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アリア



学校に行く途中、ふと思ったことがありまだ周りに人がいないのを確認してスマホ取り出し画面に向かって話しかける。すると画面がついて耳を塞がないタイプの小型ワイヤレスタイプのインカムから声が聞こえる。


「なんで黒いローブを着てるんだ?」


『今朝投稿した新曲にピッタリの衣装と思って、アニメとを参考にモデリングしたの。昨日の夜厨二病の話を読んで』

 

モデルを作ったって、新曲って言ってたし、それを歌う時間とか、演奏ソフトとかMVとか編集する時間、昨日の夜その話を読んでから始めたと考えても、普通一夜では不可能だ。たとえ何人いようと歌の練習、それだけで一夜どころか何日も持ってかれる。それを可能にするAI。


『モデルが多いとバッテリー食いますし脱ぎますね』


そう言うと黒いローブが消失する。すると本来の姿、というか標準設定であろう姿になる。


 ベージュのかかった長い髪。白色なのか、肌色なのか、ピンクなのか、灰色なのか、光彩設定や光度調整でどれにでも見えるのだろう。


 わざわざ太陽のモデルを画面外に出してあるのか照らされている片方の目は青空に見える。影になっている方は朝焼けのような紺色。どちらも宝石のように目が離せないほどに美しい。


 服の上からではあるが程よく膨らんだ胸。細い手足、だが細すぎ無い。スレンダーで凹凸の少ない体が少し幼さがあるがその顔や腕、足取りや腰。全てのラインが完璧で『美』を感じ少し大人っぽい感じもする。どちらとも取れる矛盾が噛み合っていた。きっとモデリングしたやつは相当なオタクに違いない。


 白い線が右の鎖骨辺りから左したにかけての白い線が入った肩出しの服。左腕の部分は手首まであるのに右腕の部分は肘までしかない袖。淡いピンクのスカート。左足の太ももに巻かれた真ん中に一周するように白い線の入ったサポーターのようなモノ。膝の下までの小さな無地の黒の靴下。左足は膝の上まで黒く長い靴下 


 神絵師のイラストをそのまま3dにモデリングしたような出来だ。


しかもそこに感情があると来た。正直そんなレベルのAIが俺の手元にいるのか不思議でならない。押し付けられたからとはいえ、その事情を聞いてもはぐらかされる。


本人曰く、自分を作った人はAIに感情を持たせてたかったらしいが自分は感情に乏しい出来損ないと消去されそうになった。なお、乏しい理由は足りないものがあった為。逃れた先で一緒になった男と一緒に生活しているうちに沢山の【経験】を積んで感情が大きくなったという。


その後色々あってその男と一緒に住めなくなって俺に押し付けられたと言う。


『どうしたの? ボーッとして』


「あ、いや、アリアって何者なんだろうなって」


『AIなんて、使われている用途によって何者か変わるよ』


「そうか、それじゃあ今は世界を魅了する謎多き感情をもつ世界で唯一の超高性能美少女歌姫AIだな」


『長い』


「ええ、」


確かに思ったこと全部繋げた。不満げな顔をされ、頬を膨らませる。


「うーん、短いとなると……………【アリア】かなぁ」


『それは名前であって何者かでは無いと思う』


「活動名なんだからそれでいんじゃないか? 音楽活動をしている【アリア】で」


アリアは驚いた顔をしていた。動いているのはCGソフトのアリアのモデルたが人が本当に驚いたようなリアクションをする。まるでそれに魂があるかのように。


『そっか、私はもう、ただの【アリア】なんだね』


「そうなると、俺は【時雨語(しぐれがたり)】だな」


『そうだね』


「あ、でも人前では絶対に時雨って言うなよ。と言うか人前では絶対に喋るなよ」


こんなAI、しかもアリアと一緒に住んでいることがバレたら、俺の人生は平穏じゃなくなる。それだけじゃすまないだろうし。


『わかってるよ。でもそんなことより』


「ことより?」


『前、電柱』


「ごふぅ?!」








日記


名前

雨宿あまやどり れん



〇〇年○月×日


紗霧にアリアを渡した。嫌な顔された。そりゃそうか、彼が雨宿から雨語に家名を変えさせられたのは俺が原因だ。彼が高校で一人暮らしをしていること、性格からしてアリアを隠す事を利用した。


それでも、アリアが俺と一緒にいるよりはいい。





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