犬猿の仲の二人
NO.6を探すのにそう時間はかからなかった。
「このクソコロネ!」
「っは!語彙力の無さすぎてウケるんですけどぉー」
バタバタと室内を縦横無尽に駆けずり回るNO.6とNO.8は探すよりも隠す方が大変なほどだ。
NO.6が手にしているのはこないだと同じ鋏。「今日こそコロネをちょんぎってやる!」と息巻いてNO.8を追いかけまわしている。一方NO.8は特に武器を所持しておらず、軽い身のこなしでNO.6をまいている。
「二人はいつもこんな感じなの。止めてもきりがないから誰もとめないの」
諦めた様子でNO.10が言った。確かに、これを止めるのは至難の業であるし、それが日常茶飯事となると諦めてしまった方が早い。
バタバタと駆け回る二人を目で追いかける。二人の戦場はいつの間にか作業台テーブルの下へ移動していた。NO.8がテーブルの脚の間を通りぬけようとした瞬間、躓いたように転倒した。そこを「しめた!」とばかりにNO.6が飛び上がり鋏の先をNO.8に向けて襲い掛かる。後ろに迫るNO.6から逃れるようにNO.8はずるずると匍匐前進で進む。
「とった!!」
ついにNO.8の縦巻きロールが切られる!とレミが首をすくめた瞬間、振り返ったNO.8が不敵にわらった。同時に「ぅぶっ!」とNO.6のうめき声。
「引っかかったぁー」
「な、なにが起こったの」
よくよく見るとテーブルの脚と脚の間にセロテープが仕掛けられてある。NO.8が仕掛けた罠に、まんまとはまったようだ。
「こぉんな単純な仕掛けにも引っかかるなんて、お姉さまったら抜けてるんだから、もぅ!だいたい私がなにもないところで躓くわけないじゃなぁい」
セロテープを顔面に張り付かせたNO.6のおでこを軽く小突き、嫌味たっぷりに言う。自由を奪われたNO.6はいらだちをあらわにして暴れるが、制限を受けた攻撃を全くNO.8に届かない。
「さぁて、どうしようかしらぁ。私の髪の毛を狙うんですもの、二度とそんな気を起こさないようにさせないと。何かいい方法は・・・天才的な案を思いついたわ!両腕をちょん切ってしまえばいいんだわぁ。そしたらもう鋏なんて持てないし、いたずらを仕掛けることもできないしぃ。ね!お姉さま、それがいいわよね!」
「ん゛ーーーっ!」
蜘蛛の巣にとらわれた蝶のように身動きできないNO.6が、それでも一生懸命身じろぎしてテープをはがそうと試みる。足元に落ちていた、NO.6が持っていた鋏を拾い上げ、じわりじわりと接近する。
(さすがに、これはまずい!)
これを傍観するのは気が引け、間に入ろうとレミが手を伸ばす。しかし、それよりも早く、一体の影が二人の間に入り込んだ。




