次までに考えておいて
ジョージはパチリと一回瞬きをし、一拍おいてプッと吹き出した。
「あははは!僕が!ストーカー?!」
だめだお腹痛いと、腹をよじり完全にツボに入ったジョージをレミは眉をよせて怪訝な顔で見た。
「私、あなたのこと叔母さんの友達っていうこと何も知らないわ。叔母さんが知らないっていう限りあなたはただの『自称 叔母さんの友達』ってわけよ。それってもうストーカーしかないじゃない」
「確かにそうだ!ははっ!探偵になれるよ!」
「むぅ・・・で、結局あなたは一体どこの誰なのよ」
「いやー、簡単に教えたら面白くないな。そうだ、僕が誰だか当ててみてよ!」
何かを言うたびに僕はそれに正直に答えるからさ、と付け加える。
「とりあえず今の僕はストーカー判定されているらしいから、次はちょっと日にちをあけてくるよ。それまでに答えを考えておいて」
それじゃぁ、とジョージは立ち上がると中に入っていく。今日のところはこれで帰るようだ。
「ねぇ、何かヒントちょうだい」
「ヒント?そうだなぁ。ヒントは、『マディー』」
ヒントを告げると、「頑張って」とジョージは足早に出ていった。止めようと追いかけようとするも、追いつけないほど早く森を出ていく後ろ姿を見て諦めた。
「やっといなくなった。なんなのあいつ?」
ジョージが完全に見えなくなると、NO.10 がそろりと物陰から現れた。どうやらジョージがいるのに気づいてとっさに隠れたらしい。
「さぁ、叔母さんのストーカーかも。次までに正体を暴けだって」
「なにそれ。隠すほどの秘密でもあるわけ?」
確かに、とNO.10 の言葉に妙に納得する。もし、彼がただの少年ならば暴いたところで何になるというのだ。暴け、ということは衝撃的な何かを隠しているのかもしれない。
「NO.10 はジョージのこと知らないの?」
「全く知らないってわけじゃないわ。ときどきみかけるのよ。でも、あいつが何なのか、どうして来てるのか私は知らないわ。でも少なくとも私が生まれるより前から入り浸ってたっぽいわよ」
「NO.10 が生まれる前?」
「私はナンバー持ちのなかだと一番遅くつくられたのよ。彼についてはもしかしたら、お姉さまたちの方が知ってるかも」
お姉さまたちというとあの苛烈なドールたちのことか、とレミは肩を落とした。聞いてもまたもな返事が返ってくるか怪しいどころか、へたをすれば攻撃されかねない。いい人形はいないものか、と逡巡する。
「そうだ、NO.9!今日はまだみてないけどどこにいるの?」
「NO.9はNO.7と一緒にマディーに連れられて今外よ。それにNO.9もあまり知らないと思うわ。彼女私の一個上のドールだし」
それを聞いてレミはがくっとさらに肩を落とした。
「話に乗ってくれそうな他のドールっていたら・・・・あっ!NO.5がいたわ!」
いつも影薄くてすっかり忘れてた、とNO.9。叔母のドールはみんな苛烈だと思っていたが、どうやら影の薄いドールもいるようだ。
「NO.5とはまだ会ってないわね。どんな子なの」
「NO.5はNO.6の兄よ。NO.5とNO.6は双子のドールなの。だいたい妹の近くにいるから本人をさがすよりNO.6を探す方が早いわ」
つまりNO.5との接触は免れないというわけですか、とレミはやはり肩を落とすのだった。




