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3話

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 異世界、アムリアはリュミリ王国に来てから2日目、アラタはエフィと街を観光していた。

街の作りは王城を中心に、扇状に広がっており、王城の隣はすぐ平原と海である。

街は扇状の城塞で守られており、ここが安全だと分かる。

中世ヨーロッパのようなオレンジの屋根の建物が並ぶ、美しいこの街は主にエルフたちで賑わっており、アラタは新しい街に少しずつ慣れていった。

メインストリートを歩きながらあちこちの店を紹介され、最後に紹介されたのはたばこ店だった。


「ここがたばこ店です。アラタ様はここをよく利用するでしょうし、覚えておいて損はないでしょう」

「そうだね、ありがとう」


そうして観光から帰ると、家の前にアドラが立っていた。


「アドラ!そこで何してるの?」

「あなたを待ってました、パイロット。機神ジャッカーの操作を練習するべきです」

「わかった。エフィ、観光に付き合ってくれてありがとう」

「どういたしまして。行ってらっしゃいませ」


エフィに見送られながら、アラタは王城の広場へと向かった。


 門番に挨拶をして王城の庭を進み、機神ジャッカーの足元まで来る。

ふと、気になって、アラタはアドラに質問する。


「これってどこに居ても操縦席に転送されるの?」

「はいそうです。だからここに来る必要はありませんでしたね」

「・・・早く言ってよ」

「アドラはサポートの事しか機能しないので多めに見てほしいものです」


そんな会話をしていると、ガランがこちらに歩いてくる。


「やあアラタ君。機神ジャッカーの操作練習か?」

「はい。これからしようかと」

「なら見させてもらおう。構わないかね?」

「もちろんです」


 そう言ってアラタは腰に付けたホルスターからジャッカートリガーを取り出し、上に向けて撃つ。


「ジャッカー!」


その瞬間。ジャッカートリガーの銃身が上下に開き、光り出すと、アラタはアドラと共に操縦席に移動した。


「さて復習の時間です。昨日やれたことをやっていきましょう」


 そう言うアドラに頷きながらヘルムを被り、バイザーを下げる。

アラタはスイッチを入れ、ペダルを踏む。

すると、機神ジャッカーは城壁を跨ぎ、平原へ向かって行った。

パンチやキックを一通り確かめた後、アドラはレッスン2を言う。


「それではレッスン2、武装をフル活用しよう。です」

「そっか。昨日はゴーレムでいっぱいいっぱいだったけど、武装があるもんね」

「武装は右腕のジャッカーレーザー、左腕のパイルバンカー、胸部のジャッカーカノン、そして左腰のマナブレードです。」

「4つあるんだね。まずはジャッカーレーザーから試すか・・・」


 そう言ってアラタはジャッカーレーザーを地面に向けて撃つ。

ジャッカーレーザーが当たったところは焼け、煙が上っていった。

次に右レバーのスイッチを押し、レーザーモードからブラスターモードに切り替えて地面に向けて撃つ。

撃ったところは大きなクレーターが出来ていた。

その威力を確認すると、次にアラタはパイルバンカーを試す。

左のレバーを前に倒し、左腕を前に突き出すと、レバーに付いてるトリガーを引く。

すると、ガチィン!という重たい音と共にパイルバンカーの杭が、前に突き出される。

使い方をある程度想像しながら、左のレバーのボタンを押す。

するとパイルバンカーの杭は再び引き絞られる。

 そこまで確認してから、アドラが話し始める。


「ジャッカーカノンは強力すぎるので試射するのはおすすめできません。マナブレードを試しましょう」

「押忍!」


 そう言ってアラタは右のレバーを動かし、左腰に付いているマナブレードの柄を取り出すと、柄に付いているトリガーを引く。

すると赤色に輝く片刃の刀身が現れる。

それを数回振って感触を確かめると、再び左腰に戻す。


「どうです?慣れてきましたか?」

「うん。大丈夫そうかな」


アラタ達がそういいながら平原をウロウロして操縦に慣れている中、ガランに通信が入る。


「ガラン陛下!第二師団から緊急通信!帝国の巨大化合成魔獣がリュミリ王国に向かって進行中とのことです!」

「なにっ!・・・わかった。――アラタ君!こちらに再び巨大な敵が向かってきている!そのまま倒してくれないか!?」

「了解です!」


そう言ってアラタはリュミリ王国の前の方へ進み始めた。




 しばらくすると敵が見えてくる。

人型ではあるが、足は蹄で犬の後ろ足のようで、手には鋭い爪があり、顔は狼のようで、全身を長い毛が覆っていた。

どしん、どしんと、重たい足音を立ててリュミリ王国向けて真っ直ぐ進んできていた。

その進路を塞ぐように機神ジャッカーが仁王立ちをする。

右手にマナブレードを構え、合成魔獣を待ち構えていた。


「よし!来るなら来い!覚悟、決めるぜ!」

「油断は禁物です。ですがそのいきも大事ですね」


そうこう話している内に合成魔獣はすぐそこまで来ていた。

 それを見てアラタはペダルを踏み、機神ジャッカーを前へと進める。

合成魔獣が右手を振りかぶり、爪を振り下ろす。

それに合わせて機神ジャッカーはマナブレードを振り上げる。

合成魔獣の右腕を斬り飛ばすと、そのまま前蹴りを入れる。

大きくよろめいた合成魔獣は大きく飛びのき、体勢を立て直すと、機神ジャッカーに向かって飛びつく。

それを受けて大きくよろめいた機神ジャッカーだったが、そのままマナブレードを振ろうとするも、合成魔獣は残った左手でマナブレードを抑えながら機神ジャッカーの頭部に噛みつく。

 そのまま押し倒された機神ジャッカーだったが、アラタは左のレバーを動かし、合成魔獣の脇腹に左腕のパイルバンカーを突き立てると、トリガーを引く。

ガチィン!と重たい音と共に突き刺さった杭は、合成魔獣の脇腹を穿った。それに思わず攻撃の手を緩めた合成魔獣を引きはがし、機神ジャッカーは再び立ち上がると、マナブレードを構え直す。

 合成魔獣が再び飛び上がる瞬間を見切り、マナブレードを振り下ろす。

縦にバッサリと斬られた合成魔獣は黒いもやとなって消える。

 それを見届けたアラタはマナブレードのトリガーを放し、左腰に収めた。




 リュミリ王国軍第二師団駐屯地。

そこの作戦司令室でウロウロとせわしなく歩き回るのは、リュミリ王国第一王女でありリュミリ王国軍第二師団師団長、セレーネ・マソ・リュミリだった。

巨大化合成魔獣魔獣の出現を見つけ、国に報告したものの、国がどうなっているかが心配だったのだ。

昨日のゴーレムは、なんでも国の秘宝でもある機神ジャッカーが撃破したと聞くが、今日はどうなっているのだろうか。

そう考えながら歩き回っていると、耳に着けた通信水晶の飾りから、報告が入る。

どうやらまたも機神ジャッカーが撃破してくれたようだ。

その報告に安心し、足を止める。ナナーイ連邦のドラゴン部隊と違い、巨大化合成魔獣に対応できる部隊が無い為、リュミリ王国は長らく連邦にその相手を頼っていた。

しかし今は、機神ジャッカーがいるので、頼らずにいれる訳だ。

セレーネは気になっていた。リュミリ王家やその国民が、誰一人として引けなかったジャッカートリガーを引ける者が。

思い立ったが吉日という言葉が遥か東方の地にあるらしい。

セレーネは機神ジャッカーのパイロットに会いに行くことを決めた。




 リュミリ城の左側の広場に機神ジャッカーを立たせて、アラタは機神ジャッカーから降りる。

そんなアラタを、ガランが出迎える。


「またもや活躍してくれたな!君が居ればリュミリは安泰だな!がっはっはっはっは!」

「ありがとうございます。それにしても今の敵はなんだったんです?」

「巨大化合成魔獣と言ってな。魔獣同士を合成させて、それを巨大化させた攻城兵器だ。我が国にはそれを撃退するドラゴン部隊や怪鳥部隊も無いからな・・・今のところ君と機神ジャッカーが頼りだ」

「そんな恐ろしい相手だったんですね・・・任せてください。必ずこの国を守って見せます」


胸を張ってそう言うアラタの肩を叩きながら豪快に笑ってガランは言う。


「あぁ!君が居れば我が国は安泰だながっはっはっはっは!」


バシバシと肩を叩かれ、愛想笑いをしながらも、アラタはこの国を守ると言うことに満足していた。


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