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第2話:声を持ち始めた“あい”

ドーラです

素人丸出しですがこれってどれくらいの投稿頻度が良いんですかね?

頑張って書き溜めして一定の頻度で書ききれるようにしますのでお付き合いください。

灯霧の庭を歩くうちに、律は少女との会話を重ねていく。


少女の声には、次第に柔らかさと感情の揺らぎが宿り始めていた。


律は彼女とのやりとりに安らぎを感じながら、(みお)という名の少女の記憶を断片的に思い出していく。


「澪……君の笑顔、見えた気がする」


灯霧の中に浮かぶ記憶の断片が、律の心を揺らしていく。


「澪は、僕の幼なじみだった。小さい頃からずっと一緒で、何をするにも隣にいた。 でも、事故のあと……彼女の記憶は、霧のように曖昧になってしまった」


律は静かに言葉を続ける。


「思い出そうとすると、胸が苦しくなる。澪の声も、笑顔も、はっきりとは浮かばない。 でも、忘れたくない。……忘れたくないんだ。彼女のことを、僕の中から消したくない」


少女は静かに耳を傾けていた。


「灯霧の中では……彼女の笑顔が、少しだけ見える気がする。 それが本物かどうかはわからない。でも、僕はそれを信じたい。 澪の記憶が、僕の願いに応えてくれているって……そう思いたい」


その時、庭の奥から霧を割るように足音が響く。 黒いコートの裾が月光に揺れ、霧の粒が彼の足元で静かに舞う。 現れたのは、30代後半から40代ほどの男――ユウ。 目元に笑い皺を刻みながら、どこか気だるげな雰囲気を纏っていた。


「やれやれ、また誰かが“願いの迷路”に迷い込んだか。……律、だったな。顔に“探してます”って書いてあるぞ」


律が驚いて顔を上げる。


「どうして僕の名前を……」


ユウは肩をすくめて、霧の中に指を差す。


「灯霧が教えてくれるさ。俺はユウ。ここの旅人……というより、願いの痕跡を辿る者だ。霧の手入れと、記憶の剪定が仕事でね」


少女はユウの姿を見て、ほんの少しだけ瞳の色を変える。


「ユウは、私の“始まり”を見届けた人。……私が生まれた時、灯霧の中にいた」


律はその言葉に目を見開く。


「生まれた……? 君は人じゃないのか?」


ユウは笑いながら、庭の中心に目をやる。


「灯霧が初めて“願い”を形にした時、彼女は生まれた。 あまりにも純粋で、強くて、誰にも届かない願いだった。 灯霧はそれを抱えきれず、形にしてしまった。……それが彼女だ」


少女は静かに頷く。


「だから、ユウは私の“名付け親”でもある。……名前をくれたのは、ユウ」


ユウは少し照れたように鼻を鳴らす。


「名付け親ってほどじゃないさ。俺が“あい”って言っただけだ。 灯霧がそれを受け入れたのは、君の声が誰かに届いたからだよ。……律、君だ」


少女の瞳が月光を受けて揺れ、頬がほんのり染まる。


「……“あい”。それが、私の名前」


霧がふわりと揺れ、庭の空気が柔らかく変化する。 律はその変化に気づき、少女の声に温かさを感じる。


「君の声、少し変わった気がする」


「灯霧が名前を認識したから。……この世界に変化が認識されたの」


ユウは律の肩を軽く叩きながら、冗談めかして言う。


「灯霧の案内人が名前を持った。これで君の願いも、少しは道筋が見えるかもな。 ……まあ、願いが“迷子”にならなきゃいいけど」


律はその言葉に、ふと胸の奥が熱くなるのを感じた。


「迷子になんて、させない。僕の願いは、澪に届いてほしい。 ……この願いが叶うなら。 灯霧が形にしてくれるなら、僕はその光に縋る」


少女は静かに律を見つめ、ユウは少しだけ目を細めた。


「願いは強い。だからこそ、灯霧はそれに応えようとする。 ……でも、強すぎる願いは、時に灯霧を歪ませることもある」


律はその言葉に一瞬だけ不安を覚えながらも、少女の声に希望を見出していた。


「それでも……僕は信じたい。澪の笑顔が、もう一度見られるなら」


少女は頷き、律の手をそっと取った。


「願いが形になる時、心もまた変わっていく。 ……その変化が、あなたを導いてくれる」


律はその言葉に微笑みながら、庭の奥へと足を踏み出す。 霧は淡く揺れ、月の光が道を照らしていた。

律くん的なエンドとあいちゃん的なエンドは別々にしていきたい(含み)

二人ともええ子に仕上がることを作者は希望してます。

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