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『溺れる者はプレスマンをもつかむ』

作者: 成城速記部

 ある男が、狐が出るという野原道で、やい狐、いるなら俺を化かしてみろ、と言って、狐を挑発したところ、どうしても自分の家に帰れなくなった。なるほど、これが狐の仕業かと思って、持っていた油揚げを放り投げると、目の前に家があった。何だ、狐はこんな化かし方しかできないのか、と言って、狐をさらに挑発すると、目の間に大きな川があらわれて、進めなくなってしまった。男は、家の前にこのような川があるはずがないと思って、ぐんぐんと進んで見たが、流れが速く、溺れそうになったので、わらをもつかむのごとく、手に触れたものをつかんだところで、女房が、どうして家の前で変な踊りを踊っているのかと尋ねる声が聞こえ、見渡すと、男は、自分の家の前でプレスマンを握ってじたばたしていた。



教訓:わざわざ挑発して化かされていては世話がない。

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