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紅の術者  作者: 結城光
第1章・1節 学園編
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第17話 恐怖の旧館探索!? 4

ヨミの喋り方が安定しない……

もっと淡々としたしゃべり方を考えてるんだけどな



side:ティア&イツキ



「そういえばさ」


「ん?」



永遠と続くような気のする廊下を走っているとティアが突然思いついたように話しかけてくる。

この屋敷の中はおそらく悪魔の魔法で色々とおかしくなっているのが分かったが、いまさら引き返せるわけも無く走ってんだけど。てか俺はともかく、ティアは息切れもせずに走ってんのはすごいと思うよ



「アンタなんで上級魔法をボンボン放っていたのよ?」


「ウ゛っ……」



イヤ確かにみなさんは上級魔法を覚えないといけないんですよね……

えっ、俺? ぶっちゃけ覚えるのが面倒なんで、創造能力使っていますけどなにか? 

詳しく説明するとしたら、俺が詠唱しているのはちゃんとした詠唱じゃない。けれど能力で、俺が思い描いた魔法と1番近い魔法を詠唱できるようにしてあるのさ。いわばほんやくコン〇ャク?

だから心配は無いんだけど……


どう説明しようか?




「だってアンタ昨日の今日であんなに魔法を覚えれるわけはないし……」


「そ、それはだな……」



どうしよ……これ以上レアスキル持ちだのなんだの言われたくもないし、かといってヘタに隠すと怪しまれるしなぁ……



(主よ)


(ッ!? ビックリしたなぁ、おどかすなよガンドロフ)



突然すぎんだよ!! ってかいちいち念話みたいなのをしてくんな。心臓に悪いんだよ



(すまなかった。だが主を助けようと思い致し方が無く……)


(えっ!? なんかあんのか!!)


(うむ。我は一応古代の魔道具のようなものだ。そんな我が魔法の知識を持っていないわけが無いであろう?)


(そうか!! ありがと、ガンドロフ)


(礼には及ばん。だが気をつけるのだぞ主、すでに敵の策略にはまっていると考えたほうがいい)


(リョーカイ)



すでに敵の策略にはまっている……ね。全く魔物が現れないからコッチははずれなのか?

とりあえずこの魔力が放出されている中心を探さないと



「ちょっと人の話し聞いてる?」


「ああ? なんも聞いてなかったけど?」


「平気な顔して聞いてないなんて言う男、初めて見たわ」



しょうがないだろ、ガンドロフと話してたんだから。それにここで「はい、聞いてました」なんていってみろ? 「じゃあ私が何言ったのか、そのまま言いなさいよ」とか言われてそのまま死亡フラグ直行は確実だろうな

俺はそんなのイヤです



「で、なんだよ?」


「だから、どうしてアンタが上級魔法を使えてんの? 試行錯誤しないといくら得意属性の呪文でも、自爆しかねないのよ」


「ああ、それなら大丈夫。ガンドロフが俺に魔法の知識を流し込んでくれてるから」


「そういえばアンタのその指輪古代の魔道具だったわね」


「そゆこと」



なにかブツブツ言いながらも納得したのかそれ以上は追及してこなかった。俺としても、これ以上なにか言われたらボロが出そうだったし




「イツキ、前!!」


「やっとお出ましか……」



俺達の前にはさっきよりは少ないが、魔物達が姿を現していた。俺とティアは双方の顔を見合わせ走るのをやめた



「サポートよろしくっ!!」


「言われなくてもっ!!」











●紅の術者

第17話 恐怖の旧館探索!? 4













side:セイウェン&アイリ&ヨミ






「イツキ君とティア君は逆側に行ったのか」


「そうみたいですね……」


「どうした? 彼と2人だと不安かね?」


「そ、そんな事!!」



3人も同じように、永遠と続くような廊下をひたすらと走っている。3人とも気付いてはいるのだろうが、閃光弾を使って逃げた魔物達が一向に追ってこないのだ。何処かで待ち伏せしているのか、あるいは……

憶測だけで判断してしまうと、この状況下の中では混乱を招いてしまうかもしれない。だから3人はあえて口にはせず、ただひたすら走っているのだ。




「結構暗くなってきたな。アイリ君、光弾は撃てるかね?」


「大丈夫だよん」



そういって腰のホルスターに収めていた自分の銃を引き抜く。銃口は自分達の走っている遥か向こうで、天上に届きそうなくらいの場所に定める。

魔力を集め


ーダン ダン ダンー



3発ほど撃つとかなり先の方までの暗闇を照らす。

彼女の銃の特性である、魔力弾の属性付与。それで光属性までも使う事が出来ているのだ




「やはり同じ道が続いているようだな」


「そのようですね」



ーガキンー



突如セイウェンが自分の後ろに担いでいた剣を壁に振り下ろす。普通なら壁に傷が付くはずなのに全く傷が付かない。それどころか魔力を縫わなかったら刃こぼれしているレベルだ




「アイリ君」


「あいよっと」



ーバンー



鋭石の弾を壁に放つ。もちろん結果は同じだったのだが……



「弾が吸収された?」


「ますます不思議だな。どう思うかね、ヨミ君?」


「魔術的なものを感じますね。多分引き返しても玄関には戻れないでしょう」



黙り込む3人。イツキとティアの2人と別ルートで進んでしまった以上、この魔術の現況であるモノをなんとかしないかぎり合流は難しいだろう。それが同一人物アクマなのか、それとも別なのか……


しかし沈黙を破ったのは意外にもアイリだった



「ねぇ、もしこれが魔法のせいだとすると解除も出来るんじゃない?」


「ッ!? そんな事すれば!!」


「そんな事をすれば間違いなくこれを発動させている術者に気付かれます」



魔法を解くにはその魔法がどんな術式か理解しなくてはならない。適切な魔法で解かなければ、自分の場所を教えてしまうから。



「こういった広域魔法は発動しても私達の位置は正確には把握していないでしょう。でも逆の術式を組んだらこっちの位置が特定されて……」


「大丈夫じゃない? 私達3人でやれば。ヨミちゃんがこの術式を調べて、私とセイウェンがこの術式を解く。もちろんこの屋敷全体を解く事は時間的にも、能力的にもキツイと思うから解く範囲はこの廊下だけ」


「それならやれない事も無いが、リスクも高いぞ?」


「このまま走っても何処に行くか分からない。だからリスクが高くってもこっちを選んだ方がいいんじゃない?」


「うむ……分かった、ヨミ君」


「分かってます『術式解読』」



確かにリスクを冒してでもこの状況を打開できるならその選択をした方がいい。ティアとイツキが居ないのが不安要素だがそれでもやるしかない。

魔物がいつ現れるか分からないし、もしかしたら相手は次の手を打ってきているかもしれない。



「『解読終了』どうやら広範囲に及ぶ原点回帰ポイント・リターンのようなものを展開しているようです」


「分かった。私がその術式に干渉を行い、アイリ君が術式を解く。それでいいね?」


「「了解ヤー」」



『我が名において命ず 偽りの空間をなぎ払わん 空間干渉』



呪文を唱え手を近くの壁に置くと、そこの部分に亀裂が入り始めた。徐々に亀裂が入っていってそのまま行くかのように思われたが、次の瞬間亀裂の入っていた部分が修復を始める。しかし再び亀裂が入り、修復され、亀裂が入り修復され……

やがて修復されない小さな穴が1つ出来た



「今だよ、アイリ君」


「分かってるっ!!」



小さく開いた穴に銃口を向ける



『我が名の下に告ぐ 我の目の前に在る偽りの風景を 我が目前に広がる正しき風景に書き換えん 術式解除』



銃口に魔力が集まり球体が形成される。それを見たセイウェンはすぐさまその場所を離れ、小さな穴に狙いを定めたアイリが撃ちやすいようにする。



ーバンッー



球体が小さな穴にぶつかると、弾けるのではなく壁の中に球体が埋まっていく。そして埋まり終わる時には壁全体に亀裂が入って、その空間が“崩れ去った”

そして残ったのは1つの扉



「罠の可能性もあるけど……」


「今さらだろ?」


「進むしかないですね」



そういって扉のドアノブを勢いよく回した

すると部屋の中には、初老の老人と思われる人が1人だけ立っていた











「君達が愚かにも侵入してきた輩かね?」















side:ティア&イツキ




足元には無数の魔物が横たわっている。もちろん死んではいないけど? だって殺しちまうほど俺も青く魔じゃないし、寝覚めも悪くなっちまうだろ。こっちもギリギリなんだけどな




「ティア、1匹くらいは意識残してあるよな?」


「バカ言わないでよ!! こっちは相手するだけで精一杯だったのよ」



1匹でも残ってたら、拷問でもなんでもして悪魔の居所を吐かせたのに……

てかコイツら倒した事で、結構ティアの魔力を使っちまった。これで悪魔ほんめいを倒せるかはわかんねぇから、あんまり戦いをしたくは無い



「ったく、魔力を消費しちまって収穫ゼロかよ」


「一歩間違えれば収穫されてたのは私達の命だったのよ!? 緊張感持ちなさいよ!!」


「分かってるって」


「ホントかしら?」



ードゴンッー



突然大気が揺さぶられるような感触と共に目の前の空間が崩れ去る。すると今まで混ざり合っていた魔力の渦が消え、目の前から強烈な魔力が感じられるようになった。

それは今まで感じた事のない魔力で、しかも普通の魔力ではない。なんていうか嫌な感じしかしない。




「どうやらこっちが本命のようね」


「みたいだな」



俺達は顔を見合わせ、先ほど言っていた通り念話で3人に伝える。



(セイウェン、アイリ、ヨミ、どうやら本命を見つけたみたいだ。今から瞬間的に魔力を放出するから、それで判断してこっちに来てくれ。)


(悪いなイツキ。こっちも取り込んでいて、そっちに行けそうに無い)


(どういうことだ?)


(今幻影が解けたと思うんだけど、それ私達が解いたのよ)


(そして、それを発動させたと思われる術者の部屋に居る。だから無理)


(無理ってヨミ、アンタ達だけで大丈夫なの!?)


(お嬢様は心配しすぎ。これは私達がやらないとダメ)


(終わったらすぐにそちらに向かう。だから少しの間だけ待ってくれ)


(……分かった)



そういうと俺はあっさり念話を切ってしまう。




「再び変な術を発動されるわけにも行かないしな」


「どうするの? 3人が来るまで待ってる?」


「イヤ、俺達だけで行くぞ」


「はあっ!?」



驚くなら最初から聞くな。しかもコイツ、みんなが来るまでここで待ってるとかいうアホな発想しか持ってなかったのかよ?



「アイツらは術者のほうを潰してくれるんだろ? だったら俺達は悪魔ほんめいを倒さなくって動すんだよ?」


「言ってる事分かってんの? 仮にも悪魔、魔族の中でも上位ランクに位置づけされてるような奴と戦うのよ」



もちろん分かっていませんでしたけど? てか悪魔とか弱点知らないからぶつかってけばなんとかなるんじゃね? ドラキュラみたいに十字架+ニンニク+聖水で倒せますだったらいいけど



「アイツらにはアイツらの仕事がある。だったら俺達にも俺達の仕事があるだろ?」


「だからって分けわかんないような奴に2人だけで……」



ーギィッー



俺達が扉の前で話しているのが分かったのか、突然目の前の扉が開け放たれた。そこから漂ってくるのは嫌な空気。そして威圧されるような魔力

俺達は一瞬たじろいでしまうほどのもので、立っている事すらキツイと思ってしまうほどだった。

ここから逃げなくてはならないと直感が告げている。俺がこんな気分になったのは、まなかが本気で切れた時以来だぞ……



「入るしかないのよね……」


「そうみたいだな」



セイウェン、アイリ、ヨミ。アイツらも同じように戦っている。そこで俺達は立ち止まるわけには行かない……



「イツキ……」


「なんだよ?」


「帰ったらデートしてよねっ!!」


「はぁ!? お前今そんな「今だから!!」えっ?」


「今だから言ってんのよ。言ったでしょ? 私はアンタの事気に入ってるって」



なにが言いたいのかさっぱり分からん。デート? ナニソレクエンノ?

大体コイツは何処までが冗談なのか分かんねぇんだよ。こんな状況でおちょくって楽しいのか?



「だから絶対生きて帰るわよ!!」


「それはもちろんの事だわ。ってか何処までが「行くわよっ!!」おいっ、ちょっと待てって」



俺が静止するのも聞かず、ティアは目の前の部屋に入っていく。顔がかなり赤くなって耳まで真っ赤になってた所からすると、かなり緊張してやがる。なに? 緊張ってか怖くなりすぎて変な事言いだしたの?

でも俺は生きて帰るって約束した。だからその約束を絶対に守る。その気持ちを胸にティアを追い、部屋に入った


部屋の空気は、さっき流れ出したものよりひどく威圧感もすごかった。

その中で俺達の目に最初に飛び込んできたのは、イスに座っているナルシスト的な男だった



「君達が侵入してきた哀れな子供ガキたちか?」


「わりぃけど、俺の心はR-18超えてますが?」


「アンタを倒しに来たのよ!! それ以上でもそれ以下でもない」


「そのような事は最初から分かっておる。だからワシの復活のために『死んでくれ』」



異様な空気と共に男は立ち上がり、口元に笑みを浮かべていた







次回は2サイドのバトルを展開させます。

1話で終わるといいんだけど……

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