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第4話:現実に揺れる願い

ドーラです。

能力の形を決めるって難しいですね。

律は目を覚ますと、自室の天井が目に入った。灯霧の庭での出来事が夢だったのか現実だったのか、曖昧な感覚が胸に残っていた。


朝の光がカーテン越しに差し込み、家族の声が階下から聞こえてくる。


「律、朝ごはんできたよー!」


母の声に律は返事をしながら、ゆっくりとベッドから起き上がった。食卓には父と妹が座っていて、いつもの日常がそこにあった。


「おはよう、律。今日は友達と出かけるんでしょ?」


妹の言葉に律は頷きながら、澪のことを思い出す。


「……うん。ちょっと、澪の家の近くまで行ってみようと思って」


その日、律は友人の翔太と美咲と合流し、駅前のカフェで待ち合わせをした。


「律、最近元気ないよな。何かあった?」


「……うん、ちょっと考え事してて」


「また澪のこと?」と美咲がそっと尋ねる。


律は頷きながら、

「事故の時からいろんな記憶が曖昧なところがあって・・・普段の生活は何とかなってきたけど小さいころの記憶とかみんなと遊んだ思い出とか、澪とのこととか・・・

そういえば、澪が僕の誕生日に手作りの押し花でしおりをくれたことがあって。 本の中に挟んであったんだけど、そこに『律の願いが叶いますように』って書いてあって……」


「それ、澪らしいね」と翔太が微笑む。


「でも、そのしおり……今どこにあるか、思い出せないんだ。 澪の声も、笑顔も、少しずつ霞んでいく。 それが、怖い。僕の中から澪が消えていくみたいで……怖いんだ」


律はポケットから古い写真を取り出す。そこには澪が写っている。


「この笑顔が、どんな気持ちだったのか……僕は、もう思い出せない」


「忘れたくないのに、忘れてしまう。 それが、こんなにも痛いなんて……知らなかった」


翔太が少し笑いながら言った。


「律、あの時のしおりって、澪が“折り紙で作った”やつじゃなかったか? お前、“押し花”って言ってたけど、俺が見た時は折り紙だったぞ」


律は驚いて目を見開く。


「……え? そうだったっけ?」


美咲が頷く。


「うん、私も覚えてる。澪、折り紙で星の形を作ってたな。 『願いが叶うように』って言ってた」


律はしばらく黙っていたが、やがて苦笑した。


「……そっか。僕の記憶、もう混ざってるんだな」


翔太が肩を叩く。


「まあ、そういうのもあるさ。大事なのは、澪が願ってたってことだろ?」


律は頷いた。何か覚悟を決めたような顔で


「この後なんだけど、ちょっと寄りたいんだけどいい?」


カフェを後にした一行は。澪の家の前に立っていた。


「澪……君の記憶、僕は、必ず探し出すから」


「・・・」翔太と美咲は何も言わず律の決意の言葉を受け止めていた。


その夜、律は再び灯霧の庭へと導かれる。


霧の中に立つユウとあいが話している姿が見えた。


「ユウさん……お願いがあります。僕に“灯心術”を教えていただけませんか」


ユウは少し驚いたように目を細め、律を見つめる。


「……あいからも聞いたがこれは簡単なものじゃない。この庭に来るくらいだから願いや覚悟はあるんだろうが、“灯心術”は記憶の奥に踏み込む力、時に、自分自身を見失うこともあって危険な力なんだ」


ユウの睨みに近い目線に律は強く頷いた。


「それでも、僕は澪の記憶に触れたい。願いを形にしたいんです」


ユウは静かに笑い、霧の奥を指差した。


「まずは律くん。君の心の形を見せてもらう。灯霧の揺らぎの中で、自分を保てるかどうか……それができなきゃ話にならない」


律はその言葉に力強く頷き、霧の中へと足を踏み出した。


霧の奥に進むと、あいがそっと律の隣に並んだ。


「……律。澪との記憶で、特に残ってる思い出ってある?」


律は少し考えてから答えた。


「…誕生日にもらった手作りの”折り紙のしおり”かな…星の折り紙。澪がよく折ってた。忘れそうになっていたけどもう忘れない。星は『願いを包む形だから』って言ってた」


ユウが頷きながら言った。


「形にするってのは、灯心術の基本だ。願いは曖昧なままじゃ灯霧に届かない。 君の記憶が“星”の形をしているなら、それを力の核にするのがいい」


あいが微笑みながら、律の手を見つめる。


「……澪の折り方、覚えてる? 指先の動きとか、角の整え方とか」


律は頷いた。


「うん。澪が教えてくれた。『丁寧に折らないと願いがこぼれちゃう』って」


ユウは立ち止まり、両手を前に出すと急に霧が現れ、折り紙のような紙が数枚浮いていた。


「よろしい。では、君の願いを“折り紙”に込めてみよう。灯霧は、形に宿る記憶に敏感だからな」


律は驚きはしたが何も言わず霧の中に浮かぶ紙片を手に取り、ゆっくりと澪の言葉を反芻しながら折り始めた。


その折り紙が淡く光り始めた瞬間、霧の中に澪の笑顔がふわりと浮かび上がる。


「澪……」


あいの瞳が微かに揺らぎ、ユウは静かに頷いた。


「お!灯霧が、澪の記憶を受け入れたようだな。 君の願いは、形になった。 次は、その“形”に心を込める段階だ。 灯霧に語る準備は、整ったようだな」

もっとあいちゃんを輝かせたいけど律くんも頑張ってほしい。

ユウの立ち位置に似てきた?

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