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紅の術者  作者: 結城光
第1章・1節 学園編
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第18話 恐怖の旧館探索!? 5




side:イツキ





「てめぇの復活の為に死ね? バカ言ってんじゃねぇよ」


「お前はワシに倒される。それは確定事項なのだ、貴様がいくら強くてもな?」



脳の奥の方でプチッていう音が聞こえた。俺が1番嫌いな奴なんだよコイツ、自分は1番強いとか自分は絶対負けないとか言ってる奴ほどうぜぇ。お前は神様かなんかかよ? 上には上が居るって事を知らないのか?



「ビビッて損した。てめぇは俺達で十分だ、セイウェン達が来る必要もねぇな」


「そうね、私こういうタイプ大嫌いなのよ。だから今かなり頭に血が上ってるのよね」


「奇遇だな、俺もなんだよ。とりあえずさ……消えろっ!!」



俺達は合図も無しに同時に飛び出す。もちろん途中でティアは踏みとどまりサポートに徹しているが、俺は距離を詰めていく。瞬時ガンドロフから日本刀のようなイメージを送り、それに近いものを展開してもらう。

銃剣の銃でもよかったのだが、今は後ろにティアがいる。銃は近距離でも遠距離でも対応できるが、それゆえにどちらも極める事は出来ない。中途半端な攻撃しか出来ないのだ。その点剣は扱いやすいし、木刀とかで練習した事もあるから大丈夫だろう。




「若さ故に……か。いいだろう」



腕が一瞬光り、肌色だったはずの腕が黒く変色してカマのようなものが伸びてきた。鋭く磨かれたそれは人の肉体すらも容易く切ってしまうように刃を光らせていた。



ーカキンー




「太刀筋は悪く無いな」


「だてにこっちもケンカ慣れしてないんでねっ!!」



なんだかんだで厄介ごとに巻き込まれまくった俺は鉄パイプとか使ってくるのも相手にしなくちゃならんかったのよ。それを素手で相手するなんてまず無理。だから剣道部の奴とかから少し剣術習っておいたわけなのよね、素人にならまず負けない程度に



「だが所詮は少しかじった程度。ワシとの比ではないわ」


「確かに俺1人、そして剣術のみでの戦いだったらまず無理だろうな。でもさ、この世界には『魔法』があるよなぁ?」



にやりと笑いながら剣でカマを払いのけ、一瞬だが相手をひるませる。少しよろめいた隙を狙って俺はすぐさま瞬動を行い距離を取る。

そしてその後ろには待ち構えていたかのように、ティアが呪文詠唱を終わらせていた



「縮地とは……久しぶり見たぞ」


「この技縮地って言うのか……ってかいいのか? 目の前から攻撃がくるぜ。ティア!!」


「分かってるっ!!」



杖を真っ直ぐ悪魔に向けると魔方陣が展開される。そこからは大量の炎が放出され一直線に悪魔にぶつかっていく。俺の角度からだと当たったかどうかはしっかりとは確認できなかったけれど、炎はぶつかって四方八方に飛び散っているからおそらく当たっただろう。直撃かどうかはわかんないけど




「一応当たったみたいだけど……」


「気を付けろ」



炎が消えていく……

そこには悪魔の姿がーー



無かった











●紅の術者

第18話 恐怖の旧館探索!? 5











「ッ!? 何処に行きやがった!!」


「待って、エリアスキャンをかけるから」


「いや、その必要は無い。だてに魔族の上位じゃねぇんだろ? お前がエリアスキャンなんかした所で、簡単に見つかるような事はないだろ。そんな事よりも俺の後ろでそっちを見といてくれ」



エリアスキャンは補助魔法の中でもかなり初歩的な魔法でおそらく奴には効かないだろう。エリアスキャンよりも高度な魔法があるらしいけど、ティアがそれを口にしなかったという事は使えないと言う事だろうし。



俺達は背中を合わせながら辺りを見回す。さっき悪魔が居た所は一点を基点として、辺りの床が焦げている。しかしその一点を基点とした後ろの少しの場所だけは、全く焦げてなどいなかった。まるでそこだけ防がれていたかのように




「無傷、ねぇ……」


「おそらく……あれは障壁のようなので防いだ跡ね。全くダメージは喰らっていないみたいだからイヤになるわ。あれでも私の中では結構上位の魔法だったのよ?」


「それをもろともしないってどれだけ強力な攻撃を与えればいいんだよ!?」


「無駄だ」


「「ッ!!」」



今確かに奴の声が聞こえた。しかしそれはある特定の場所から発せられたものではなく、何かスピーカのようなものが俺達の周りに置いてあるかのように部屋全体から聞こえたのだった。もちろん普通では考えられない。

音が発せられる時には必ず発生源があり、俺達は大体どこから聞こえたかを把握できる。しかし今聞こえたのは間違いなく部屋全体からだ。イス以外に家具など何も無いこの部屋でそのような事は絶対に起こりえないというのに



「ワシの姿が見えんか? 声の響き方は少し特殊な事をしておるので、位置はつかめんようになっとるからのう」


「てめぇ、隠れてないでさっさと出て来い!!」


「出てきてはおるぞ? ただ汝達には『見えていない』だけだがな」



見えていない? 不可視状態にでもしてんのか?

それだったら……



(ティア、不可視状態の敵を見つける魔法は無いか?)


(やってみる)



十分注意しながらティアは詠唱を始める。すぐに詠唱は終わり、辺り一体に白い光が走る。それは部屋の壁に当たると反射して、もう一度ティアの杖に吸い込まれた




「どうだ?」


「ダメ、見つかんない」


「その程度の魔法でワシの不可視状態が解けるとでも? 片腹痛いわ」


「黙れ!!」


「いいぞ、その威勢。しかしそれがいつまで保てるかな?」



その時俺は直感した。奴は何かをやってくるという事を

すぐに俺とティアに障壁を展開する



ーガキン バリンッー




「ぐはっ」



障壁に何かがぶつかった音がして、瞬時にそれが破壊された。いとも簡単に破壊された障壁の魔力は吸い取られそれ自体が消滅し、かわりに俺の体に強烈な痛みが走る。

全く何も見えなかったせいで受身どころか防御も全くする事が出来ず、そのまま数メートル先の壁にふっ飛ばされ壁にめり込む



「イツキッ!!」


「さぁ、ここからが絶望へのショータイムだ!!」









side:セイウェン&アイリ&ヨミ







「君達が愚かにも侵入してきた輩かね?」


「確かにこの館に侵入したかどうかで言えばそうだと言えるだろう。しかし、ここはお前達の住処ではない。即刻立ち去れ!!」


「おやおや、住処とは聞こえが悪いですね」


「黙れっ!! 貴様等のせいで皆がどれだけ迷惑していると思っているのだ!?」


「話し合いの余地は無いですね。アナタを排除させてもらいます」


「イツキ達を早く助けに行くために、ここは退いてもらうよ?」



この部屋に居るものは各々の目的がありここに居る。セイウェン、アイリ、ヨミはもちろん目の前の男を倒しイツキとティアの所に行くため、一方男の方は悪魔しゅじんを守るために。自らの為ではなく

誰かの為に戦うものは普段よりも強くなる。それはこの場においても例外ではなかった



「いいでしょう。では、このコインが地面に着いた時が戦いの始まりです」



そういってポケットからかなり前のと思われるコインを取り出した。もちろん今から接近して攻撃を仕掛けてもいいのだが、それをあえてしなかった。ただ卑怯だと思ったからではない。うかつに近づいて何かの術を使われてしまっては元も子も無い。

3人は息を呑んでその時が来るのを待った




ーピーンー



男の手から弾かれたコインは勢いよく上に飛んで行きあと少しで天上に着きそうなくらいまで上がった。それを3人は静かに見ているが男はコインなどには見向きもせずただ3人を見つめて笑っていたのだった。

天上の近くまで行ったコインは上昇する力を失い、重力の力によって下へと急降下していく。それはセイウェンたちの目の前を通り男の目の前にーー



ーチャリンー




試合開始オープンコンバット



男は静かな口調で戦いの合図を告げる。しかし彼女達はその言葉を聞いてはおらず、地面にコインが付く瞬間には3人がその場を離れたいた。アイリは後方に下がり自分の銃を、ヨミとセイウェンは左右から男を挟み込むような形で近づいていた。

男はその姿を見てうっすらと笑いを浮かべ、手に持っていた杖をゆっくりと振り下ろした




「闇の始まりだよ」


「なにをっ!!」



セイウェンがその言葉に反応して縮地を使い男に瞬間的に接近する。本来ならヨミと挟み撃ちにする予定だったが、セイウェンが突っ込んでしまってせいでヨミが合わせる羽目になってしまったがそれでも連携は取れている。とても1日で出来たチームとは思えないものだった




「はぁっ!!」



後ろに背負っていた大剣を抜刀し男に切りかかる。そのスピードは普通のものを超えていた。普通の剣でも剣を抜く時は少しは無駄が出来てしまう。大剣であればその重さゆえにさらに無駄が出来てしまうのは当たり前のことなのだ。しかし彼女のそれは常人を超えるスピードを持っているのだ

そしてそれは普通なら防げないほどの攻撃だ。『普通』の人ならば



ーガキンー



男はあろうことかその剣を自分が持っていた杖で防いでしまう。か細い木のようなもので作られたそれは人の力でも簡単に折れそうなのに、セイウェンの体重をかけた一太刀を止めて見せたのだ




「なっ!?」


『闇よ 破壊と混沌を此処に 闇の苦渋』



剣を止められているセイウェンの腹の前に手を出し静かに詠唱をする男。その手から出てきたのは小さな黒い球体だった。

その球体はゆっくりとだがセイウェンに近づいていって、彼女の体に触れた瞬間彼女を包み込みながら吹き飛んだ




「セイウェン!! このっ!!」


「バレット展開、右は光弾、左は炎弾」



ヨミが叫びながら短剣を抜くと一瞬で後ろに移動する。アイリは闇に纏わり付かれたセイウェンに光弾を撃ち、ヨミが振るおうとしている剣に炎弾を撃った。



「君達は私に指一本触れる事は出来ないのだよ」



再び杖を握り直し、勢いよく自分の中心として杖を一回転させる



「ヨミッ!! 無詠しょ……」


「ーーッ!! 障壁展か……」



次の言葉を放つ前に杖から出た黒い衝撃はにより3人が壁に叩きつけられる。壁には少しクレーターが出来ており軽く意識が飛びそうになっていた




「君達は出て行ってもらうよ。ここは我が主の家なのでね」



そうつぶやく男はやはり笑っていた



紅 魔法辞典Vol.



闇の苦渋



詳細は不明。対象者の体に纏わりつき、何かをやる


使用者:悪魔の付き人

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