第15話 恐怖の旧館探索!? 2
毎日投稿が出来なかった……
くそぅ
「とりあえずクエストの内容でも確認しとくか? 依頼人が来るのはもう少し先みたいだし」
そういってポケットの中に突っ込んであったクエストの紙を広げる。俺達5人で1つのテーブルを使っているので、真ん中に出すと丁度いい。
「旧館探索……」
「別にたいした事ないだろ? ちょっといわくつきだから調べてくれって言うだけで金貨5枚だぜ?」
「確かに破格の条件だが……」
「クエストレベルがBってのが気になるよね?」
ただの旧館探索ならEやFでもいいはずなのだが、なぜかB。闇の国 ブラッシュではこういった不思議な事が起きるのは多いって、さっきの受付の人が言ってたけど。
「まぁここは魔界への入り口と繋がってるしね?」
『念話』
(お~い、ティア)
(ッ!? な、なによ?)
(魔界ってなんだよ?)
魔族やエルフが居るのは知っていたけど、魔界があるなんて聞いてないぞ? どうせ魔族の国だと思うけど、説明は欲しいわな。
(魔族が住んでいるのが魔界、エルフとかが住んでるのが神界なのよ。100年くらい前に国交が出来てからここブラッシュに魔界の、アースラに神界への転送魔方陣があるのよ。)
(他の場所からはいけないのか?)
(今の時点では無理ね)
つまりここを壊されたら終わりってわけか。
「魔族にも色んなのが居ますからね。お金が無くて屋敷に住み着いたかもしれません」
「それだったらいいけど、いわくつきって……」
「考えてもしょうがないだろ?」
カランカラン
●紅の術者
第15話 恐怖の旧館探索!? 2
「こんにちは……で、いいかな?」
結構かっこよさげな男の人が声をかけてくる。おそらくこの人が依頼人なんだろう。見たところ20歳後半か30歳前半くらいで、着ている物もそれなりのもの。
「私の名前は……明かせないんだったな、すまない」
そう、俺が思い描いていたのと違ってこの世界ではクエストを頼む人と受ける人の個人情報は教える事は出来ないのだ。つまり俺達がルビニアの生徒だって言う事以外は教えてはいけない。
何でか知らないけど個人情報を守ってるらしい
「いえ、こちらもチーム名の『紅』以外には明かせないのでお互い様でしょ?」
「うむ、そうなのだが……」
どうやらクエストの発注自体初めてなのだろう。俺達も初めてだから丁度いいけど。
「すみませんが、クエストの詳細を話していただけると嬉しいのですが?」
「おおっと、そうだったね。すまない」
そういって俺達のテーブルに近づいてくる。しかし俺達はこのテーブルを5人で使っていて入るスペースが無い。これから違う席に移るのもおそらく可能なんだろうけど……
「どうぞ、この席をお使い下さい」
依頼主が座れない事をすぐに察知したのか、ヨミがすぐさま席を立ち、依頼主を座らせようとする。この場面だけ見ていれば、ヨミは優秀なメイドだと思うんだけど
「すまないね、ご好意に甘えるとしよう。」
ヨミが空けた席に座る依頼人。ヨミは立つとすぐにティアの後ろに行った。ここはちゃんとメイドとしているようだ
「では、クエストの詳細を教えて欲しいのですが?」
「ええ、分かってますよ」
そういって一枚の紙を俺達の前に置く。そこには大きな文字で『豪邸、大売出し!!』と書いてあった。
そして下のほうにはものすごく小さな文字で『旧館も付きます』と書かれていたのだった。もちろん俺は身体強化してあってこの文字を見れたわけで、普通からすればこの文字は見えないだろう。
「ちょうど1ヶ月前にそこに書かれている家を買ったのだよ。そして旧館も」
「旧館の説明はあったんですか? こんな小さな文字しか書いてないですけど?」
「いや、無かったよ。僕も行ってみたら旧館まで付いていて、正直焦ったよ」
何かを隠している? じゃなかったら旧館も付いてきますって書けばいいだろうに。単純にそんな大きな家は要らないって言われるのを避けているのか? それとも……
「で、具体的には何が起こるんですか?」
「それなんのだが……」
突然言葉を濁らせる。それほど言ってしまうとまずい事があるのか?
もしかして俺達が依頼を断るとか思ってんだろうか?
「ちゃんと詳細を話してくださいよ!!」
「ひっ!?」
突然ティアが怒鳴りだした。そういえばコイツは幽霊とかが怖くってこの依頼を断ろうとか言ってな。早く依頼の内容を聞いて安心したいのか? それにしたって依頼主を怖がらせて……ティアは怖いです
「まぁ依頼内容を聞いても断るつもりはありませんから、教えてください」
「はっ……はい」
少し顔を青くしながら頷く依頼人。どれだけティアが怖い存在かはこの事で分かってもらえただろ?
「実は使用人の何人かが、夜になるとおかしな事が起こるというんです」
「おかしなこと?」
「なんと説明していいやら……変な笑い声が聞こえるとか、物が勝手に動いているとか」
「ポルターガイストみたいだね」
「アイリ、分かるのか?」
「まぁ色々とね……」
こっちの世界にポルターガイストの概念があったとは……こっちの世界は魔法とかがなくて説明が出来ないからそう呼んでいたけど、こっちでは魔法があるだろ?
「魔法ってわけではないですか?」
「確かにその可能性は否定できません。でも、ウチの使用人はほとんど魔法が使えず、使えたとしても初歩的なもので……」
物を動かす魔法はそれなりに魔力も使う。どうなっているかは調べなければいけないな。
「そんな事が起こるなんてありえない!!」
「おい、ティア大丈夫だって。誰かがこっそり住んでいる可能性もあるだろ?」
「でもっ……」
「それが俺達への依頼ですよね?」
「ええ」
俺達のやり取りを見て少し顔がこわばりながらも頷く依頼人。どう考えてもドンパチやらないといけないムードだな、オイ。
「じゃあ行きましょうか? その旧館とやらに」
「へっ? ああご案内します」
そういって地面に何かの紙を置く。そこには何か複雑な魔法陣が描かれていた。
「これは?」
「転移魔方陣だよ。一応お金持ちなんでね」
ティアが電車に使ったやつよりは小さいけど、転移魔方陣を持っているのはすごい事なんだろう。転移魔法自体を発動するのは、上級魔法レベルらしいし
俺達はさっさと紙の近くによって行く
「じゃあ行くよ? 転送」
その言葉を認証したのか、魔方陣は俺達の作った円に魔方陣をつくり俺達を飲み込んだ。ってかここの金払ってないけどいいのか……
~依頼主の豪邸~
「さてっと、ここが我が家だ」
「大きい……」
ティアの家よりは小さいけど、それでも普通の家に比べれば大きい家だ。何から何までしっかりしていて、確かにお金持ちだ。
『お帰りなさいませ、ご主人様』
「わおっ」
「本当にこういうのがあるのだね」
2人はずらっと並んだメイドや執事を見て興奮している。もちろん俺達は興奮していないが。
ティアの家に居たのは1日だったけど、もっとすごい人数が居たから全く驚かない。なれって怖いですわ
「とりあえずご飯でも食べてくれ、旧館探索は夜からだろうし」
「夜? なんで今からじゃないんですか?」
「あぁ、使用人たちが言うには夜にしかおかしな事は起こらないそうだ。だから悪いけど夜に探索してもらって、万が一の時は……」
「分かりました」
「そう言ってもらえると助かるよ」
「いえ、コレもクエストですし」
ティアがぶるぶる震えているのは見なかった事にしよう。てか夜にしか行動しないって、ドンだけベタな幽霊だよ!?
「さ、もう食事の準備は出来ている。沢山食べていってくれ」
「うわぁーーー」
「やべぇ、俺は夢を見ているのか……?」
「私もこんな料理は見た事が無いぞ!?」
「上手。後でコックの人にレシピを聞かないと」
「なんで夜!? なんで幽霊!? なんで私がやらないといけないの!?」
1人を除いてみんな出された料理に驚いている。ティアの家で出された食事もすごかったが、こっちはそれを超えている。なんていうか量とか、質とか……
俺達は急いで席に着き
「「「「いっただきまーーーす」」」」
「はぁっ……いただきます」
「ああ、たくさん食べてくれ」
むさぼるように食べ始めた。
「うまっ、アイリこれなんていうんだ?」
「ふあっ? こんな料理出された事ないからボクも知らないよ」
「鶏肉だろう。しかし本当においしいな」
「隠し味は……ッ!? こんなものまで使っている!?」
「なんでみんな普通に食べていられるの!? もしかしたら……」
「うめぇ」
「最高!!」
「申し分ないな」
「私の話を聞けぇーーーーー!!」
その後ティアの怒りを納めるのに小一時間かかったのは言うまでもない……
次回からは、いよいよ旧館探索ですww