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紅の術者  作者: 結城光
第1章・1節 学園編
23/66

第20話 恐怖の旧館探索!? 7

旧館探索編終了です!!



俺は笑いながら悪魔を見つめる。さっきまでとは違い悪魔はかなり焦った表情を隠しきれずにいた。俺的にはここからは俺ターンとか言いたいけどそういう雰囲気では無いし、普通にティアを傷つけようとした事は絶対に許せねぇ

前の奴は倒しきれなかったのか知らないけど封印って手段を取ったみたいだけど俺は違う。絶対に消してやる



「いくら闇を吸収したところで本物の闇には勝てまい!!」


「てめぇはいつから本物の闇になった? 自分の未熟さを自分で知れっ!!」



ティアは何も言わずにすぐさま安全な場所まで行く。本当であれば自分も一緒になって戦うのがいいのだが、今の自分が加わったところで足手まといにしかならないと思ったのだろう。まぁどっちでもいいのだが、いまさら一緒に戦ってくれとは言わない


俺はその事を確認しながら縮地を使い悪魔の懐までもぐりこむ



「グハッ、貴様……」


「どうしたよ悪魔さん? 自分が本当の闇とか言ってなかったけ?」


「お、まえーーーーーーー!!」



突如空気を揺さぶるほどの声を張り上げ、自分の魔力を最大限に放出し始める。何十年も魔力をほとんど使わずに復活を待っていた悪魔はどれだけの魔力を溜め込んでいたのかは分からない。だがただ1つだけ言える。コイツなんかには絶対負けない



「貴様はワシに傷を負わせ、そして屈辱的なことまでした!! 貴様を生かしておくわけにはいかん!!」


「俺だって同じだ。ティアを殺そうとして攻撃した事、いままでたくさんの人に迷惑をかけてきた事。それら全てを許すわけにはいかねぇ。だからお前をここで消し去る」



交錯する視線。奴の目からは完全に殺気しか感じられない。俺だっておそらくは同じだろう



「「行くぞっ!!」」








●紅の術者

第20話 恐怖の旧館探索!? 7















お互いに間合いを詰めて近距離に持ち込む。それはすなわち魔法を使わない肉弾戦という事になる。俺は換装しているせいで大体の魔法を使う必要が無い、だって闇に意識を集中させれば勝手に魔法が発動できるようになっている。さすが上級属性


対する悪魔は魔力を全て身体強化に使っているのか全く詠唱呪文を使ってこない。接近戦になった時点で呪文詠唱に集中力をさけるほどの余裕は無いって事か



「はっ、調子に乗ったところでその程度なのか? 魔法喰らいエンペルゲレトを使うって言っておったからもう少し強いと思っていたのだが?」


「お前自分がやられた事も気付けねぇのか?」


「はっ? 何を言って……」



そういって悪魔は固まった。体には黒いモノが纏わり付いていた。俺が悪魔を触った時に毎回俺の魔力を少しずつ付けていったのだ。もちろん今の俺は闇の魔法を喰らった状態だから放出されている魔力もやみ属性を兼ね備えている。そんな魔力が俺以外の誰かに纏わり付いたらどうなるか? 答えは簡単だ、闇が相手の体を侵食していく



「俺はわざと攻撃を緩めたんだぜ? それさえも見破れないようなお前は三流の悪魔だよ」


「くっ、ワシは闇の魔法しか使わない闇に飲み込まれた存在のはずだ。なのになぜ……なぜだぁ!?」


「答えは簡単だろ? てめぇは本物じゃなくって三下の偽者って事だよっ!!」



俺はさっきとは比べ物にならない勢いで殴りかかる。前にも言ったが俺は色んなことに絡まれる事が多くって(ry

だから自分で言うのもあれだが結構強い。だから本当の意味での達人と戦わない限りは何とかなるだろう

そして身体能力を強化されている俺は向こうの世界アッチでの俺よりももっと強くなっている

理不尽なほどの攻撃を繰り返し、身体的ダメージを何度も何度も与えていく

そして一端殴るのをやめると、悪魔はほとんど闇に飲み込まれていた。俺は少しだけ距離を取るとティアの方を向き



「ティア!!」


「OK!!」



大きな声でティアの方に叫ぶと、待っていたといわんばかりにティアが杖を突き出し詠唱をする



『業火よ それは汝を焼くためだけの悲しき炎 さあ今こそ消え行かん 悲壮火炎』



ティアが放った炎は確実に目標に向かって飛んでいく

悪魔ではなく俺に向かって



「ふんっ、最後の最後でミスをしたな? 俺は確かにココで終わるかもしれない、しかし貴様も一緒だ!!」


「てめぇはやっぱりダメだな」


「な、なにがだ!?」


「わざわざ今まで攻撃してなかったティアに今だけ魔法発動を頼んだのは何でだと思う?」



徐々に近づいてくる炎。俺はそれを迎え撃つかのように魔力を自分の右手に魔力を収縮していく。そこに吸い込まれるように炎が来るが俺の右手の前で止まった。単純に魔法喰らいエンペルゲレトの応用で、相手の魔法を固定、停滞させている所までは一緒で吸収をしないだけだ



「獄炎崩山っ!!」



俺は再び縮地を使う。次は右手に炎を停滞させておいて魔力も物凄い勢いで集まっている

そのまま俺はスピードを殺さずに思いっきり殴り飛ばす。停滞させていた炎も開放して炎と闇の魔力を纏ったパンチを腹に思いっきり叩き込む。悪魔は防御も何も出来ない状態で吹っ飛んでいく。そして壁にぶつかると口から血のような黒い液体を大量に吐き、体に纏っていた魔力が一気にそぎ落とされた




「チェックメイト」


「どうやらワシの……負け、みたいだな」



体からの出血量や闇の侵食率から考えて奴が生き返るのはもはや不可能だといえる。もちろん俺は最初からそれを狙っていたし、奴も覚悟をしていたはずだ。



「残念だったな。何十年もの間復活の時を待っていて、俺の魔力を媒体として完全復活しようとしていたのに、逆に殺されて復活できなくなっちまうなんてな」


「ふっ、未練は無い。だから貴様に言いたい事がある。お前の使っている魔法喰らいエンペルゲレトは本当は人間が扱うよな魔法じゃない。魔族での古い技で同じような魔法があるのだよ、禁術だがな」


「だったらなんだって言うんだ?」


「そうか、だったら好きにしろ。貴様の人生だ」



確かにこの魔法はかなりなチート技。でも俺には創造能力があるからもっとヤバイんですけどね

でも確かに俺がこの技を使い続ける事で、何かしらの副作用が無いとは言い切れない。だってこの技は魔法を吸収して肉体にその魔法の能力を付与する。それは肉体や精神を喰らわせて狂人の如く力を得る


それが確か俺がこの技を作るときに参考にした闇の魔法の条件だった。つまりは創造した能力の元が闇の魔法だから精密に復元されているはずだ。いや、もしそこだけ精密ではなかったとしてもヤスラ先生の言ったとおりだとしたらいつか俺は魔法に喰われる。



「この能力を使い続けて死んじまったらそれまでだ。別に後悔なんぞしねぇよ」


「強く生きろよ。しかし、考えろ。なぜワシがこのタイミングで復活しようとしたのかを」


「ッ!? 単純に俺達が来て、俺達の魔力が高いから復活できると思ったのじゃないのか!?」


「なにを言っている? 貴様等はワシが復活しようとして起こした前兆によって違う人間に頼まれたのだろう?」



このタイミングで復活する事。そして俺の魔法の属性、すなわち虚神属性がこの世界に現れる事の意味。そして俺がこの世界に召喚される時に神様が残していった言葉

その全てが関係しているのか?



「どういう事だ、教えてくれっ!!」


「教えたいのは山々だが……時間みたいだ」


「時間!? まさか!!」



そういうと悪魔の体が徐々に崩れていく。闇に侵食されておそらく体の形も保てなくなったのだろう。



「よく考えろ、そして備えろよ。お前等の考えているほどその事は甘く、ない……」



そういうと一瞬で悪魔が消滅する。



ーバタンー



丁度扉が開いてセイウェン、ヨミ、アイリが入ってくる。



「「イツキッ!!」」


「お嬢様!!」



俺はその声を聞いて換装を解く。



「うぐっ……」


「イツキ!?」



換装を解いた瞬間物凄い激痛が体を襲う。腹の傷もある程度は魔法でカバーしていたものの、やはり換装を解いた後はかなり血の量が増えた。それに全く気にしてはいなかったけど、どうやらアバラ骨が折れてるみたいだ。それなのに攻撃とかを普通に受けていたから物凄く痛い



「見せてみろ!!」



そういってセイウェンが急いで走ってくる。俺は意識こそしっかりとしているが、痛みで今にも意識が飛びそうだ

セイウェンは俺の体に何かしらの魔法をかけておそらく俺の怪我の具合を見ているのだろう



「色々な所にダメージは負っているな。ひどいのはわき腹の傷と骨折しているアバラ骨だな。一応簡易的な治癒魔法はしておくが帰ったら絶対にしっかりとした物に治癒魔法を掛けてもらえ」


「わりぃな……」



無詠唱で治癒魔法をかけてくれるセイウェン。確かに少し体が軽くなったのが分かるし、出血もかなり収まった。



「何を言っているんだ。仮にもリーダーなのだからもっとしっかりしてもらわなければ困る。ほらつかまってくれ、外に出るぞ?」


「あ~、セイウェンずるーい。ほらイツキ、私も肩かしてあげるからつかまって」


「ッ!! イ、イツキ!! その……私の肩も貸してあげるわよ?」


「ダメです、お嬢様!! そのような奴に肩を貸すなど持っての他です」



シリアスなムードが一転してるよ……てかヨミ、これだけ怪我してんだから少しはいたわれよ。



「セイウェン、アイリ肩貸してくれ。少し疲れたわ」


「もちろんだ」


「OKだよん♪」


「私だって貸すって言ってるのに……」



ティアには悪いけどセイウェンとアイリの肩を使わせてもらう。だってヨミがホント怖いんだもん。俺がボロボロだっていうのに普通に攻撃してきそうだし、ティアに肩を貸してくれなんていってみろ? 絶対短剣が飛んでくるね、それも急所に当てに来るし

俺は死にたくないのですよ



「み~ん~な~!!」


「「「「「ヤスラ先生!?」」」」」



俺達が出口へと行こうとしたら、目の前からヤスラ先生が走ってきた。もちろん1人でだ




「どうしたんですか先生?」


「セイウェンちゃんから連絡があって急いで来たのよ」


「ああそうだった。イツキの念話が終わった後に一応保険をかけて連絡しておいたのだよ」


「ってかイツキ君!? どうしたのその怪我。ここの屋敷を探索していただけじゃないの?」


「そ、それはですね……」



その後のことは察してくれ。俺がボロボロになった理由やら、このクエストが普通の旧館探索では無かった事やら色々説明させられた

その後、セイウェン達が倒したと言っていた男の所に言ってみたけど鎖だけ残されていた



「これは依頼人にものすごく報酬を貰わないといけないわね」


「何でです?」


「何十年前に封印された悪魔を倒したんでしょ? こんなのがクエストランクB? バカな事言ってんじゃないわよ!! ここまでイツキ君がボロボロになるって事は相当な相手だったのでしょ? それにこのいわくが本当だったって事は魔族の中でもかなり上位の者。そんな奴が出てくるようなクエストは最低でもA、もしかしたらSランククエストに行くかもしれないのよ!?」


「じゃあいっぱいお金もらえるんですか!!」


「そこは色々あると思うからギルドに任せてもらうわ。そんな訳でさっさと帰りましょ? イツキ君の状態が悪くなったら大変だしね」



確かにさっさと帰ったほうがいい。時間こそ少しだったかも知れないが、俺達が負ったダメージはかなり大きい。精神的にも、肉体的にも



「帰るぞ? 学園に」


「「「「了解ヤー」」」」



これが俺達『紅』の初めての任務だった





とりあえず戦闘は少しお休みになるかな?

学園でのほのぼのしたのを書きたいんで

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