第7話、禁断のゲームと甘い罠④
次のステージをユキがジョギングをして進んでいると、道の真ん中にまん丸のスライム型のモンスターが現れる。スライムはぷるんと震えてユキの操作するキャラクターを威嚇する。
最初のステージはチュートリアル的な要素を持っていた為、簡単なジョギングだけの運動だった。しかしステージが進んでいくとこうやってモンスターが出現する。モンスターとの戦いはプレイヤーが筋肉トレーニングを実際にする事でゲームのキャラクターと連動し、技を発動させてモンスターを倒すというシステムになっていた。
「さて、どのトレーニングにしましょうか? 何種類かあるみたいですけど」
「決められないっていうならランダムにすると良いんじゃないか? まだユキも始めたばかりだし、何処を鍛えたいかとか決まってないだろ?」
「ですね。それじゃあ晴くんの言う通り、今回はランダムで決めてみようと思います」
ユキはリング型のコントローラーを操作して、ランダムに設定を行うと画面には様々な筋トレメニューがぐるぐると回り始める。そして画面にはきらきらとした輝きと共に筋トレの内容が映し出されていた。
ランダムに決まったのはワイドスクワットというトレーニングだった。立ったまま大きく足を開き、腰を落として膝を曲げ、また伸ばすという動作を繰り返すというシンプルなトレーニングだ。
「ワイドスクワットって見た目は地味ですけど、かなりきつかったりするんですよね。晴くんはやったことありますか?」
「うん、何度かはあるかな。でもそこまで回数こなしたことはないかも」
「やっぱりそうですよね。よし、決めた。それじゃあスクワットにします」
ユキはリング型のコントローラーを胸の前で構えて、足を大きく開いて立つ。するとゲームのキャラクターもユキのように姿勢を整えてワイドスクワットをする準備をし始めた。
「ではいきます!」
ユキはゆっくりと息を吐いてから腰を落とし始めた。同時にゲームのキャラクターもスクワットを開始して膝を曲げていく。
俺の知るスクワットは腰を落とした後にすぐまた上げていくのだが、このゲームの場合だと腰を落とした状態で姿勢をキープする必要があるらしく、テレビの画面にはそれを指示するような内容が表示されていた。
ぴんと背筋を伸ばして、大きく足を開いた状態で腰を落とした姿勢を保つユキ。
その時に俺の目に止まってしまうのは画面の中で攻撃するキャラクターの方ではなく、普段は見られない格好をしているユキの方だった。
足を大きく開いて腰を落とすという大胆なポーズに加え、ぴっちりとしたスパッツを履いた状態の為、ユキの大きくて丸いお尻の形がくっきりと浮かび上がっている。
そしてそれを見ながらある事に気付くのだ――いくらユキの履いているスパッツがぴっちりとした布地だとしても、その下にあるお尻の形がここまで綺麗にくっきり浮かび上がるはずがない。
下に履いているパンツがぴっちりとしたスパッツに浮かび上がるならまだしも、その奥にあるはずのユキのお尻の形がはっきりと見え過ぎていて――ワイドスクワットを終えたユキと不意に目が合った。
「ふふ、晴くん。もしかして……気付いちゃいました?」
「もしかしてって……まさか……」
ユキは俺を見つめながら悪戯っぽく笑う。それはユキが俺を誘惑している時に見せる小悪魔な表情そのものだった。
俺は彼女の言葉の意味を理解し、思わず頬を赤く染めてしまう。
ユキは俺を誘惑する為に――下に何も履いていないのだ。
この時、俺はようやく理解する。
彼女が買ってきた体感型のフィットネスゲーム、それはただ俺と一緒に遊ぶ為だけに用意したものではない。
ユキからのえっちな誘惑という甘い罠が仕掛けられた禁断のゲームだった。




