地下室と秘密
果たして人形に風を送っても意味があるのかと思いながらも、レミは適当な雑誌で火照っているように見えるNO.5に風を送る。何度かうんうんうなりながらNO.5はぱちりと目を覚ました。
「あ!起きた」
「NO.10!!!」
再びNO.5の頬がポポポと紅潮したので、これはまずいとレミは二人の間に「ううん!」とわざとらしく咳払いをしてわってはいった。
「もう大丈夫?」
「君は…確かこの間ここにやってきたマディーの姪?」
「そう、レミよ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
聞きたいこと?と首をかしげるNO.5。この時点で、突っかかってこない分やはりNO.5にして正解だったとレミは胸をなでおろした。
「ジョージっていう、このアトリエによく出入りしてる男の子なんだけど、彼って何者?」
「ジョージ…、あぁ彼か。うーん、申し訳ないんだけど僕も彼のことは良く知らないんだ。ただわかるのは彼は僕が生まれる前より先にここに来てるてことくらいかな」
NO.5の話すところによると、NO.5が生まれたのはマディーが作家デビューしてしばらくたった頃だという。忙しい合間を縫ってマディーは彼ら、ナンバー持ちのドールを作っているのだという。いったい何のためか、と次々に生まれる兄弟たちを見て思ったこともあったが、個展出品の話を電話でしているのを聞いて、そういうことかとそこで考えることをやめたという。
ジョージはたびたび見かけられたが、いつもふらっとやってきて、気づけばいないということが多く、特に気にしたことはなかったという。
「ただ、一度だけ彼がNO.3と話しているのを見たことがある。僕らは長くこのアトリエにいるけど唯一入っちゃいけないって言われている場所があるんだ」
「それって、あの地下室のこと?」
「地下室?」
「そう、このアトリエには地下室があるんだ。だけど、NO.3に入っちゃダメって言われているから入ったことはなくて…ただ、彼が地下に入っていって、そのあとにNO.3が入っていくのを見た」
「それって話してたってことになるの?NO.3が監視してただけなんじゃないの?」
「た、確かに…そうかも」
何か秘密が地下室にあることは明らかだ。そしてその秘密を知っているのはおそらくNO.3のみ。ただ彼女に聞いたところではぐらかされて、追い返されるのが目に見えている。NO.3にひっついているNO.4に聞くのも得策とは言い難い。となると、
「地下室に行ってみるべきかな」
「だめだよ!!」
ぽつりとつぶやいたら、NO.5が全力で止めた。
「だいたい、あそこは鍵がないと入れないんだ。鍵を持っているのはマディーとNO.3だけ。しかもNO.3の鍵だってもとは合鍵だよ」
「じゃぁなんでジョージははいれたの?」
「えっ、それは・・・・それは、なんでだろう?」
神妙な面持ちで「不思議だ」とNO.5。よくそれで今までジョージについて無関心でいられたものね、とレミは呆れかえった。




