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紅の術者  作者: 結城光
第1章・1節 学園編
28/66

第25話 デート? いえ、デッドです

「さてっ、それじゃあ行こうか?」


「最初は買い物からよ?」


「はいはい、分かった分かった」



イオリ先輩達が去っていっても俺達の目的はまだ達せられていない。ってか俺はもう帰りたいのにコイツラが納得してくれない。ホント今日は疲れる



『メールなのです。わふー』



さっさと出ようとしたら俺の携帯がクドった。もちろんこの世界に泣きゲーで有名な某鍵の会社なんてあるわけ無いから俺が創造しといた。他にも色々創造して、データーとして携帯にぶち込んだらかなりカオスな事になっていたけど知らん。

どうせ俺のケータイだ、誰に見られる訳でもないし

っと、メール見なきゃ



「げっ……」


「ん? 誰からのメール。ちょっと見せてよ」


「おい、アイリ」


「私も気になります。イツキにメールするなんて、スパム以外に考えられませんから」



俺は握っていたケータイを、アイリとヨミに強引に取られる。メールなんか見られるなんて思ってないからロックもかけておらず、普通に見れちゃうぞ。ってか俺にメールをしてくる人なんて……?

セイウェンとティアも遠慮しつつも覗き込んでるし……



「……あの女」


「……ボク以上に積極的になってるし」


「……私の剣の錆にしてやる」


「……つまりません。イツキにこんな事が起こるなんて」



とりあえず自分のケータイを奪い取ってメールを見直す。誰から送ってきたのかしか見てないから、内容は知らないけどなんかまずいものでもあったのか?








●紅の術者

第25話 デート? いえ、デッドです












やっほーイツ君元気ですよね。お姉さんはイツ君と別れてちょっと悲しいです。だからメールしました。いっつもイツ君が私の事を見てくれるように、画像を添付しておきます。私の勘だと、このメールはイツ君の周りの4人も見ているかもしれないから普通の画像を


もしイツ君のお年頃的にえっちな画像が欲しい時は、1人で居る時にメールしてね。いつでもお姉さんはイツ君のために脱いじゃうからね?

じゃあまた学校で


アナタのお姉さん セシリア』




うん、色々問題すぎる。添付されているのはおそらく自分で撮ったであろう自分の写真。すごい可愛いけ

セシリア先輩マジで自重して欲しい。俺的に2年の生徒会メンバーでやばい人ランキング2位にランクインしてるし。

ちなみにこのランキングは

イオリ先輩>セシリア先輩>シェイル先輩>アゼル先輩  の順になっている。シェイル先輩も要注意だから実質安心できる先輩はアゼル先輩だけだ。



「セシリア先輩には困るわ、マジで」


「とか言って、画像を保存しているイツキが居る」



いや、だってセシリア先輩のこんな笑顔を残しておかない手はないだろ? 待ち受けにはしないけど、とっておくのは俺の個人的な趣味だ。



「イツキ!! 今度私の寝巻き姿の写真あげるからっ!!」


「ボクはお風呂から出てきた写真を!!」


「わ、私はその……下着姿を……」



コイツラは何を言ってるわけ? 俺は困っていると言ったはずだが?

1度セシリア先輩を含めて話し合わなければならないのか。でも、セシリア先輩がちゃんと話を聞いてくれるわけないしな……



「バカなこと言ってないで行くぞ?」


「あっ、ちょっと待ってよイツキ」


「イツキのいけずぅ~」


「なぜだ!? 私は他の2人より、その……胸が大きいはずなのに。はっ!! イツキ君は稀に聞く貧乳派なのか!?」


「オイ……」


「イツキは貧乳派……これはいい事を聞きました」


「言ってねぇから!!」


「なるほど、巨乳はデスか? それとも虚乳派?」


「どっちでもねぇよ!! いちいち胸の話をすんなっ!!」



うん、今は胸の話をすべきではない。いろんな意味でね。

なんかティアとアイリが少し涙目になってるし、おっぱい戦争はココで開戦してはいけないのだよ。



「あっ、お嬢様下着などを買っていかれたほうがよろしいのでは? このところサイズの方を気になされてるみたいですし」


「ちょっ、私が太ったみたいな言い方しないでよ!? イ、イツキ。別に私は太ってなんか居ないからね!?」


「ボクもちょっと買いに行こうかな。……イツキを誘惑するため」


「ふむ。ならば私も行こう。……あのセシリア先輩にイツキ君を取られるわけにはいかないからな」



ティアは赤面しながら俺をチラチラ見てくるし、アイリとセイウェンは妙な炎を目に宿しているし。意味が分からん。別に俺はティアが太ったなんて思っていないし、アイリとセイウェンが何に対して対抗しようとしてるのかは不明。こいつら最近妙に変だ



「俺は外で待ってるから、お前らで買って来い」


「イツキも来る。そして選べ」


「ばっ、お前ヤメロ。俺はここに入るわけには」


「なんでイヤなの? ボクの下着を選んでよぉ~」


「わ、私の下着も選んでくれ。あまりそっちの知識は疎いのでな」


「私のも選びなさいよねっ!! ボディーガードならその位するわよね?」


「えっ、お前ら下着の店には男なんか、ちょっとまってそれ以上引っ張るな」



4対1は卑怯だと思う。俺の抵抗もむなしく結局下着の店に引きずり込まれる事になっているんだから。

もうね、お店の中にいる人の視線が痛いのよ。

男がなんでこの店に入ってきているの? 早く帰れよ

まさか、女装の趣味がある子じゃないでしょうね?

やだ、あの子ちょっとイケてない?


ん? 最後のはなんだよ?


とにかく俺は転送、転送


『パチンッ』



「あれっ? イツキは?」


「今までちゃんと握っていたのにどこ行っちゃたんだろう?」


「私が着いていても、イツキ君はダメだなぁ」


「チッ、折角これから楽しい事が起こると思ってたのに」



4人はイツキが消えた事をそれほど気にかけずに自分達の買い物を楽しんでいた。イツキが普通の人間じゃないし、自分達が少し目を離してしまった隙に出て行ったのだろうと思っている。

本当は転送魔法を使って逃げたのだが





一方イツキは




「アブねー、危うく死ぬところだった。社会的な意味で……」



行き先も決めずとりあえず転送魔法を使った事により、俺はどうにか下着の店からの脱出に成功したようだ。あのまま居れば本当に社会的に死んでいた。



「さてっ、ここはどこだ?」



見渡す限り、さっきの商店街の方ではない。なんていうか……路地裏?

すごく暗いし、臭いしさっさと退散した方がよさそうだな。今日は本当にろくな事が無いからな


ーガシッー



ワーオ、後ろから肩をつかまれた。死亡フラグが復活してますね。こっちはケガ人なんですよ、一応。




「おい、坊主。金だけ出して出て行け。ここはお前の居るような所じゃねぇ」


「出来れば金も持ってきたいんですけど?」


「それは無理だっ!!」



いきなり後ろから殴られそうになったので俺はその手避け、反動でよろけている男を突き飛ばした。



「へっ、偉そうな事を言ってる割にショボイな」


「なかなかやるようだな。だったら数で圧倒させてもらう」



男が何かの合図をすると、裏路地にいた奴らがぞろぞろと集まってきた。そのかずは20人を超えている。さすがに1人でこの数を相手にするのはキツイ。それに大事にしておかなきゃいけないから、あまり近距離戦はしたくない。

どうする……?



「イーツキ君」


「ッ!?」



上の方からイオリ先輩の声が聞こえた気がした。だがありえない、先輩は確かに学園の方に帰ったはずだ。それにここは俺が適当に転送した場所。こんな偶然は……



「とりあえず説明は後。どれくらい戦えるかい?」


「極力接近戦は避けたいですけど、この相手なら無詠唱でなんとかいけます」


「ん、Ok。じゃあ俺があわせるから、とりあえず目の前の敵を蹴散らしてくれる? 一瞬で良いから」



何処に居るかわからないイオリ先輩からの指示でとりあえず動く事にする。目の前の敵を蹴散らせって言われても、前と後ろを完全に包囲されているのにどうやって蹴散らすかな。


『風よ』



無詠唱で周りの風を集める。魔力をバカみたいにつぎ込んでいるから、そこらの中級魔法よりも結構な威力を持っているはずだ。

その風をとりあえず前と後ろに投げる。



「グアッ!? なんだこの風は」


「うん、いいね。じゃあ俺もそろそろ……」



そういってイオリ先輩が上から跳んでくる。あっ、ちょうど吹っ飛んでいった1人の上に着地した。

あ~、完全に気を失っているよ。



「イオリ先輩、どうして?」


「話は後。こいつら違法な組織だから全力で潰して構わないよ。一応生きて拘束して欲しいけど」


了解ヤー



イオリ先輩は俺の返事を聞くとすぐさま俺の後ろに走っていった。とりあえず半分やれって事か

無詠唱で雷球を20個程度形成して停滞させておく。



「テメェーーー!!」


「おせぇよ」



俺は男のパンチを避け、雷球を2つほどぶつけてしびれさせる。そしてとりあえず拘束魔法をっと



「まだやるか? なんならここでお前達の首と胴体をサヨウナラさせてもいいんだぜ?」


「行け、お前達。この狭い路地裏では、奴も自由に行動できんっ!!」



さっき俺から金を取ろうとしたやつが大きな声で命令していた。うん、こいつウゼェ。俺のうっぷんを晴らすにはいい材料だ。

俺はとりあえず停滞させていた雷球を適当にぶっぱなす



「アギャ!!」


「グワァ!!」


「ビビビッ!!」



なんか前に立っていた奴3人が盾になって雷球を防いでるし。うん、今日はビリビリ中学生になろう。実質高校生だけどな、俺。



ービリビリビリッー



俺の体を勝手に電気が纏わりつく。魔力を使わせてるから、いつまでも放電しているし消えない。

そこの電気を手に少し集め、放つ。



「グハッ!!」



1人倒した。あと5人



俺はポケットにあったコインを4枚上空に投げ、魔力を一気に放出する。俺の周りに纏わりついていた電気はもはやビリビリの領域を超えて、バチバチいっているけど気にしない。だって俺今うっぷん晴らしている最中ですもん。



超電磁砲レールガン×4!!」



俺は上から落ちてくるコインに電気を注ぎ込みながら目の前の敵に放つ。今回はヤスラ先生の時とは違う。殺さない程度ではあるが、ホンキで狙い打つ。どうせ相手は障壁を展開するだろうし、しなくても死なないから大丈夫。大火傷はするだろうけど……



ードコーンッー



やってやったZE☆

とっさに障壁を張ったみたいだけど、質量が軽くそれを上回って雷を喰らいながら軽く10メートルくらい吹っ飛んでいった。残るは俺から金を取ろうとした男1人。

悪いけど、こいつにだけはちょっとホンキでやらせてもらう。



「ひっ……た、助けてくれ」


「命は取らない。ただ数週間は歩けないくらいだろうなぁ」



魔力を一点に集める事でその形を形成していく。詠唱抜きでやると、いつも以上にイメージが大変になってくる。

一点に集まる雷。そこから生まれる矢。



『雷撃槍』



俺の手に雷撃の槍が生まれる。放電すらしているが、ほとんど魔力を流していなくてもいつも通りの大きさだ。

俺はそれを手に停滞させたまま縮地を行い、男に接近する。

もちろん相手は俺達みたいな規格外と相手をしたことが無いようで、気付かない。だって部下の奴らが雷球でくたばるような奴なんだぞ? どうせ違法取引かなんかしているだけだろ。



「じゃあ消えてもらうわ」


「ッ!? いつの間 アガッ!!」



雷撃槍を思い切り相手に投げつけ意識を刈り取る。体に突き刺さっている槍を消してやると、男は泡を吹きながら白目をむいていた




「やっぱり期待通りかな。イツキ君」



振り向くと10人がキッチリ拘束魔法で捕まっていた。なにより魔法を使った形跡がないから、おそらく素手で10人を倒したんだろう。

魔法を使った時は、少なからず魔力の残留みたいなものが残る。俺は創造能力でそれが見えるようにしているけど、専用の魔法を使えば一瞬で分かるらしい。


イオリ先輩は俺が居るから魔法をあえて使わなかったのか? 魔力もかなり押さえ込んでいるみたいだしこの人はホント何を考えているかわからん



「どういう事か説明してもらいますよ? イオリ先輩」


「とりあえず場所を変えよう。他のみんなとも合流したい」



俺は静かにうなづき、イオリ先輩の下についていく。ってかジャンプして周りを見渡したら、さっき居たところからかなり遠くなっている。これから転送魔法を使う時は場所指定しないとやべぇな


てな事を考えていると、さっきの下着の店の近くにあった噴水広場の所にティア達とセシリア先輩達が集まっていた



「ああ、彼女達はシェイルに頼んで呼んで来たんだ。彼女達もイツキ君の心配していただろうし」



ウソだ。俺の事なんか忘れて買い物に必死だったのが目に見えてるし。ってか俺のカード渡しておいたからいくら使われているか分からねぇ。金が無かったら色々困るんだけど?



「で、なんでイオリ先輩はあんな所に居たんですか?」


「クエストの為さ」


「クエスト?」


「そう。君達に会いに行くついでに、違法取引をしている奴らを捕まえるものでね。3人には別の場所を張ってもらっていたんだけど、俺が行った所に偶然イツキ君が居るんだもん。ビックリしたよ」



下着の店から逃げ出したなんて言えねぇ……

言ったらセシリア先輩の攻撃が待っている



「もうっ、イツ君心配したんだよ? お姉さん達の捕まえる人たちが、イツ君を囲んでいるって聞いたときはそいつ等を倒しに行こうと思ったくらいだったのに!!」


「セシリアを止めるのは大変だった。これからそういう行動は控えてくれ、イツキ」


「すいません……」


「まぁ、みんな無事だったんだしいいじゃないか。さ、みんなで一緒に帰ろう。今日はもう日もくれてきたしね」


「えっ、私はまだイツキと行きたい所が」



ティア、それ以上言わないで欲しい。絶対この人たち付いてくるから。



「ダメだ、今日はもうすぐ日が暮れる。さっきの二の舞になったら危険だ」


「はいっ……」



ティアが落ち込んでしまっているのはかわいそうだけど、本当にもう遅い。今から帰って、夕食の時間に間に合うかどうかという時間なのだ。これ以上遅くなったら飯が食えん



「今度また付き合ってやるから今日は帰ろうぜ?」



ティアの荷物を横から奪い取る形で取りながら話しかける。夕食抜きは本当にキツイ。

創造で作ってもいいけど、やっぱりちゃんと作ってもらったほうが100倍うまい



「じゃ、じゃあ今度は2人きりで……//」



赤くなって下を向きながら何か言っているティア。

悪いけど何言ってるか聞こえない



「ん? なんか言ったか?」


「もうっ、バカッ!!」



いきなりティアが怒り始めたぞ。こいつはツンツン病にかかっているに違いない。俺に対しての態度がツンツンしすぎだ


結局ティアが機嫌を直したのは、俺が近くの店で買っておいたアクセサリーを渡した時だった。

次回は予告していた通り紅らじおを放送します。

読者参加型ではなく、キャラクターの雑談会に変えますけど。

とりあえず楽しみにしておいてください

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