスラ先生は他の事でも揉めているみたいだ

それでも俺は、ティアとアイリを引っ張って3人だけにする。その時にやっと2人共正気に戻り、試合をする目に変わった。

さっき1度戻っていたのに、なんでまた変な雰囲気になったのかは知らん。



「行くぞ? 2人共」


「分かってるわよ!!」


「ボクも精一杯やるよ」



3人で拳を合わせると1-1-1の形を取る。



「じゃあ始めるわよ? 第二回模擬戦、スタート!!」





次回はまたもや戦闘です

そしてここから戦闘シーンが多くなっていきます

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