プロローグ
1日が始まり、朝起きて朝ご飯を食べて学校に行く。終わったら部活動をする生徒を横目に大変そうだと思ってもいないことを考えながら帰宅し、風呂に入って夜ご飯を食べてやりたいことをやって眠る。今日も昨日も、もちろん明日もどうせ同じことの繰り返し。中学を卒業して高校に入ったらこんな退屈な生活ももしかしたら変わるんじゃないかと思っていた時期もあった。………まぁそれも結局なにも変わらなかったんだけども。
「………つまらない」
友達が居ない訳ではないし、その友達と仲が悪いわけでもない。むしろ仲がいいほうだ。たまに一緒に遊ぶし昼休み中も大体一緒にいる。ただただ人生というものに少し飽きてきているだけというだけだ。
「ま、そんなこと思ったところで何か面白いことがおきる訳では無いんだけどさ」
この世界がファンタジーの世界だったらどんなによかっただろうと思ったことがあるが、あれは想像の中の世界なのだからなんて言うつまらない回答しか出てこなかった。
「結局は自分が勝手に人生をつまらなくしてるだけって事なのかもな。さ、さっさと寝よ」
人生自体はつまらないけど学校生活がつまらないわけではない。このつまらない人生の中でもそこそこに楽しい場所ではある。授業がつまらないことを除けばだけど。
「最近そんなことばっかり考えてるな…俺は…」
眠気に襲われ意識を夢の世界へと向かわせる。せめて夢の中でくらい楽しめることを願いながら、眠りにつくのだった。
気づけば暗闇の中にいた。珍しく夢の中にいるはずなのに意識がはっきりしているが、暗闇の中にいるのは最悪だ。いわゆる怖い夢というやつだろうか。
しばらく歩いていると暗闇の中に浮かぶドアを見つけた。暗闇の中にそのドアだけあるため意味ありげというかなんというか。それに周りに光源がないのにも関わらずこのドアだけ綺麗に、そしてはっきりと見えている。
「何があるか見に行ってしまおう。どうせここは夢の中なのだから何かあってもどうせ目が覚めるだけだ」
静かな場所だからか唾を飲み込む音や心臓の高鳴る音が聞こえた。意を決してドアノブに手をかけてドアを開けた。
「……あれ?思ってたのと違うな」
ドアを開けた先はさっきの暗闇とは違いちゃんとした部屋になっていた。普通の部屋ではなく本棚がたくさん並んだ図書館のような作りになっていた。その本棚には本が置かれていなく、そのほとんどが空の本棚になっていることを除けば対して不思議な空間ではなかった。
「不思議ではないとは言え不気味ではあるんだけども…ちょっと探索してみるか」
少し動き回って分かったことがあるとしたら、この空間はかなり広いという事。とはいえ図書館にしてはちょっと狭く、街にある大きな図書館よりもちょっと狭いかなと言った感覚だ。それと中心にはちょっとしたスペースがありそこにはテーブルと椅子があるという事。もちろんここ以外にもちょっとしたスペースはあるがテーブルなどの家具は置かれていなかったため、ここだけ特別という事だろうか。あと中心近くの本棚には何冊か本が置いてあることくらいだろうか。
「本はあるけど読めないな…どこの文字なんだろうか…」
「あー、それはこの前言った異世界で見つけた本だねぇ。一種の魔導書のはずだよ?」
「わーーーーーー!?」
さっきまでこの図書館をぐるっと見て回った時には人影はおろか自分の歩く音以外の物音がしていなかったはずなのに急に声をかけてきた人は自分の後ろから声をかけてきた。
「ごごご、ごめんなさい!勝手に物色してしまい…」
「あはは、いや私の方こそ申し訳ないどうやら驚かしてしまったようだね。こほん、それでは改めまして…」
「―――ようこそ名もなき図書館へ。そしてこんにちは、私はここの司書のレーテと申します」