表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは人形ですか?  作者: caizia
2/58

あなたは誰ですか

確か、とカバンの中のメモを引っ張りだす。メモには、アトリエへは森の入り口の看板を目印にすればいいと書いてあった。


足を進め、注意深く看板を探すと植物に覆われ、もはや目印としての役目をはたしていない看板と、そこから続く道とは言い難い、けれど誰かの通った痕跡のある道が森へと続いていた。


さて、夜も更け当たりの恐ろしさは増す一方である。レミは少し逡巡してしゃがみこむと、道の先をにらみつけた。


(ぼんやりと灯が見える、気がする)


もはやそれは願望では、と思いつつもここで立ち止まっていては状況は変わらないとレミは森へと続く道へ踏み出した。


ぼんやりと見えた灯を目指してきたはずが、やはりあれは願望が見せた幻だったか、しばらく歩くもアトリエらしいものは見えてこず、それどころか夜の闇はその深さを増し、レミを迷い込ませる。

ときおり聞こえてくる何か大きな鳥の飛び立つ音や、草むらを駆け抜ける動物の音にレミは精神的に追い詰められてきた。


(街でまって迎えに来てもらうんだった...)


今更、というような案は本当に引き返せない時になってこそ浮かんでくるものである。


ガァーッ、ガァーッ!!!

「ひゃっ!」


カラスの大きな鳴き声に思わずうずくまる。


「うーーーっ」


視界がぼんやりとゆがんで目頭が熱くなる。鼻がツンと痛くて、でもそれ以上にさみしくて心細くて、もう泥棒でもなんでも声をかけてくれるなら何でも構わないから、誰かいないの?!と、ぐしゃぐしゃになった心がうめき声をあげた。


「大丈夫?」


突如かけられた声に反射的に顔を上げると、そこには地元の子と思しき少年がレミに手を差し伸べていた。


「あなた...」

「マディーの姪っ子でしょ。マディーが言ってた。迷子になったの?連れてってあげる」


腕をとり少年はあゆみ始める。その足取りはしっかりとしており、目的地へと迷いなく向かっているようである。


「えっと、あなたは誰?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ