第10話
車で30分程走り国道沿いのコンビニで小休止、飲み物と適当に食べ物を買ってまた車で移動する、どうやら目的地である、橘教官の住んでるマンションまで後10分程で着くらしい、時刻はもう直ぐ午後9時こんな時間に、1人暮しの女の人の部屋に行って良いものなのか?それに僕は女の子の部屋どころか、クラスメート女の子の家にすら入った事がない、なんかドキドキする……
暫くすると大きな建物が見えてくる、どうやら目的地に着いた様だ、駐車場に車を停め建物の入り口に向かう
「凄いマンションですね……ここが橘教官の住んでるマンションですか……研究施設の職員って皆こんな処に住んでいるんですかね?」
「ははっそんな訳有るはずが無かろう此処はな、橘の御両親の持ち物だ」
「うわぁっ橘教官ってお金持ちだったんですね!」
「うむ…まぁそう言えばそうだな、持って居るのは御両親だがな」
「それでもお金持ちには変わりませんよ」
「うむ、そう言う物か?」
「そう言う物です…………うわぁっ何ですこれ?此処はホテルですか?受け付けまである……」
入り口から入るとそこは100畳ほどの広々した空間があり、受け付けの他に寛げる様にソファー等が数ヶ所に置かれていた、
すると受け付けの人が
「氷山様ご無沙汰しております、それと河合様で御座いますね…かおるお嬢様からお話は伺っております!どうぞお通り下さい」
受け付けの人がそう言うと、右側のエレベーターホールに続くドアが開く
(……お嬢様……お嬢様、そんな呼び方リアルで初めて聞いたラノベの中だけの存在じゃぁ無かったのかっ!)
「うむ、行くぞ颯汰」
(きっとあの人の名前はセバスだっ!そうに違いない!いやそう有って欲しい)
「ではな、田中」
(ぐはっ……分かってた…分かってたよ……だって名札に名前書いて有るんだもん)
「颯汰どうした?」
「いえっ……なんでも無いです……」
僕達は一つだけあるエレベーターに乗り一つだけの行き先ボタンを押す……
「あのぉ……なぜ行き先のボタンが一つしか無いんですか?」
「ふむ、このエレベーターはな、かおる専用なのだ、だから行き先は一つしか無いのだ」
「そっそうなんですね……へっへぇぇ」
(うん分かってた……そうなんじゃ無いかなぁって思ってた)
そしてチーンと音が鳴りエレベーターが止まる、ドアが開き氷山教官が先に降り僕も後に続きエレベーターを降りた……
「颯汰くぅんいらっしゃぁいガシッ」
「ふぇっ?なにっ?」
エレベーターを降りたとたんに柔らかい何かに包まれた
(柔らかくて良い匂いが……)
「たっ橘っ!なっ何をしておるっ!颯汰から離れんかっ」
「えぇぇいすみちゃんもぉ少しぃ」
「もう少しでは無いっ早く離れんか」
「あんもぉぉいすみちゃんのいじわるぅ」
「橘教官…行きなり抱き付くなんてなにを」
「かおる」
「へっ?」
「だぁかぁらぁぁ…か・お・る」
「橘教官?なにを言って?」
「か・お・るっ」
「おいっ橘…」
「橘教官?」
「だぁかぁらぁぁっ颯汰くぅん今はぁお仕事ちゅぅじゃぁ無いからぁかおるって呼んでぇ」
「………………」
「うむっ確かに橘の言い分は最もだな!」
「えっ?氷山教官?」
「そっ颯汰私の事も、いすみと呼べ」
「えぇぇっ氷山きょ」
「いすみだっ」
「颯汰くぅんはやくぅか.お.るって呼んでぇ」
「………………」
(あぁぁこれ知ってる此ってダメなヤツだ僕が折れないと話が進まないヤツだ)
「はぁぁっわっ分かりましたっ!かおるさん、いすみさん此で良いですねっ?」
「えぇぇぇっ さん わぁ要らないわぁ」
「よっ呼び捨て何て出来ませんよっ!」
「うむっ私はそれで構わんが、でっ出来れば呼び捨てが」
「はいはいっもうお仕舞いにしましょう!かおるさん、いすみさん」
「むぅぅ」
「こんな事の為に僕をここに連れて来たんですか?」
「ふむ橘……いつまでもエレベーター前でこうしていても仕方があるまい」
「……そぉねぇじゃぁお部屋へ案内するわぁ」
(ふぅっ何か凄く疲れた……)
「それじゃぁ改めましてぇいらっしゃいっ颯汰くぅん」
「あっはいっお邪魔します」
「颯汰くぅんいすみちゃん…お茶持ってくるからぁソファーに座って待っててぇ」
「颯汰はそっちに座ると良い、言いたい事もあるが、先ずは颯汰の話を聞かんとな」
「はぁいぃお待たせぇ……うんしょっ」
「…………」
「橘…貴様何をしているのだ…」
「何をってぇ?座っただけよぉ?」
「では聞こう、なぜ颯汰の隣に座るっ!」
「えぇぇ颯汰くぅんのぉ隣が空いてたからぁ?」
「空いてたからでは無いっ!颯汰の話を聞くのであろう!なぜ隣に座るかっ」
「えぇぇっとぉぉ隣にぃ座りたいからぁ?それにぃ隣に座ってもぉお話しはぁ出来るわぁ」
「「………………」」
「ふぅっ颯汰、私と席を変われっ」
「えぇぇっじゃあぁ私もそっちヒィッ」
( ;`Д´)ギロリッ
「いっいすみちゃん殺気を飛ばさないでぇ」
「ならば大人しくしていろっ」
「うぅぅぅはぁいっ」
「颯汰すまんな」
「いっいえ」
そして颯汰は長い夜を過ごすのである
一方、作者に忘れられていたマサキはダンジョンのまえで佇んでいた
次週 マサキは本編に出られるのか
お楽しみに
マサキ……あんた…背がすすけてるぜ