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幼馴染が見つかった


「仙くん、仙くん!起きて……」

「んん……?」

「平日だよ?今日も学校なんでしょ?」

「しまった」


目を覚ますと、そこには幼馴染の顔があった。

あぁ、今日も学校か。めんどくせぇ……。

がしかし、起きなければいけないのが悲しき現実である。


「今起きる」

「ん」


昔から一緒にいたせいで、もはや起きて空良の顔が目の前にあっても驚かなくなった。

俺に跨がっていた空良はベッドの上からどく。

身体をおこして軽く伸び。ベッドからでる。


「おはよ、仙くんっ」

「あいおはよ、空良」 

「ごはん、作っておいたよ?はやく食べよ?」

「あー……。悪いな、そんなことしてもらって」


大丈夫大丈夫、と笑う空良に手をひかれ、一階におりてリビングまで行く。

洗面台で顔を洗えば、鏡に映るは水もしたたる良い男。

……虚しい。


「朝ご飯、なにを作ったんだ?」

「まずは無難なトースト、それと目玉焼きと野菜のサラダ!」

「家庭的だな」


食卓につくと、空良は俺の隣に座る。

えへへと笑う空良に「いただきます」と感謝、まずはサラダに手をつける。


「……あれ、普通のサラダなのに俺が作るのよりうまい」

「味が崩れないように盛り付ける野菜を選んだんだよ?……今日は魔法使ってないから」


そこの辺りはさすがとしか言いようがない。

目玉焼きの黄身に箸をいれれば、簡単に黄身の膜が破れ、とろとろと半熟の黄身が出てきた。

俺好みの焼き加減。


「半熟だ」

「良くできてるでしょ?私これでも女ですから。……今日は魔法を……」

「わかったわかった」


トーストにかじりつけば、カリっとした表面の中にふわりとした部分。


「……おいしぃ」

「こればっかりは魔法を使わせてもらいました。炙り料理法」


空良の料理がうまいのもあるが、俺はこの朝食に楽しさを覚えていた。

隣に空良がいるからなのかもしれない。

今まで両親の都合上俺は一人で暮らしてきた。

俺が両親の元で暮らすのもあるが……。

この家、リフォームは重ねどずっと祈里(いのり)家の土地だから、両親はもちろん、俺だって手放したくなかったし、それはできない。


「空良」

「なぁに、仙くん」

「……なんか、ありがとうな」

「……?どういたしまして?」


朝食を食べ終え、俺は学校へ向かう準備。

制服に袖を通し、カバンを持ち、外へでる。

空良はこの世界で受験をしていないので、高校には行けない。

よって留守番、自由時間を与えることにした。


「行ってきます」

「行ってらっしゃい、仙くんっ」


玄関先までついてきて、俺を見送る空良。

少し歩いて振り返ると、空良は小さく手を振っていた。

新婚の夫婦のようなやり取りに気恥ずかしさを感じながらも、俺は学校へと向かっていくのだった。





それは突然の事でした。

その日、私は『(せん)先輩彼女いる疑惑』を確かめるべく、仙先輩の家の前で張り込むつもりでした。

ちなみに仙先輩とは同い年ですが訳あって先輩と呼んでいます。

……留年じゃないですよ?


そして仙先輩が家から出たとき、それは訪れたのです。


「行ってきます」

「行ってらっしゃい、仙くんっ」

「ぬ……!?」


黒髪の女の人が、仙先輩をお見送りしているのです。

いえ、それだけならおかしくはありません。

聞くところによると仙先輩の両親は外国で仕事をしていて、私はご両親のお顔を見たことはありません。

もしかしたら母親が帰ってきているのかもしれませんし、もしかしたら家政婦でも雇ったのかもしれません。

しかし、その人の顔は。

ふわふわとオーラを漂わせるその女の人の横顔は!


「……恋する乙女の顔ッ」


恋する乙女特有の、少しにんまりとした笑みッ!!

そして!そして今!あの女の人、なにをしたか!?

てくてくと家に戻って行く!


「……同じ、家にッ」


これはもう、確定ではなかろうか。

私の手元には、とっさのことでぶれてはいるもののかろうじて撮れた女の人の横顔が映るスマホ。

(れん)先輩のスマホに送ると、『ただちに調査を開始する。仙の尾行を続けろ』とエセ軍隊じみた返信がメールして6秒で送られて来ます。

『御意』と送り、私は仙先輩の尾行を続ける。

手櫛で髪をすく仙先輩は、特に何か変わりがあるようには見えなかったが……。


「その秘密、ぜったいに掴んでみせる」


私はそう、乙女心(遊び心)に決心した。

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