秘密よ
「わ、私は....」
サク、サクサク
ロッジの外からこちらに向かってくる足音が聞こえてくる。足取りは早い。
「帰ってきたわね。まぁ、いいわ。あなた私たちのことマディーに言ってご覧なさい?お家に帰れなくしてあげる」
No.3は深い双眸で軽くレミを睨めつけるとスっとその気配を消した。
「レミ!!」
ガチャリと扉が開くとおばが慌てた様子で駆けつけた。髪は乱れ、息も上がっている。どうやら迷子になったレミを探しに出たらしい。
「マディーおばさん...」
「日が落ちても連絡も何も無いから心配したじゃない!だいたいどうやってここにきたのって、あらあら...」
視界がぼんやりぼやけて頬に一筋の水跡を感じる。
「おばさん....怖かったよーーーー!!」
中学生になっても怖いものは怖い。おばの姿に安堵し、張り詰めた糸が切れ、堰を切ったように涙が溢れ出した。
「ふぅ。まぁ良かったわ。今日は疲れたでしょ。お部屋用意してあるからもう寝なさい」
ゆっくりと抱きしめられ、あたたかさに心地よくなり急に眠気が襲ってくる。
「話は明日にでも聞きましょう」
2階に導かれ、案内された部屋に入る。中は大きなベッドがあり、パッチワークの温かみのあるブランケットが敷いてある。姿見やサイドテーブルにライトまで用意されてある。
(人形は...、ない)
一通り部屋を見回してあの恐ろしい人形がないことに胸を撫で下ろす。
「おばさん、今日は疲れたからもう寝るね、おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
扉を閉めると着の身着のままベッドに倒れ込み、その晩れみはそのまま眠り込んだ。