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別の世界ではただの日常です

悪戯

作者: 茅野榛人

 あの時僕は十八歳でしたから、高校三年生の時ですね。

 あの日の前日、僕の家に同級生の友達が遊びに来ました。

 ゲームや雑談をしているうちに、僕はふと思いました。

 僕はまだ人生で一度も、この家に誰かを泊めると言う経験をした事がありませんでした。

 友達に提案をする事にしました。

「今日さ、うち泊まらん?」

 すると友達は言いました。

「……ええんか?」

 泊まると言っているように聞こえました。

「ええよ?」

「マジか! 泊まるわ」

 こうして友達は僕の家に泊まることになりました。

 僕の両親と友達の両親に了承は得たのですが、僕の母親には少々負担をかけたと思います。

 何しろ、夕食と明日の朝食をもう一人分増やす必要がありましたから。

 夕飯と風呂を終えて、友達はベッドで、僕は寝袋で寝る事にしました。

 翌朝、僕は五時五十分に起床しました。

 友達はまだ寝ていました。

 ここで僕はふと思ったのです。

 ここの部屋の時計を進めれば、友達は遅刻したと思い込んで慌てふためくに違いない。

 やってみる事にしました。

 五時台を指している時計を、十一時台にして、友達が起きるのを待ちました。

 僕の携帯電話で、時刻が六時二十分になった事を確認した後、僕は慌てふためく演技をしながら友達を起こしました。

「やばいやばい、ねえ! ちょっとやばいよ!」

「え……ええ? 何? どしたんだよ?」

「めっちゃ遅刻! ほら!」

 そう言って時計を指さしました。

「は? 嘘? マジかよおい! お前睡眠薬盛っただろ!」

「馬鹿お前そんな事しねえよ! ってか睡眠薬なんか持ってねえ!」

「え……ちょっと……本当に遅刻?」

 そう言いながら友達は携帯電話を確認しました。

 これでネタばらしになる……と思っていました。

「いやマジで遅刻だ! やばい!」

 何故か気づかなかったのです。

 なので直接声に出して悪戯だと言う事にしました。

「これ俺の悪戯、あの時計の時間を進めただけ、本当は今、六時台だから!」

「え……マジで? ふざけんなよもう……」

 そう言って友達はベッドに倒れ込みました。

 しかし直ぐに起き上がりました。

「いや待って、今お前あの時計だけ細工したって言ったよな?」

「うん」

「俺の携帯もだろ?」

「は?」

「いや、俺の携帯の時計も十一時台になってるよ?」

「え? なんでや」

 僕はこの部屋の時計しかいじっていません。

 しかし何故か友達の携帯電話の時計も十一時台になっていたのです。

「……いやいやいやいや……今はまだ六時台だぞ?」

 そう言って自分の携帯電話の時計を見せようとした時でした。

「……え?」

 自分の携帯電話の時計も十一時台を指していたのです。

 時間が本当に進んでしまったのです。

 ここからは僕の両親、友達の両親、そして学校の先生から聞いた話を繋ぎ合わせた話なのですが、どうやら僕と友達は普通に学校に行ったらしいのですが、十一時台に突然、二人とも瞬間移動をしたかのように学校から消えてしまったらしいのです。

 そして気が付いたら、二人とも僕の部屋にいたと言う事らしいのです。

 この体験をした後、時計の時間を進めたり、遅らせたりしたのですが、時間がずれる事はありませんでした。

 多分大丈夫だとは思いますが、時計を扱う際には、気をつけて下さい。

 そして、悪戯で時計をいじるのはやめて下さい。

 時間が狂うって、想像以上に怖いですよ。

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