第12話 魔道化師ピエン
俺は馬に乗ってアイアンのもとまで行くと、みんなアイアンの力にビビり上がってて、バーベンフルトさんが何やらアイアンと話してるようだった。
ていうかやっぱこいつ、俺と同じ転生者だわ。
バスケ選手みてえなタンクトップを黒ティー重ね着してて、めっちゃいかちい豪勢なネックレスしてやがるし、ジーパンみてえなダボパンだしラッパーじゃんこいつ。
「よお、遅えじゃねえか領主様。このハロルドの師匠のおっさん、なかなか強えじゃん」
あったりめえだろ!
この人が泣く子も黙る、最強のG級冒険者のバーベンフルトさんだっての! 口の減らねえガキめ。
いくらお前が強いっつってもよ、冒険者なりたてのお前がタメ口利けるような人じゃあねえんだよ、クソガキが!
「うむ、彼が噂のルーキーのようだな? マクドネル卿」
「あ、はいバーベンフルトさん。ハロルドと同様B級スタートにした新人です。あとアイアン……さん、この人がうちの組合で……」
「G級でハロルドのお師匠さんだろ?」
なんだよ、自己紹介は互いに終わってたわけか。
しかしこのドラゴンの残骸どうすっかなあ。
あ、俺がクエスト出してこれ片付ければいいんだわ。
つっても、これから聖王陛下に謁見しなきゃダメだし、どうすっかなあ。
すると馬に乗ったハロルドが、こっちにやってくる。
「お師匠様、残りのゴブリン片付けて来ました。あ、ショーン様、アイアンすげえ魔法使ったんだよ! 見たでしょショーン様も」
ああ見てたよ、ファイナル●ァンタジーの、メテオみてえなクソやべえ魔法な。
ファーティーマが、伝説の勇者と同格かもしれねえって言ってた推定レベル10とかのやつをよ。
「ああ、あれは触媒があったし大した魔法でもねえよ。それに俺なんざ、まだまださ」
いや、大した魔法だろうがよ!
あのクソでけえドラゴンを、一発でヤっちまったくれえ、頭おかしいくれえ強かったじゃねえか!!
「えっと今の魔法も凄いけど、アイアンが習ったって言う、学院のメスゴリラって人の方がすごい?」
「おう、あのゴリラ先公は、時とか止めながら星がぶっ壊れるくれえの魔法使うからな。電子も自在に操るから、バリアとかはれるし。しかも光の速さで宇宙も移動できるし、核融合とかもできて普通に神とかもぶっ殺せる。あと一切の攻撃も一時的に無効化する無敵のバケモンだ」
いや、どういう規模の魔法だよ……。
核融合とか、光速移動とか、神殺しとか、めっちゃいかちいなおい。
いやいや、そんな人間いるわけねえし、どうせフカシだよな……多分。
「そんな先生いるんだ。他にどういう先生がいたの?」
「ああ、例えば聖書で道徳とか教えながら、軍事知識豊富で裏社会最強の殺し屋だった人や、科学技術好きとか講じて宇宙最強の要塞とか作り上げた元マッドサイエンティストも。死後の念で恨んでた政敵全員抹殺したやべえ人だけど、俺に習字教えてくれた先生とかいたり。他にも色々いたよ」
いやどういう学院の先生?
そんなのいるわけねえだろ。
アレだわ、脳内で適当な厨二設定作ってるだけだよなきっと。
そんなのが教育者とかできるわけねえじゃんかよ。
「なるほど、それは凄いな。で、結局はどういう学院なのかね?」
ああ、バーベンフルトさんの言う通り、こいつの言う学院ってまずなんのかわかんねえ。
「hey それを許可なく言ったら、ここにいる全員……神々や天使に抹殺される」
だからどんなスケールの学院だよって!
厨二にも程があんだろっての!?
アレか? こいつみてえなやべえヒットマン養成する、学院ってやつは暗●教室か!?
そのメスゴリラとか、こいつから不名誉なあだ名つけられたその教師、殺せ●せーみてえなバケモンか何かか!?
「……そうか。そこで君はその魔法だとか体術を習ったと」
「まあ、そんな話どうでもいいじゃねえか。それに、ボケっと見てねえで出てこいよstupid!!」
「そうだな、我々の戦いをずっと見ていたようだな貴様」
え?
「アーハッハッハ、僕ちんのことバレた?」
アイアンの視線の先に、いつの間にか真っ赤な鼻に緑色のアフロヘアに、顔面白塗りに涙メイクしたピエロの格好したなんかよくわかんねえやつが出現する。
ていうかこいつも普通に宙に浮いてるし。
「気配でバレバレだ。ピエロ野郎お前、魔王軍だろ?」
「んーふふふ、僕ちんの名はピエン。魔王宮廷道化師にして魔王軍十三魔将の1人さ」
うわぁ!
また魔王軍大幹部様の登場だよ!
しかもピエンとかクソふざけた名前だぜ。
さっきからバケモンばっか出てきて、ぴえんしてえのは俺の方だっての!
ていうかなんなのこいつら?
次から次へと俺の領地に出現しやがるが、なんで!?
俺のベルンファースト、なぜか日本しか襲って来ねえ、ウルトラマンとかに出てくる怪獣や悪質宇宙人みてえな状況になっちまってるよ。
「はじめまして俺はアイアンだ。こんにちは死ね!!」
アイアンが一瞬でピエロ野郎に詰めて、ぶん殴って頭がすっ飛んでってちょおおおおおおお!
出会ってその場でぶっ殺した!!
ナンパで出会って即合体じゃねえんだぞ!!
やべえ、これで本日魔王軍大幹部二人目の討伐だよ。
もはや笑うしかねえ……。
「痛いなあ、手が早いなあ、アッハッハ」
すると吹っ飛ばされて首だけになったピエロ野郎の首が、こっちをぐるぐる飛び回ってあざ笑って来やがった。
きめえぞこいつ。
ていうか、こいつなんで首だけになってるのに生きてやがんだよ、バラバラの実の能力者かなんかか?
ワイドって名乗ったやつもそうだけど、伝説の魔王軍怖すぎるんだが。
するとピエンとかいうピエロの体が動いて、右の手の平にピエロの生首を乗せる。
「んふふ、やっぱゴブリンじゃダメだったね。それにドラゴン殺しにドラゴンぶつけて、おじいちゃん大丈夫? ボケてない? とか聞いたけど、全然大丈夫じゃなかったし。魔王様復活できなかったし、ワイドお爺ちゃんマジ使えねえでやんの! アーハッハッハ」
さりげなく同僚のワイドってやつディスってるし、十三魔将とかいうこいつら、何気に仲悪いだろ実は。
「うるせえぞクソ野郎。やんのかよ?」
だぁから、挑発すんじゃねえよって!!
あのワイドとかいうやつみてえに、なんかよくわかんねえ魔法とかされたら、お前はともかく今の戦いで疲弊した冒険者組合が全滅しちまうだろっての!!
よ、よし内心怖えけど、ここは一つ。
「さすがの魔王軍大幹部でも、このアイアンは止められないぞ。それにこっちには、G級含む冒険者の主力も集まってる。撤退を進めるが?」
……とりあえず帰ってもらおう。
せっかくゴブリンの群れや化物ドラゴン相手にしたあとだと、こっちもきついし。
「んー、僕ちん偵察みたいな感じで来たんだが、すごい収穫だった。特にアイアンと言ったね、君だ」
「あぁ?」
「とりあえず他の奴らに動かれると面倒だし、陰踏み」
「!?」
なんだ……俺の体が動かねえ。
声も出せなくなった。
馬に乗ったハロルドも、バーベンフルトさんも身動き取れなくなって……これも魔法か何かか?
「あんまり僕ちんの手の内晒したくなかったけど、君以外の人間共を皆殺しにしちゃえば、目撃者いなくなって、いいかなーって」
「野郎……」
ほら言わんこっちゃねえ!!
アイアンのやつは動けるみてえだけど……死にたくねえ!
俺まだ死にたくねえ!
まだ貴族令嬢とかとも遊び足りねえし、女冒険者囲ったチートハーレム作りてえし、シャンパンタワーとか毎晩やりてえし、死にたくねええええええ。
「Hey you! ピエンとか言いやがったかピエロ野郎。偵察とか言いやがったが、目的はこの冒険者組合をぶっ潰すことだろ」
「まあね、それと魔王様復活」
「なぜここの組合だ? 他にもその冒険者組合って世界中にあるだろうに、なぜここなんだよ」
それな。
俺が一番それを知りてえよ。
「え? 十三魔将みんなとやったアミダクジの結果」
……へ?
「ほら、冒険者組合で有名なのってこの辺りじゃベルンファーストだとかラティウムだったり、ルテティアとウインドボナ、それとイスタミルだったりするじゃない? それを僕ら十三魔将達でクジで決めたら、最初に攻めるのここになったってわけ」
はああああああああああああああああ?
ふざけんなよ!
そんな適当な理由で、俺の領地と俺の組合が狙われたってことかよ!!
「お前なめてやがんのか? ふざけたこと言いやがると殺すぞ」
そうだそうだ!
雑にアミダなんかで決めやがって、マジふざけんな!
「僕ちん達にとって、ただの人間共なんか虫ケラみたいなもんだから、ぶっちゃけどこでもよかったのさ」
「ha 本当にそうか?」
「そ、そ。じゃ、僕ちんからも質問ね。君の戦い少しばかり見させてもらったけど。どうだろう? 君、魔王軍に入らない?」
だあああああ、スカウト来やがったああああああ。
このピエロ野郎、アイアンを魔王軍に入れる気か?
ふざけんなよ、こいつを先にスカウトしたのは俺だ!
契約もこっちが先に結んだんだからな!
「あ? 仮に俺が魔王軍に入ってやったとして、なんかメリットあんのかよ」
「あるよ、アイアン君。君の感じ、どっちかというとこっち側でしょ? なのに冒険者ランクBだっけ? アーッハッハッハ!」
こいつ、もうアイアンのこと調べてやがったか。
しょうがねえだろ、こいつもそれでいいって言ったし。
この業界入る前までいくら強かったとしても、組合長権限で、どんなにゲタ上げたとしてもBかCだし、組合規則守んねえと他の組合からうちが破門にされちまうんだよ!!
「何笑ってんだピエロ野郎」
「ああクックック、君のこと正当な評価できてないなって。君なら幹部待遇で迎えてもいいよ。軍団長とかやってみない?」
ピエンとかいう野郎がこっち見て、メイク越しにニヤリと笑いやがる。
こいつ揺さぶりかけてやがるな、アイアンに。
勇者の再来っぽいこいつが、人類の敵とかになったらやべえなんてもんじゃねえ、世界の危機だ。
「ねえ、貴族のショーン君だったよね?」
ウゲッ
魔王軍に、俺の名前がもう知れ渡ってる!!
「君の瞳、実に僕ちん好み。目玉くり抜いて僕のアクセサリーにしちゃいたいなあ? マジックショーの飾りでショーの目玉のショーン君の目玉、みたいな? アッハッハッハッハッハ!」
ふぁああああああああ!
やべえよ、目ん玉くり抜かれてぶっ殺される。
ていうかクソ寒いダジャレ使いやがって。
笑えねえし背筋が冷たくなってくるし、勘弁してくれええええええ。
「あとそこの馬に乗ってる子も、殺した方が面白そうだ。足の指から一本ずつ切断したら、どんな悲鳴あげるかな? ウヒャッヒャッヒャ」
やべえよ、このピエロサイコだわ。
俺たち全員、このサイコピエロにぶっ殺される。
「ねえ、アイアン君。君ほどの力があれば、やりたい放題好き放題さ。それに世界征服すれば、君のような者は好きに生きれる」
「ふん、好きに生きれるだと?」
「そ、好きな物を食べ、好きな物を奪い、好きな女犯して、好きな物を壊して好きに殺す。どうかな? 魅力的だと思わないかなー?」
どこが魅力的だよ。
欲しい物があったり、好きな物食べるには対価を払う。
好きな女の子抱くには口説くか、金払うか、恋人同士になるか結婚するか。
ムカつくからっていちいち物ぶっ壊したり、人殺してたら、人間社会の営みってのが無くなっちまうだろうが。
こいつの言うことに、モラルだとか常識がまるでねえ。
ラブ&ピースが信条の俺と、こいつらの価値観がまったく合わねえわ。
「クソくれえだFack you!!」
よおし、よく言ったぜアイアン。
俺が思ってること代弁してくれた。
すると、首無しピエロの体からスマホの着信みてえな振動音がして、ズボンのポケットから手のひらサイズの水晶玉左手で出す。
あれは、多分スマホみてえな通信機か。
うちの国じゃあ魔法のクリスタルを磨いて、鏡にして通信してっけど、小さくてスマホみてえで便利だな……ってそんなこと考えてる場合じゃねえ!
「はいはい僕ちん。なんなのさ? お爺ちゃん え? 帰れ? なんで?」
え?
「……ふーん、あっそう。それに僕はその伝説の勇者ってのに会ったことないけど、お爺ちゃんビビりすぎじゃね?」
お、こいつもしかして帰ってくれるのか?
よっしゃああああああ!
早く帰れやクソピエロめ!!
多分ありゃあ、上役か同格クラスからの電話だ!!
さっさと俺の領地からいなくなれやアホが!!
「どうせならさ、僕のマジックショーで早いところこいつら皆殺しにした方がいいじゃん? あとあとめんどくさくなる前に」
ふざけんな、早く帰れっての!!
電話先のやつも、もっとこのクソピエロに強い口調でいいから戻れって言えよって!!
こんな首飛ばされて生きてるやつなんか、勝てる気しねえし、いやもしかしたらアイアンなら……。
「おい、こいつら一人でもぶっ殺したら、徹底的に俺がお前ら消すぜ?」
「うふふ、でも魔法量足りる?」
このピエロ……まさかバーベンフルトさんが消耗したり、アイアンの魔力切れするの見計らってた?
そうだよなあ、あんな大魔法みてえなの放ったらマジックポイント大幅に消費しちまいそうだもんな。
どうする、この状況。
アイアンも図星みてえで、うっすら冷や汗かいてるし。
「うるせえぞ、メッタメッタのギッタギッタにして、生まれて来たことを後悔させてやろうか?」
だああああああああ、やめろ馬鹿!
ドラ●もんのジャイアンみてえな脅し文句で、こいつ挑発すんなあああああああ!
「チッ、つまんないなあ。君の出す波動、僕らと同類っぽいのにいい子ちゃんぶって。ま、この辺の奴ら聖女とかってクソみたいな存在をありがたがってる、いい子ちゃんばっかだからしょうがないか」
「あ? 今なんつった?」
アイアンから俺でもわかるくらい、なんか凄まじい覇気っていうか、怒気が溢れ出して、めっちゃ殺気立ってやがる。
「だぁかぁら、聖女とかいうあのクソ……」
言い終わる前に、アイアンが瞬間移動みてえな速度でピエンの体をぶん殴って吹っ飛ばす。
「ぶち殺すピエロ野郎。piece of shit!! クソみてえな顔しやがってshit 昔から嫌いだったぜ、ピエロフェイスが!」
アイアンのやつブチ切れてやがる。
「クソ野郎、piece of shit! クソの塊みてえなクソ廃棄物め! くせえ臭い撒き散らしやがってクソ野郎! 鼻つまむくれえスカンクみてえなお前が、彼女をdisりやがってmotherfucker!!」
こいつまさか聖女教会の敬虔な信者なのか?
ありえるな。
この世界じゃキリスト教の聖母マリア様並に、聖女様という存在が信仰されてる世界宗教ってやつだ。
もっとも俺や俺んちは別に信心深くもねえし、伝説の聖女様自体、魔王から世界を救ったってことくれえしかわかんねえけど。
「炎まとうぜ鋼の拳、雷まとうぜ俺の体、クソ野郎に言霊、”電光石火“」
うぉ!?
NARUT●みてえに分身しやがったアイアンのやつ!
どういう原理だ?
多分魔法なんだろうが、あんなことも可能なのか?
するとピエンの首が浮かび、地面から気味の悪いかっこした首無しピエロが次々出てきて、分身したアイアンとバトルになる。
「あれあれ〜僕ちん気に触ること言っちゃった?」
首無しピエロが、アイアンのパンチくらって燃え上がったあと、消し炭になって消滅してゆく。
「クソの掃き溜めみてえなピエロ野郎! ドタマかち割って脳みそ取り除いてロボトミー! どたまいじってクソ詰めてやる! そのニヤケ顔のピエロメイク! 皮ごと剥ぎ取って、その上でクソしてやろうか? クソまみれにして、ぶっ殺してやるぜfuckig shit !! 」
無茶苦茶な悪口言ってやがるな。
どういう思考回路したら、歌いながらそんな危なくて汚え歌詞出てくるんだよ。
しかもこいつ、今朝から今までどんだけ喧嘩し回ってんだよ、バーサーカーの化身か。
だがさすがのアイアンも疲労が溜まってんのか、地面から無数に出てくる首無しピエロ相手に、肩で息してやがるが……。
頼む、なんとしても勝ってくれアイアン!
じゃねえと俺、目玉くり抜かれて殺されちまう!
「ふう、陰踏みしながらだときっついなあ。もういいや、偵察だけのお遊びとおふざけは終わり。一旦解除して、皆殺しのマジックショーを開催……うるさいなあ今度は何!?」
あ、また着信みてえだ。
スマホみてえにバイブレーションすっから、音でわかる。
すると水晶玉持った首無しピエロの体から、右手が分離して空飛ぶピエンの生首まで水晶持っていく。
「はいはい、なんですか? 今、バトル中! え? まさかそんな……」
ん、アイアンを見下ろすピエンの生首が、なんかテンパってキョドってる感じがしやがるが……。
するとアイアンと対峙する首無しピエロ達が、一斉に土下座し始めて、ピエンの生首が降りてくる。
「も、申し訳ございませんでした!! わたくし、いくら道化の身とはいえ、今までの非礼と愚行、あなた様に全て謝罪いたします!! ど、どうかお許しを!!」
「あ?」
なんだこの状況。
ピエンのピエロ野郎、いきなり土下座してアイアンに謝り始めたが……。
「わたくしども魔王軍は、今後、ベルンファーストの冒険者組合からは手を引きます!! どうかお許しください!!」
よ、よっしゃあ!!
なんか知らねえけどアイアンに今更ビビったのか、魔王軍も撤退してくれるぜ!
「許すわけねえだろクソ野郎。お前は殺す」
おいいいいいいいいいい!!
せっかく、魔王軍大幹部が土下座までして謝ってんだから許してやれって。
いや待てよ、抵抗できないこいつをアイアンがぶっ殺せば、俺の冒険者組合にハクが付くし、人類の脅威が減るじゃんか。
よおし、やっちまえアイアン!
俺たちベルンファーストの冒険者組合をなめたこいつを、ぶっ殺しちまえ!
「いえ、わたくし宮廷道化ピエン、まだ死にたくありません。ですので引き上げさせていただきます、はい。それに僕の陰踏み効かないやつも、あそこにいて面倒だし」
ん?
ピエロ野郎の視線の先に、俺の城の中庭で演奏してたDJみてえな吟遊詩人と一緒に、アイアンと一緒にいた妖精もいるが……。
あ、ピエロと目が合った吟遊詩人が中指立てやがった。
なんかあの吟遊詩人ガラ悪いぞ。
妖精もあっかんべーしてるし。
「うおっ!」
いきなり金縛り解けて、思わず馬から落ちそうになり、首無しピエロ達が土塊に解体して、首が超スピードで空高く飛んで行く。
「じゃあ、そういうわけですので失礼を」
「ふん、ピエロ野郎。次会ったら、どこまでお前の体が分裂できるか実験してやる」
「アーハッハッハ! ナイスジョーク!! あなたにお会いできて光栄でしたよ」
いや笑えねえ……。
どうでもいいから早く帰ってくれよ。
「あ、そういえば」
空のピエンの生首が瞬間移動して消える。
「ん?」
キョロキョロ俺が見渡すと、俺の目前にピエロの生首が浮き、目と目が合った。
怖え……。
メイクされて表情わかんねえけど、こいつの金色のような瞳に、人間的な色味みてえなもんが全然感じられねえし、やっぱこいつサイコパスだ。
どうしよう、また小便ちびりそう。
すると俺の耳元まで、首が飛ぶ。
「ンフフ、今はアイアンって名乗ってるが、あのお方こそ、僕達が忠誠を誓う陛下、アトム様だ。じゃあね貴族のショーン君」
ピエロ野郎がボソリとささやく。
「え?」
ピエロ野郎がどっかに消えて、みんなも動けるようになり、辺りがシーンと静まり返る。
「ようショーン、大丈夫か?」
アイアンが俺に話しかけてくるが……え?
こいつが、あの伝説の魔王アトム?
ボスラッシュは以上になりますが、最後に魔将が語り部のショーン君の胃痛になりそうな揺さぶりをかけて次回に続きます




