はじめての友達
寝返りを打つと体の節々がひどく打ち付けたときのように痛んで、そのあまりの痛さに目を覚ました。そこはベッドの脇で、床に転がるようにして眠っていたようだ。もぞりと体をよじると、「あ、起きた!」と明るい声が聞こえてきた。ぼやけた視界が次第に鮮明になると、そこには二体のドールがあった。
一体は不思議の国のアリスのような水色のスカートに白いエプロンをつけたドールで、心配そうにこちらを除きこむ。たれ目にはの字に下げた眉でおどおどしているように見える。
もう一体はこれまで見たドールとは異なり、シンプルな深い紺色のスカートに白いシャツをきたドールで、長い髪を一つにまとめサイドダウンにしている。
(また、人形・・・。)
いっそもう一度眠ってしまおうか、と再び目を閉じようとすると「起きて起きて!」と、ぐいっと瞼をこじ開けられた。もう一体が唇をつかもうとしたところでさすがに観念した。
「私はNO.10、さっきはお姉さまたちがどろかしすぎたみたいでごめんなさい」
「わ、私はNO.9」
紺色のスカートのドールは、スカートを軽くつまんで挨拶をし、その陰に隠れるようにもう一体が挨拶をした。二人ともさっきの棚では見かけなかったドールだ。
「ここには誰が運んでくれたの?」
「キティとパピたちよ。ほんとはベッドに乗っけられたら良かったんだけど階段を上っていくまでが限界だったみたい」
腕をつかんでね、階段を引きずってのぼったのよ、と言われどうりで体が痛いわけだと納得する。しかし、あのまま放置されそうな勢いだったのにわざわざ上に運んだのはどういう訳だろうか。フム、と考え込むとNO.9がおずおずと
「No.3がね、マディーが帰ってくるまでここで倒れられても面倒だ、って言ってあなたを運ばせたの」
「あくまで保身のためなのね。期待はしてなかったけど・・・」
No.3のあの冷徹なほほえみが目に浮かぶようだ。あと3週間あの人形たちと生活しなければならいと思うと、胃がキリキリと痛む。正直、何も起こらずに帰れるということはなさそうだ。
「あなたたちはどうしてここにいるの?」
「ん-、興味本位っていうのもあるけど、外から人が来ることは本当に珍しくてね。外の世界のいろいろなことを教えてほしいの」
「いいろいろなことね。いいわ!知ってることならなんでも教えてあげる!その代わり、ここにいる間私のことをあの人形たちから守ってほしいの」
「いいわ!と言っても、ドールの中でNo.3のいうことは絶対だから、難しいときもあるかもだけどお姉さまたちに絡まれないようにしてあげるわ。これからよろしく、レミ!」
「よろしく!」
これまでのドールとは違って仲良くできそうだ。これまで出会った人々が曲者ぞろいだったため、ここにきて初めてともいえるまともな友人にレミは感謝した。すっと指し伸ばされた手を握手する。
「わ、私も友達にしてほしいの・・・」
「もちろんよ!これから3人、友達ね!」




