1話
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地球の日本は、神奈川に住む普通のフリーター、イツシマ・アラタは、今日もシャッター取り付けの仕事に励んでいた。
窓前の足場にシャッターを運び込み、段ボールを開けてシャッター本体を抱えると、壁にくっついている金具にシャッターを引っ掛ける。
それを一通りやり終わったところで、上司であるシモダ・ケンジに声を掛けられる。
「イツシマ~!休憩にしよう!」
「押忍!」
そう言ってアラタは足場の階段を駆け下り、車まで行く。
車の運転席では、ケンジがたばこに火をつけたところだった。
アラタも助手席に座り、たばこに火をつける。
「ったく。何度やっても東京の足場は狭くてかなわねぇな」
「っすね~もっと広いとこじゃないとやりにくいっすよ」
「だなぁ」
そんななんの変哲もない会話をしていたそんな時、アラタの足元が光り出し、点滅する。
それに気付いたケンジは驚きながら口を開く。
「おいイツシマ!なんだそれ!」
「うぇ!?なんすかこれ!?」
そう言って思わず車の外に出る。
足元の光はそれに着いて行き、次第に点滅が速くなる。
それに慌てながら、ハルキはケンジに助けを求める。
「シモダさん!これなんすか!?助けてくださいよぉ!」
「助けろったってよぉ・・・!」
そして点滅が止まると、足元の光とともにアラタがフッと消える。
「おい嘘だろ!イツシマぁ~!?」
ケンジの呼びかけが現場に響くも、誰も返す者は居なかった。
アラタが気が付くと、そこは豪華な場所だった。
例えるなら、RPGゲームで王様が座っている。そんな場所だった。
現に奥には玉座があり、ここが玉座の間だということがわかる。
しかしそれよりも先に見えたのは、自分の周りを囲む者達。
何人かは黄色いフード付きのローブを着ており、アラタを囲むように立っていた。
何が起きているかわからないアラタがふと地面を見ると、地面には大きな魔法陣が描いてあり、その中心にアラタは居た。
そして黄色のフード付きローブを着た者達が、なに語かわからない言葉を話し始める。
「蜿ャ蝟壹?謌仙粥縺ァ縺呻シ」
「縺翫♀縲∵オ∫浹縺ッ繧「繝ォ繧ク繧ェ繝ウ鬲疲ウ募嵜縺ョ鬲泌ー主」ォ縺?」
日本語とは別の言語で会話しているのはわかってても、アラタは恐る恐る日本語で話しかける。
「あの・・・ここどこですか?俺、東京に居たんですけど・・・」
それを聞いた黄色のフード付きローブを着た者達が目を合わせると、手をアラタに向け、赤い光の輪を撃ち出した。
「うわっ!」
思わずアラタがそれを手で防ぐ。
しかし赤い光の輪はアラタに当たると、首を軽く絞める。
それに驚き、首を触ると、締めていた赤い光の輪は消える。
そしてそれを見ていた黄色のフード付きローブを着た者達が、話しかけてくる。
「君、言葉はわかるかね?共通語の魔法は機能しているかな?」
「落ち着いて、私たちは敵じゃないわ」
「これを耳に着けてくれ」
そう話しかけられたアラタは、差し出された水晶をの飾りを耳に着けつつ、驚きながらも口を開く。
「えっと・・・大丈夫です・・・ここどこですか?」
「それを説明するのは後にしてくれ」
そう言って豪華な服を着て、大柄で短髪の白髪に髭を生やしている中年の男が話しかけてくる。
「我が国の危機なのだ。事態は一刻を争う。君の力を借りたい」
「はあ・・・でもどうすれば・・・?」
「機神ジャッカーに乗り、迫りくる巨大ゴーレムを倒してほしい。」
「あーっと・・・?」
「これを」
そう言って中年の男があるものを差し出してくる。
それは一見普通の銃だった。なにか言うのであれば、銃身がかなり短い事くらいだろう。
それを受け取り、アラタは初めて触る銃におろおろとしていると、これを渡した中年の男が言う。
「君ならその銃のトリガーを引けるはずだ。機神ジャッカーに乗る意思を持って引き金を引いてくれ」
「えーっと・・・?」
「頼む。こちらから呼んでおいて心苦しいが、一国の危機なのだ」
「・・・よくわかりませんが、やってみます」
アラタは覚悟を決めると、機神ジャッカーと言う物をイメージして、銃を上に向け、トリガーを引く。
が、いまいちイメージが湧かず、銃はバァン!と大きな音を立てて撃ち出されるだけだった。
「うわぁ!すみません!」
「大丈夫だ。落ち着いて、機神ジャッカーに・・・巨大な人形に乗るイメージを持って引き金を引くんだ」
「巨大人形?・・・・・・よし!覚悟、決めるぜ!」
アラタは混乱する頭を一度空にして、子供の頃に見たロボット達をイメージしながら叫び、トリガーを引く。
「ジャッカー!」
その瞬間。
銃の銃身が上下に開き、光ると、アラタは何かの操縦席に座っていた。
目の前に映るのは、一面の空だった。
「聞こえるかね?今君は機神ジャッカーの操縦席に居る。安心してくれ、サポートは後ろに座っているアドラという機械人形がしてくれると伝説にある」
そう言われて振り返ると、薄い青色のボディに大きな緑の目、後頭部からは色んなコードや配線が肩まで伸びている、そんなロボットがおり、アラタが見た事に気付くと、小さく手を振る。
そしてアドラと呼ばれたロボットが、話し始める。
「まずはリンクシステムをオンにしましょう。座席から伸びているそのヘルメットを頭に着けてください」
「は、はい!」
座席の背もたれの頭の部分には、バイザー付きのヘルメットが被せてあった
それを取ってそのヘルメットを頭に着け、バイザーを下げると、機械が作動したかのように、一気にボタンや目の前のスクリーンに光がつく。
「上出来です。あとはあなたに流れ込む機神ジャッカーの操作方法通りに動かせば、機神ジャッカーはその通りに動きます」
「よ・・・よし!」
そう言われてアラタは、まずは起き上がるために、足元のペダルを踏む。
すると、順調に機体は動き始める。
アラタは体を起こす為に、頭に流れ込んできた知識を使い、側面上部のスイッチを押して、両手に握っていたレバーを押す。
すると機体が地面に手をついて立ち上がる。
スクリーンの下部分には中世ヨーロッパのような街並みが広がっており、左側には大きな城があった。
そして街の奥の平原に、20mはありそうな人型のなにかが居た。
「聞こえるかね?先程君に銃を・・・ジャッカートリガーを渡したガランと言う。目の前に見えるかね?あのゴーレムを倒してほしいのだ」
「大体分かってきました・・・よし!覚悟、決めるぜ!」
そう言って城壁を跨ぐと、機体は平原の方へ向かって行った。
平原に着き、目の前のゴーレムと呼ばれた物と対峙する。
ここまで来る時に、頭に流れてきた情報で、この機体・・・機神ジャッカーの事は全て理解できた。
街を背に、機神ジャッカーはゴーレムの前に立ちはだかる。
ゴーレムはゆっくりと、確実にこちらへ向かってきていた。
「安心してくれ。あれに知能はない。ただ命令された事をするだけの物だ。頑張ってそれを破壊してくれ」
そうガランに言われ、アラタは深呼吸をして覚悟を決めると、ペダルを踏み、機神ジャッカーを駆り、ゴーレムに突っ込んでいった。
機神ジャッカーはゴーレムの目の前まで来ると、右の拳で殴り掛かる。
拳はゴーレムの顔面を捉え、ゴーレムは大きくよろめく。
すると、ゴーレムは機神ジャッカーを標的としたのか、前に進みながら腕を振り上げ、叩きつける。
右のペダルを素早く二度押し、それを避けると、今度は蹴りを入れて、さらにゴーレムの体勢を崩す。
アラタはその隙をついて、右肩に着いているスパイクシールドでタックルし、ゴーレムの右胸を攻撃する。
ガァン!という大きな音と共に、ゴーレムの右胸は崩れ、右腕も落下する。
そこに機神ジャッカーは再び蹴りを入れる。
するとゴーレムは完全にバランスを崩し、仰向けに倒れる。
倒れたゴーレムを何度も踏みつけると、やがて左胸に、大きな紫に光る石が出てくる。
それを見たアドラはアラタに言う。
「あの紫の石が心核です。あれを破壊してください。」
「押忍!」
そうしてレバーを大きく引いた後、押し出し、ペダルを強く踏むと、機神ジャッカーがパンチを繰り出す。
紫の心核は粉々に砕け、ゴーレムは石の塊に戻る。
それを見たアドラが、後ろから言う。
「お見事です。初陣にしては上出来だとアドラは思います」
「ありがとう!おーい!ガランさんだっけ?勝ちましたよ!」
「おお!そうか!なら城の左の広場に戻って来てくれ。改めて色々と説明せねばならないからな」
こうして初陣を終えたアラタは、城の左側にある広場に機神ジャッカーを立たせる。
「降りるには・・・このスイッチか」
すっかり機神ジャッカーの事を把握したアラタは、慣れた手つきでスイッチを弾く。
すると機神ジャッカーの足元に転送される。
降りてきたアラタに、ガランと他数名が駆け寄ってくる。
「さて、機神ジャッカーに選ばれし救国の英雄よ、全てを説明しよう。着いてきてくれ」
「お、押忍!」
そうしてアラタはガランに着いて行った。