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第10話、秋奈からの紹介①

 以前に秋奈が、小学生の頃からの友人をユキに紹介したい、という話をしていたのを覚えているだろうか。


 席替えが終わった後も秋奈とは割と良い関係が続いている。


 教科書を貸してくれたりノートを見せてくれたり、中休みの最中も授業で分からない事がないかと聞いてきたりと、相変わらず秋奈の世話になっている。


 そして秋奈から『今週の日曜は空いているだろうか?』と聞かれ、ユキを友人に紹介したいと頼まれた。


 以前からその話を前向きに考えていた俺だが、その話をユキに相談すると『秋奈さんのご友人と、ぜひ会ってお話がしてみたいです』という解答を得た。秋奈に報告するとそれはもう喜んでくれていて、よっぽど友達の事を気にかけていたんだろう。


 秋奈の友人は俺達と同じ高校に通っているが、会うのは別の場所でという話になった。何でもユキに紹介してもらうなら、ちゃんとおめかしをして私服姿で会いたいという事らしい。


 そういう事もあって今日は秋奈と秋奈の友達と、俺とユキで出かける事になっていた。こうして誰かを紹介されるというのはユキにとって初めての事で、それもあってかユキは朝から緊張している様子だった。


 俺とユキは今、待ち合わせ場所である駅前にいた。

 秋奈達が来るのをベンチに座って待っている。


「は、晴くん……今日のあたしの服装、どうでしょう? 変じゃないですか?」


 今日のユキの服装は大人っぽい雰囲気を感じさせるコーデだった。ゆったりとした大きめのシルエットの黒のオフショルダー。肩だけでなく首から胸元まで開いた襟ぐりの広めなトップスで、彼女の透き通るような白い肌を際立たせる。ボトムはデニムのショートパンツを履いていて、柔らかな太ももと健康的な脚線美が眩しく見える。


 ユキは不安そうに自分の身体を見下ろしながら、もじもじと指先を合わせていた。でも安心して欲しい、周囲を行き交う人達がユキの姿を見て、必ずと言って良いほど見惚れて立ち止まる。ユキ自身は気付いていないかもしれないけど、この場に居る誰よりも綺麗だった。


「変じゃないぞ。むしろとびきり可愛いくらいだ」

 俺が素直な感想を言うと、ユキは嬉しさと同時に褒められて照れてしまったのか、恥ずかしそうにもじもじしながら俯いた。


「は、晴くんにそう言ってもらえて良かった……誰かを紹介してもらうのって初めての事で、なのでとても今日は心配で……」

「大丈夫だって。秋奈の友人もユキの事は知ってるし、それで友達になりたいって思ったんだから」


「いえ……ほら、学校でのイメージと、お話したら違うって思われてしまうのが不安で」

「ユキの学校でのイメージなあ」


 ユキの学校でのイメージというのは天使だとか女神とか、その尊さが眩しすぎる程だなんて声も聞こえてくる程だった。とにかく頭も良くて運動神経抜群で性格も素敵だと、彼女を褒め称える声は何処からともなく聞こえてくる。


 そしてユキを良く知る俺もそのイメージは間違ってはいないと思っている。彼女の見た目が天使なのは言うまでもない事で、頭が良いのは中間テストで全教科満点を叩き出して学年トップだったのも事実だし、運動神経の良さも球技大会の活躍で証明された。ユキの性格の良さは俺が保証する、本当に優しくて気遣いが出来てとにかく良い子なのだ。


 それでもやはり包帯を巻いていた頃の影響なのか、若干引っ込み思案な所がある。俺と出会ったばかりの頃と比べるとかなり自分に自信を持ってくれるようになってはいるが、包帯を巻いていた頃の内気な部分を完全に拭い去るというのはまだ出来ていないらしい。


「ユキ、気にしないで大丈夫だと思うぞ。ありのままで良いと思う。むしろ友達になりたいって相手が思ってるなら、変に意識したらそれこそ逆効果になりかねない」

「ありのままで良い……ですか。そうですね、晴くんにそう言ってもらえて元気が出てきました。ありがとうございます」


「ユキならすぐに仲良くなれる、俺達がそうだったみたいにさ。これをきっかけにたくさん友達が出来ると良いな、ユキ」

「はい、とっても楽しみです」

 

 にこりと微笑みながらそう答えてくれるユキ。

 期待半分不安半分といった感じだが、きっと彼女なら上手く出来るだろう。心配する事は何も無いのだが、こうして彼女を見守っていられるだけで俺は十分幸せだ。

 

 二人でベンチに座ってゆっくりとしながら秋奈達が来るのを待った。

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