41 シーサーペントの群れと、海皇国軍との戦い
シーサーペンとはしゃべることができます。
知能の高い魔獣です。
** Side 海皇国 **
ヒュドラを従える、アルザム第2皇子率いる第1軍 およそ1万
水の暴虐〔ハーデン〕率いる第2軍 およそ1万
水の刃〔ブレド〕率いる第3軍 およそ1万
死を呼ぶ水〔ポイズラ〕率いる第4軍 およそ1万
水の癒し〔ヘルンスト〕率いる第5軍 およそ1万
総大将スラニム第1皇子率いる 近衛軍 およそ5千
総戦力5万5千の海皇国軍は、戦いの地ボルシアに向けて出撃した。
そして、両軍の激突は、ボルシアと皇都の境界で起こった。
基本的に、人魚族の騎士は、完全武装したイルカンの背に乗って水中を移動する。
この完全武装のイルカンの種類は体長10mの〔シャチン〕、6mほどの〔ゴンドウイルカン〕、5mほどの〔シロイルカン〕で構成されている。
イルカンの背に乗って高速で移動しながら、得意の水魔法を駆使して戦うスタイルが一般的である。イルカン自体、知能も攻撃力も高く、特に〔シャチン〕の攻撃力は戦車に匹敵する。
海皇国軍に対して、一番に突っ込んできたのは、魔皇国3魔将の1柱シーサーペントの〔プレシオル〕である。全長20m程のひときわ目立つ真っ黒な巨体をくねらせて、海皇国軍に襲い掛かった。
プレシオルが吐く、水のブレスは強力で、範囲も広い。そのブレスを避けきれず、身に受けた騎士もイルカンもズタズタに切り刻まれた。
「プレシオルのブレスは防御が役に立たないぞ! 避けろ!」
駆け付けた第3軍の将、海皇軍四天王〔水の刃ブレド〕が声を張り上げる。
「勇猛なる第3軍の戦士たちに告げる! 我ら第3軍は、シーサーペントを殲滅する!エヌイースル魂を見せつけろ!
「「「「「 おおおおーーーーーー!!!」」」」」
守りを固める海皇国第3軍1万に対し、プレシオルを先頭に100頭を超えるシーサーペントの群れが突撃する。
「我が眷属よ! 我らの牙に敵うものなし! 我らが吐息に抗うものなし! 蹂躙せよ!」
シーサーペントたちにプレシオルからの檄が飛ぶ。
シーサーペントの武器は、その巨体と強靭な体による体当たりと鋭い牙での噛みつきである。そして、強力な水のブレスである。
「オオオオオオオーーーーーーン!!!」
対する海皇国軍の戦士の主な武器は槍である。
イルカンの出す驚異的なスピードから繰り出す刺突は、強い貫通力を持つ。また、魔法による攻撃を得意とする魔法部隊も存在する。
シーサーペント兵に対し、鋭い刺突攻撃を繰り出す海皇国軍の騎士たち。しかし、シーサーペントの硬い鱗と高い防御力に阻まれる。
「ヤツら硬ってーよ! 槍が通りゃあしねえ!」
「波状攻撃を仕掛ける! 俺に続け!」
複数の槍による波状攻撃を受ければ、さすがの防御力を誇るシーサーペントも傷を負う。
「おのれ!雑魚どもが調子に乗りやがって! キシャーーーー!」
シーサーペントのブレス攻撃によって発生する水の刃により、海皇国軍の騎士たちは切り刻まれる。協力で厄介な攻撃である。
一時は均衡していた両軍だったが、その均衡は徐々に崩れ、シーサーペント軍の圧力に、海皇国軍が押され始めた。もともと、シーサーペント1頭に対し騎士が100人がかりで対応するような相手である。100頭ものシーサーペントを相手にするには、本来なら10万の騎士が必要であった。
「崩れるな! 持ちこたえろ! 我らの背には、守るべき民がいるのだぞ!」
プレシオルを相手にしながら、ブレドが吠える。
水の刃ブレドは、肉体強化と水魔法による水の刃を得意とする戦士である。
その水の刃は岩を切り裂き、その強化されたこぶしは岩を砕く。一騎当千の強者である。
「食らいやがれ!ウオータースラッシュ!」
ブレドは、様々な攻撃をプレオニルに放ったが、有効な打撃は与えることができなかった。
「くそう…、打つ手なしかよ…。」
シーサーペントに対し、水の刃の魔法では効きが悪い、相性が悪かったのである。
「後退だ! 今のままでは分が悪すぎる! 皇都の結界付近まで後退する。」
半分以下にまで数を減らした第3軍は、後退を余儀なくされた。戦いの後の海域は、騎士たちの血で真っ赤に染まっていた。
********* Side 天樹の空島 *************
天樹の空島の屋敷で働く料理人を募集したのだが、申し込みが殺到したらしい。
もともと、未知の空島に一度でいいから行ってみたいという冒険心あふれる人自体が多くいたことに加え、デカランプ商会のゲオルグさんが、無事に天樹の空島とこの街を行ったり来たりして安全性が確認されたこと、空島では立派な部屋がタダで提供されることなどなどが理由のようだ。それに加え、先日、屋敷の従業員たちが、金に糸目をつけず大量の物資を購入する姿を街のあちこちで見せたのが、応募に拍車をかけたようだ。
今回の募集は料理人だったのだが、使用人の再募集はありませんか?とか、屋敷の警備員はいりませんか?とか、天樹の空島に行って働きたい料理人以外の人からも数多くの問い合わせがあったそうだ。
多くの応募者の中から、ゲオルグさんのお眼鏡にかなった人だけ残し、そのほかの人は断ってもらった。素性のはっきりしない人や、乱暴な人は来てほしくないからね。ベティや俺を暗殺しようとするヤツが紛れ込む可能性もゼロにしたいのだ。まあ、たとえ紛れ込んだとしても、テンジュやクエレブルの鋭い感覚は誤魔化せないんだけどね。
面接会場には、俺とベティとクエレブルが来ている。
料理人候補者として残っているのは5人だ。
俺は、料理人に一番必要なのは料理の腕だと思っている。まあ、当たり前か…。だから、得意料理をそれぞれ3品作ってもらい、その味で選ぶことにした。
クエレブルが、ガフさんの料理を気に入り「我はガフがよい」と珍しく口を開き、「オリヴィアさんを絶対に呼んで!」とベティが強力にオリヴィアさんを推薦した。
その結果、抜群にうまい肉料理を作った〔ガフ〕さん、麺料理が美味だった〔ルッツ〕さん、お菓子が絶品だった〔オリヴィア〕さん、の3名を採用することにした。
「ガフさん、ルッツさん、オリヴィアさん、天樹の空島に来てくれますか?」
「「「 はい、喜んで! 」」」
やったー! これからの食事が楽しみだ!
3人には、これからの調理に必要なものを揃えておくようにと、金貨1000枚ずつを渡した。必要な食材も機材も、デカランプ商会に頼めばすべて用意してくれるようだ。
そして、追加で応募してきた人たちの中から、メイドさん5人が選ばれた。
メイドさんは、みんな若い少女である。将来のためにお金を貯めるのが目標だそうだ。ウチは給料がいいからね。
俺はともかく、皇室育ちのベティにはメイドが必要だ。クレメンスさんが上手に教育してくれるだろう。この子たちにも、準備金として金貨50枚ずつを渡した。金貨を渡された女の子達は腰を抜かして驚いていたな。受け取る手も震えていたっけ。みんな、無駄遣いや横領をしちゃあだめだよ。言わないけれど、テストも兼ねているからね。
警備員希望の人はすべて断った。
必要が無いからだ。
一週間後の午前10時に、準備を整えてここに集合することを伝えて解散となった。
新たにコックさん3人、メイドさん5人の採用が決まりました。
やっぱりお屋敷にはメイドさんがいないと・・・。




