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第8話、お買い物⑤

「ねえ晴くん、これはどうでしょう?」


 俺は今、服屋の試着室の前にいる。


 そこではユキのファッションショー、いや試着が行われていてカーテンを開くと可愛らしい服を着たユキの姿が現れる。俺の前でくるっと回ると、彼女は恥ずかしげに頬を染めながらはにかんでみせた。


 今はユキが着ているのは白を基調としたニット生地のワンピースで、胸の部分は綺麗な模様の編み込みがされていた。布地が薄いのか彼女の体のラインがはっきりと浮かび上がっていて、スタイル抜群なユキの魅力を引き立てている。


 俺が男性だから仕方ないとは言え、ニット生地にぴっちりと包まれた豊満なバストに視線が向いてしまう。これだけ大きな胸だというのにお腹周りはスッキリしていて、ウエストのくびれが強調されている。それに丈が短い事もあって、スカート部分から覗かせる太腿には思わずどきりとしてしまう。


「す、凄い似合ってると思うぞ……」


 あまりに魅力的な姿を見せられて俺も照れてしまい、上手な褒め言葉が出てこない。それでもユキは嬉しそうにふにゃりと顔を緩ませるので、その表情がまたどうしようもないくらい可愛らしかった。


「これも買っていきますね。ただ少し布地が薄いので春が近付いてきたら着ようと思います」

「うん、それがいいかもな。雪が降ってきたらその格好だと上に何か羽織っても寒そうだし」

「では次の服を着ますね。ちょっと待っていて下さい」


 にこりと微笑んだ後、ユキは再びカーテンを閉める。


 既に何着かは選び終えていて、冬物のコートだったりセーターは俺が持っていた。流石はユキ。センスが良いのでどれもとても良く似合っていてどれも可愛いものだ。


 そしてカーテン越しにユキの声が聞こえてくる。


「たくさん買った服を着て、これから晴くんと一緒に遊ぶのを想像すると楽しくなってきちゃいますね。これからクリスマスだったり初詣だったり、年末年始は色々なイベントがありますから」

「クリスマスに初詣、か。今年は小学生の頃みたいに楽しい時間をユキと一緒に過ごせるわけか」

「そうですよ。一緒にケーキを食べたり、プレゼント交換したり。ふふ、楽しみです」


 ユキのはしゃいだ声に自然と笑みを浮かべていると、ゆっくりとカーテンが開いていく。その先にはもこもことした毛糸で編まれたカーディガンを着たユキの姿があった。


 そのカーディガンは袖の部分が長く、手先まで覆う程の長さがある。首元は暖かそうで裾の部分には猫の顔を模した刺繍が施されており、その服もユキにとても似合っていた。さっきの体のラインが出た服装も良いが、こういうもこもこなデザインもユキの女の子らしい可愛さを引き出していてとても良い。


 ユキは両手を広げながらその場でくるっと回ってみせると、ふんわりと甘い香りが漂ってきた。


「晴くん、どうですか この服、とっても柔らかくて暖かいんですよ?」

「ああ、よく似合っているよ。ほんと可愛いな、ユキってさ」


 こうしてもこもこな服を着ているユキの姿を見ていると、さっきペットショップで見た猫の事を思い出す。


 あの猫もこんな感じでもふもふとしていて可愛かったなあ、なんて思っているとついつい試着室の中に居るユキに手を伸ばしてしまって、彼女の頭を撫でてしまっていた。


 するとユキは優しい笑みを浮かべて俺の手にすり寄ってきてくれる。その仕草がやっぱり猫みたいにとても愛らしくて甘やかしたくなる。


 猫を構う時のように顎の下にそっと手を伸ばすと、ユキは顔を上げて首元を見せてくれて、俺の指先が触れるようにしてくれる。そのまま喉の下を撫でてみると本当に気持ち良さそうに声を上げていた。


「ふにゃ~」

「あはは、ほんと猫みたいだなユキ」


 ユキは目を細め満足げな笑みを浮かべる。マンションでは猫は飼えないけれど、こんなふうにユキを可愛がれるなら十分かなと思えた。


 そうして猫のように甘えるユキを可愛がっていると視線を感じて俺は手を離す。


 まじまじと別の客に見られている事に気が付いて、ここがお店だという事をすっかり忘れてユキと二人だけの世界に入ってしまっていた事に気付き恥ずかしくなってしまう。 


「そ、そろそろ会計行こっか」

「ですね。晴くんからいっぱい見てもらえましたし、買っていく物も決まりました」


 頬を赤く染めながら俯いていると、そんな俺を見てユキはくすっと小さく笑う。それから俺達は色々な買い物を済ませ、フードコートで食事を取り、両手にいっぱいの荷物を持ってショッピングモールを後にする。


 ユキとのお出かけは何処に行っても楽しいものだ。

 両手の荷物以上の思い出が出来たと思いながら、可愛らしい笑顔を浮かべる彼女と肩を並べて二人で一緒に帰り道を歩くのだった。

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