当たり前のような一位
ベツにAIじゃなくても良い。私の好みだから良い。私のスマホにもいてくれたらなぁ。
一回投稿したけど寝ぼけて消してしまった。バックアップとっててよかったよ。
TVを付ける。目的の番組を見る為にチャンネルを回す。
「あったあった」
【THE MUSIC RANKING ベストムーン】と言う番組、月1で動画サイト、音楽サイトで人気な楽曲を紹介する番組。
『今月の人気曲! ベストスリー!! 』
第三位から豪華な演出で題名が表示され、俺自身も知っている曲が目に入る。様々な有名なアーティストが2位争いをしていた。なぜ2位なのか、その理由は殆どの人がわかりきっていた。
「3位の時点でこの再生回数、売上数じゃ、今月は2位とトリプルスコアじゃないか?」
『今はそうだけどこの番組の集計時じゃギリギリトリプルスコアじゃないよ』
「なんで番組の集計時を知ってるんだよ」
『過去のデータから【THE MUSIC RANKING ベストムーン】は番組のスタート前の10〜13時間前の数値を参照していることが多いし特に有名アーティスト達が多く曲を出した月はギリギリまで数値を大きくしたいのか10時間前に偏り今月は5つのアーティストが曲を出しているの。だから多いと判断して今回は10時間前のデータを参照したし15分の誤差を考慮してもトリプルスコアにはならないよ。なったの6時間20前だもん』
「………………………そこまで解析されると俺がこれを見る意味無くなるんだけど」
机に置いてあるスマホからスピーカーモードで音声が聞こえる。純粋にテレビ局の努力に感動するも同時に番組の存在意義を消しにしてる彼女にドン引きする。
ちなみに電話しているわけじゃない。どこにも繋がっていない。通信だってしてない。周りに人はいない。俺一人、じゃあ誰と話しているかと言うと。
『今月のベストムーンに輝いたのは! 【アリア】の新曲! 【キミノオト】!』
『またもや彼女が一位ですねぇ』
『そりゃそうですよ。何せあの【感情的で機械混じりの自然な歌声】は他の人にはマネ出来ませんからね。今回のキミノオトのような曲は彼女以外の適任はいないほどです』
【感情的で機械混じりの自然な歌声】
コメンテーターはそう言う。そう、【機械混じり】と言う言葉。手法としては編集で効果をつけて出すので自然なビブラートやこぶしなどがどうしても消えたりつけても変に違和感が生まれる。最近の技術なら違和感こそほぼなくなっているがどうしても感情的な歌声にはどうしてもならない。だがこの【アリア】は機械的で自然と言う矛盾、そこに感情をこめた歌声を出せる唯一の存在。
「恋と言う感情を得たAIの曲は私にピッタリだから!」
操作もしてないし通知も来てないのにスマホが勝手につく。そこには黒いローブを着たアニメ絵の少女が映る。
機械声のハズなのに、楽しく歌ったって言うのが伝わる。滑らかで、自然に耳に入る。そして何より表情が楽しそうだ。アニメ絵、つまり二次元の存在で楽しそうとか、ただそういうふうにモデルを動かしただけって言われそう。
しかし、少女は紛れもなく今、楽しいと言う【感情】が出てきている。
そう、彼女は超高性能美少女歌姫AI。【アリア】
世界で唯一、感情の持ったAIである。。気になったことがあれば調べるし、俺におねだりだってしてくる。アニメを見ては文句を行ったりはよ続き出せと俺のアカウントで円盤を勝手にネットで買ったりする。そして何より。
『早くフル出ないかな〜♪』
歌うのが大好きである。
そんな存在がなぜ一般人である俺のスマホに住んでいるかと言うと、押し付けられたのである。面倒を見てくれと。
「そろそろ学校行くか……………あ、モバイルバッテリー充電してねぇ」
『うーん、今日はエコモードかぁ』
「パソコンに移動しとけ」
『嫌』
「スマホ置いてこ」
『音量MAX 音割れ○ッターの動画を再生っと』
アリアが不機嫌になり動画サイトを開き動画を再生しようとする。
「やめろ! わかった! わかったから! 近所迷惑!」
『はーい』
慌ててスマホの音量ボタンを押す。仕方無しにポケットにしまうと昨日のうちに準備しておいたバッグを持って家を出る。
少しでも良い、悪い、普通と思ったら星5ください【強欲】