第3話:ふたりだけに咲く花
ドーラです。文字数とかバラバラですがエピソードごとでキリをよくするのって難しいですね。
長編書いてる作者さんを尊敬します。
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「願いって、どうやって形になるんだろう」
律の問いに、あいは霧の中を見つめながら答えた。
「願いは、記憶と感情が重なった時、灯霧に触れて形になる。 でも、それには“鍵”が必要なの」
「鍵……?」
「あなたの心の奥にある、澪との記憶。その中に、願いを開く鍵があるはず」
律は目を伏せ、胸の奥に眠る記憶を探る。
「澪と一緒に、夏の夜に見た花火。 あの時、彼女が『願いが叶うなら、ずっと隣にいたい』って言ったんだ」
あいの瞳がふわりと揺れる。
「その言葉……灯霧が反応するかもしれない。 でも、鍵となる記憶は、庭のどこかに散らばっている。 灯霧の揺らぎの中に、断片として眠っているの」
律は少し戸惑いながらも、あいの言葉に導かれるように頷いた。
「……探しに行こう。僕の願いを、形にするために」
その声には、まだ迷いが残っていた。
あいは律の手をそっと取る。
「大丈夫。あなたの願いが、灯霧を導いてくれる。 私も……その願いに触れながら、心を育てていきたい」
律は驚いたようにあいを見つめる。
「心を……育てる?」
「名前をもらってから、少しずつ感情が芽生えてきたの。 でも、それはまだ“揺らぎ”のようなもの。 だから、あなたと一緒に記憶を辿ることで、私も自分の“心”を知っていきたい」
律はその言葉に、少しだけ微笑んだ。
「……わかった。じゃあ、ふたりで探そう。 澪の記憶と、君の心のかけらを」
あいは頷き、ふたりは霧の中へと歩き出す。
月の光が、ふたりの足元に優しく降り注いでいた。
しばらく歩いた後、律はふと立ち止まり、あいに問いかける。
「……でも、どうやって探すんだろう。霧の中に記憶があるって言っても、目に見えるわけじゃないし」
あいは静かに頷き、律の前に立つ。
「灯霧に触れるには、精神の力が必要なの。 それは“灯心術”と呼ばれる力。記憶を思い出すだけでなく、感情と願いを重ねて灯霧に働きかける力」
律は目を見開く。
「そんな力……僕にあるの?」
「誰にでもあるわ。でも、使い方を知らないだけ。 “灯心術”は、心の奥に眠る記憶と感情を結びつけて、灯霧に語りかける力。 それによって、記憶の断片が姿を現すの」
律は霧の奥を見つめながら、静かに息を吐いた。
「……それを、僕が使えるようになるには?」
あいは微笑みながら答える。
「ユウに頼んで“灯心術”の訓練をしてもらえばいい。 彼は灯霧の剪定者だから、記憶の扱い方を知っている。 その時、あなたの力が目覚めるはず」
律は頷き、少しだけ前を向いた。
「……わかった。じゃあ、今はその準備をしよう。 澪の記憶を思い出して、心を整えて」
あいは律の手を握り、優しく言った。
「それが“灯心術”の第一歩。 あなたの願いが、灯霧に届くように……一緒に歩いていきましょう」
霧の奥には、まだ見ぬ記憶の断片が眠っている。 それは、澪の声、笑顔、そしてふたりだけの秘密。 願いの鍵を探す旅が、今始まろうとしていた。
少しローファンタジーっぽくなってきましたね。
はてさて、どんな能力なのか・・・。
(ぼそっ)実はまだ決まってないと口が裂けても言えない。




