表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/25

第21話:霧の舞、蝶の閃きと記憶の予兆

灯霧の庭に、霧の蝶が静かに舞っていた。


律とあいは、ユウの戦い方を思い返しながら、特訓を重ねていた。影の流れを読むだけでなく、乱し、封じる。その動きは、まるで霧そのものを操るようだった。


「ユウの動き、やっぱりすごかったよね」


「うん……霧と影の境界を見極めて、願いの揺らぎを突いてた。あれって、ただの技術じゃなくて……感覚なんだと思う」


あいは蝶の霧を編みながら、律の折り紙に目を向ける。


「でも、私たちも少しずつ近づいてるよ。蝶閃・風封・連舞、昨日よりずっと安定してる」


「ありがとう。あいの霧が、影の動きを止めてくれるから、僕の折り紙も狙いやすくなった」


ふたりは何度も連携を試し、技の精度を高めていった。蝶の霧が風を巻き起こし、折り紙がその流れに乗って影を貫く。


「……これなら、次の守護者にも通じるかもしれない」


「うん。でも、次の記憶のかけらがどこにあるか、まだわからないよね」


律は霧の流れを見つめながら、静かに呟いた。


「探しに行こう。灯霧の奥へ。澪の記憶が呼んでる気がする」


あいは頷き、ふたりは旅支度を整えて灯霧の回廊へと足を踏み出した。


霧の色は淡い青から、徐々に紫へと変化していた。願いの深層に近づくにつれ、空気が重くなる。


「この辺り、前に通った時よりも……霧が濃い」


「記憶の密度が高い場所かも。澪の大事な思い出が近いのかもね」


ふたりは慎重に進みながら、霧の中に浮かぶ光を探した。


やがて、小さな庭のような空間に辿り着く。そこには、澪が好きだった花――白い彼岸花が咲いていた。


「……ここ、見覚えある。澪と一緒に来たことがある気がする」


律が呟くと、霧の粒がふわりと舞い上がり、蝶の形を成した。


「記憶のかけらのヒントかも!」


あいが手を伸ばすと、蝶の霧が律の折り紙に触れ、淡い光を放った。


「折り紙が……反応してる。澪の記憶に繋がってる証拠だ」


ふたりはその場に腰を下ろし、霧の蝶と折り紙を重ねながら、記憶の流れを探った。


「この花、澪が“秘密の場所”って言ってた。誰にも教えてないって……」


「じゃあ、ここに澪の“誰にも言えなかった願い”が残ってるのかも」


霧がざわめき、蝶がふたりの周囲を舞い始める。


「次のかけら、きっとこの場所にある。準備を整えて、もう一度来よう」


律とあいは、灯霧の庭へと戻る道を歩きながら、次なる戦いへの決意を胸に刻んだ。


霧の蝶がふたりの背中を見守るように、静かに舞っていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ